漁師 フィオナ・マクラウド

今日はフィオナ・マクラウドの「漁師」を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
 
 
これは、ケルト幻想作品集『かなしき女王』という小説集のなかの一篇です。作家名フィオナ・マクラウド、本名ウィリアムシャープは、1855年生まれのスコットランドの小説家です。あのー、男として本名でも作品や評論を発表しつつ、女性作家としてこのケルト民話を創作した、謎の作家らしいです。
 
 
ある、年老いたおばあさんが、娘に、印象深い思い出を語ります。ヤソ・マック・アン・テイルという旅をする漁師と出会った思い出です。おばあさんは、旅の漁師にこう語りかけたのです。本文に、こう書いています。
 
  ミルクを一杯あがって、もしくたびれておいでなさるなら、休んで行って下さいまし、わたしはそう言って見たのだよ。
  ありがとう、そう言って下さるだけで、休ませて頂いたりミルクを飲ましていただいたも同じことです。わたしはこの河の流れについて行くんです、その人がそう言うんだよ。
  魚をとりなさるんですか? わたしが訊くと、
  わたしは漁師です、その人が悲しそうな小声で言ったよ。
 
 
おばあさんは、家が無いのなら泊まってゆきなさいと提案したのですが、旅の漁師は、一人で遠くへ行ってしまった。その後、ずいぶんたってから……。さいご、この旅の漁師は、とても不思議なことを言います。ケルト幻想民話を初体験しました。謎の短編小説でした。
 
 

 
 
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ア、秋 太宰治

今日は太宰治の「ア、秋」を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
 
 
これちょっとすごいんですよ。リアルのものがなによりも驚かせると思うんですけど、太宰治は、私小説よりもなんだかギョッとさせるモノがあると思います。写真家の方法に近いのかもしれません。現実にあるところをひょっと引っぱってきて、そこに詩をつくるんです。蝶の描写に、迫力がありすぎました。
 
 
太宰治が、自分の記した過去の文章と、対話をしているところを、掌編小説にしている作品です。《創作ノートにメモをしている、ちょっと昔の太宰治》と、今まさに短編を書いている太宰治が2人でなにか掛け合いをしている。
 
 
太宰治創作ノオトというのが、箇条書きで、本人もやや意味が見とおせない。その掛け合いの中から、とつじょ「秋ハ夏ト同時ニヤッテ来ル。」とか、「秋の海水浴場に行ってみたことがありますか。」という読者への問いかけが飛びだしてきて、ギョッとしました。二人の太宰治が、話し合っているみたような、奇妙な短編でした。
 
 
本文に、こう書いてありました。
 
 
  ……
  ……なんだか意味がよくわからぬが、秋の会話を盗み聞きして、そのまま書きとめて置いたものらしい。
  また、こんなのも、ある。
  芸術家ハ、イツモ、弱者ノ友デアッタはずナノニ。
 
 
…………


 
 
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郷愁 佐左木俊郎

今日は佐左木俊郎の「郷愁」を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
 
 
あのー、インターネットが普及してから、距離感がすごく変わったと思うんです。以前、時間のヒエラルヒー(時間軸の日本地図)というのが有名になって、それは東京駅と大阪駅はめっちゃ近いけれども、東京駅から東京都奥多摩町の天祖山はめっちゃ遠いっていうことを目で見分けられるようにした地図なんです。
 
 
ネットが普及して、またこういう地図の変化が起きたような気がするんです。「距離と意味というのがぜんぜんちがうぞ」というのが、現代人の新しい感覚ではなかろうかと、最近思っています。
 
 
マンションの右ナナメ上方に住んでいる人は、距離がものすごく近いんだけど、一生縁が無いはずで意味はそうとう遠い。単身赴任している夫とは距離がすごく遠いけど、意味はそうとう近い。
 
 
そういう距離と意味でギャップの生じる現代化が、こんどは情報や感情においても起きてきたのが、現代だと思うんです。ネットばかり使っている自分が言うのもなんなんですが、この情報と感情の大混雑状況に疲れた場合は、そういうものが整えられた本屋公共図書館のほうへ向かってゆくのが、良いんじゃないかなというのが、自分の持論です……。
 
