料理メモ 北大路魯山人

今日は北大路魯山人の《料理メモ》を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。北大路魯山人といえば陶芸の大家として有名なんですが、陶芸界の常識からはかけ離れた作風なんです。普通の陶芸は精密さや技巧の難解さで特別な気配を表現するのですが、魯山人はそうじゃないんです。土を練って加工して焼いて器を作りそれを食器として使ってものを食べる、というそういう一つ一つの行程がはっきりと目に見えてくるような、独特な美を創りだしています。



たとえば「リンゴ」というとリンゴ10%ジュースを思い浮かべる場合と、リンゴの種が生長して木になって何十年か後にリンゴが出来るというのを思い浮かべる場合とでは、リンゴの存在感がまるで違いますよね。魯山人はそういう行程をはっきりと意識させてくれる人です。ほとんどグズグズになった鯛よりも、新鮮な鮎のほうが遙かに美味いってことをふつうに教えてくれる。魯山人は人工的なものをほとんど信じていないんですよ。学歴に関しても梅屋小学校を卒業して、そのまんま丁稚奉公しているわけです。だから型に嵌められて魅力を失っているものを重んじないで済む。あらゆる規制を重んじる陶芸界においても「これは必要」「これは私には不要」ってことをはっきりと独自に判断できる。



魯山人のこのメモには、現代に通じるところと、現代には通じないところとが、はっきりと分けて見えてくると思います。小説や物語の場合は、ついうっかり「現代に通用する感覚」と「現代にはまったく合わない感覚」とを混同して読んでしまいますよね。でも、この随筆の場合は、そういった「情報の要・不要」の判断がつきやすいものになっています。




日本人の特徴というのが、江戸時代や明治時代の衛生管理に現れている、という話しはご存じでしょうか? 同じ時代、フランスでは川に糞尿とかがあふれていてコレラとかが蔓延していた。ところが日本人は礼節や縦社会をすごく重んじるので江戸幕府はそういう下水処理や衛生管理などを整えるのが上手くて、病を防ぐ能力が高かった。その頃から、日本人はお上に従うという感覚を強く刷り込まれていくわけです。それで給食を卒業して自炊がはじまったら、ジュースとアロエとサプリメントしか食べないというようなムチャクチャ危ない食生活になってしまったりする。巨大組織の与えるものを盲信して不健康になってしまう。




魯山人は縦社会とか権力とかいわれているものの中で、これは自分に合わない、というものをちゃんと否定できる、という部分が一番の魅力なんです。リンゴ10%ジュースばかりを飲んでいると栄養が偏って不健康になる。新鮮なリンゴを美味しく食べているとやはり健康になる。魯山人はそういう健康の概念に目覚めさせてくれるような文化人です。






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 ここからは新サイトの「ゲーテ詩集」を紹介します。縦書き表示で読めますよ。
 幼かった頃の夢想のことを、ゲーテは「黄金の空想よ」と記します。ゲーテの詩には、神話的なものと理知的なものが混在していて、これが魅力のように思います。ゲーテはゲルマン神話と、とくにギリシャ神話の影響が色濃いようです。
 この詩集は生田春月が翻訳をした作品です。ゲーテは政治家としても活躍し、かのナポレオンからも尊敬されていた作家で、その言葉を詩で楽しめるというのは、なんだか嬉しいように思います。

  

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