変な音 夏目漱石

今日は夏目漱石の「変な音」を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。

これは、ごく短い小説なのですが印象深い話です。百年前の病院での出来事です。現代的な純文学というような雰囲気もありますし、私小説風の怪談のような気配もあります。とにかくごく短い掌編です。これがいったいどういう事情で書かれたのか気になったので調べてみました。この「変な音」という掌編は、1911年(明治44)に書かれているんですよ。

漱石の代表作の年表をざっと記してみますとこうなっています。

吾輩は猫である(1905年)
坊っちゃん(1906年)
草枕(1906年)
虞美人草(1907年)
三四郎(1908年)
それから(1909年)
門(1910年)

それで、この1910年(明治43)の夏に、療養先の伊豆の旅館で「修善寺の大患」と言われる病にかかり、吐血します。漱石の妻はそのことを振り返って「あの時三十分ばかりは死んで入らしたのです」と述べています。その頃のことをこの掌編で書いていて、以後漱石の後期文学が記されてゆくのです。年表はこうなっています。

彼岸過迄(1912年)
行人(1912年)
こゝろ(1914年)
道草(1915年)
明暗(1916年)

死ぬほどの事態のあとに、まだ作家として半分以上の人生があったようです。現代では平均寿命がもっと長いですから、より長生きするのが普通だと思うのですが、病をへて人生が更新されることは現代でもあり得るんだと思います。この掌編が書かれた年には、漱石の「それから」が流行っていて、流行語は「高等遊民」だったそうです。高等遊民というのは、高等な教育を受けながら仕事に就いていない若者のことです。



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 幼かった頃の夢想のことを、ゲーテは「黄金の空想よ」と記します。ゲーテの詩には、神話的なものと理知的なものが混在していて、これが魅力のように思います。ゲーテはゲルマン神話と、とくにギリシャ神話の影響が色濃いようです。
 この詩集は生田春月が翻訳をした作品です。ゲーテは政治家としても活躍し、かのナポレオンからも尊敬されていた作家で、その言葉を詩で楽しめるというのは、なんだか嬉しいように思います。

  

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