 
農民出身の佐左木は、この掌編小説で、古里への郷愁のことを書いています。上野駅で、古里への道のりを確認するためだけに、路線地図を見にゆくという、奇妙な癖を持っている男たちの話しなんですよ。かつて、「かなし」というのは、悲しいというのと、愛しいというのと、両方の意味があったそうなんですけど、佐左木の描きだす悲しさにはそれがあるように思いました。
 
 

 
 
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先生の眼玉に 夢野久作

今日は夢野久作の「先生の眼玉に」を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
 
 
三年くらい前の四月馬鹿の日にでも、夢野久作の「ドグラマグラ」という作品を公開しようと思って、ヘンな頁を作っていたんです。それが、あまりにも出来がひどかったので封印したんですけど、せっかくなので、誰でも読めるようにアップロードしてみました。デザインがムチャクチャなんですけど、いちおう全文読めるんです。
 
 
それで今回紹介するのは、夢野久作の暗黒童話です。じつに暗い話しで、たったの数頁なんですけど、やっぱり夢野久作で、ギョッとするような身なりの人物と、ありえない展開が印象に残りました。因果応報とか勧善懲悪も、ここまであからさまに書くと、なにか逆に意味が違ってくるのではないかと思いました……。
 
 
絶対にやっちゃいけないことを、言ってしまう子どもの話なんです。極端にひどいことを、いったん最後まで妄想してみるということは、重要なんだという話しを聞いたことがあるんですよ。ただそれは芸術では無くて、それをちゃんと他人が愛読できる形で、はじめから書いてゆくのが、プロの作家の仕事なんだ、という評論を読んだことがあります。はい。
 
 

 
 
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牛人 中島敦

今日は中島敦の「牛人」を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
 
 
中島敦は、伝統的な文体と社会考察を用いながら、夢のように幻想的な物語を描いています。ある人生のはざまで起きたことと、夢とをこう、うまく混ぜ合わせて物語を展開しています。
 
 
人生の節目で、謎の女と契った叔孫豹しゅくそんひょうという男。それから、黒い牛にそっくりな、謎の経歴の少年、豎牛じゅぎゅう。この二人をとりまく家来たち。この3者の物語です。危機に対峙してゆくのが文学だ、という話を聞いたことがありますが、まさにこの作品は怖ろしいことをじっくりと丁寧に描いています。寄る辺ない一人者の、不忠と生存を描いています。なかなかに暗い、しかし魅了される物語でした。
 
 
あと、この名作にはyoutubeで朗読がありましたので、読みたいのに読み終えられなかった方は、こっちで全文聞きおえてみてください
 
 

 
 
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ストリップ修学旅行 小野佐世男

今日は小野佐世男「ストリップ修学旅行」を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
 
 
これは漫画家が書いた、短編小説です。ちょっと、すごいことを書いています。
 
 
この文章がじつにハッとしました。
 
 
  「いやその彼女達はいつも束縛があるし、なにか自分で思いきりいうことを聞く、自由にしたいものがほしいのですよ。そこで何んでも自由になる男がほしい気持ちで金をつかうのですなアー」
 
 
小学校に入学したてくらいの頃に、生まれて初めて自分で漫画を買いに行った日のことを、なぜか思い出しました。
 
 

 
 
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桜桃 太宰治

今日は 太宰治「桜桃」を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
 
 
これは太宰治が38歳で、1948年の春の頃に発表された短編小説なのですが、太宰は事実に近い身内のことを書いています。「桜桃」というのは、さくらんぼのことです。今、漱石や藤村といった作家の名作ばかりを読んでいるので、そう簡単には驚かないぞと思っていたんですが、太宰の衝撃は他には例を見ないもので、読んでいて呻りました。
 
 
太宰は作中、家で使用人を雇おうと、真面目に考えているんです。どうして、家政婦を雇いたかったのだろうかと、かなり気になりました。戦後すぐの一般家庭の事情を調べてみると、wikipediaには「日本では日露戦争や第二次世界大戦で夫と死別した寡婦が増加し、その経済的支援という側面からも家政婦斡旋が広がっていった。」と記されていました。
 
 
太宰の名作は「斜陽」「走れメロス」など、この他にも、いろいろあります。
 
 

 
 
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