小泉八雲 葬られたる秘密




前回にひきつづき、小泉八雲(本名ラフカディオハーン)の怪談を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
小泉八雲と言えば「耳なし芳一」が有名ですが、僕はこの「葬られたる秘密」という怪談がいちばん好きです。




この話は、亡くなってしまった《お園》が、幽霊となって箪笥(たんす)の目の前にそっと佇(たたず)んでいる、それはどうしてだろうか? という話です。
幽霊が箪笥の前にしずかに佇んでいる。その理由がまた艶めかしくて何とも言えず、忘れがたいのです。




よほど勘のいい人や覚えの早い人ならともかく、なにか新しい世界に接する時には、どこかヴェールに包まれたような感覚を抱くと思うんです。たとえば英語の教科書で英語を習っては居たのに、実際に英語を聞いていると、その意味が判らず、相手が障子の向こう側に立っているような感覚になる。でもその相手はたしかに目の前にいることだけがハッキリとしている。それは例えば、異性が裸のままで障子の向こう側に佇んでいて、ただそれをシルエットだけ見つめているような感覚です。




なんとなくは判るはずなのに、はっきりとは判らない。わずかには判るけれども、やはり判らない。それで人並み以上にそのことについて調べてゆく。「判らない」という意識を強く持っているのに誰よりも詳しくなってしまう。ラフカディオハーンは故郷ギリシャを離れ、フランス・イギリス・アメリカと地球を半周以上旅してたどり着いた島根でそのようなヴェールに包まれたような感覚があったんじゃないかと感じます。異文化である日本語や日本のことがハッキリとは判らず、理解が困難な世界に対する憧れを強く持っていたんじゃないでしょうか。




「葬られたる秘密」はごく短い掌編小説ですが、幽霊となった《お園》が、なぜ成仏できないのか、というのが上質な怪談として描かれています。




念のために言っておきますが、「艶書」というのは恋文、ラブレターのことです。







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 ここからは新サイトの「ゲーテ詩集」を紹介します。縦書き表示で読めますよ。
 幼かった頃の夢想のことを、ゲーテは「黄金の空想よ」と記します。ゲーテの詩には、神話的なものと理知的なものが混在していて、これが魅力のように思います。ゲーテはゲルマン神話と、とくにギリシャ神話の影響が色濃いようです。
 この詩集は生田春月が翻訳をした作品です。ゲーテは政治家としても活躍し、かのナポレオンからも尊敬されていた作家で、その言葉を詩で楽しめるというのは、なんだか嬉しいように思います。

  

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