レ・ミゼラブル(22) ユーゴー

今日はビクトル・ユーゴーの『レ・ミゼラブル 第三部 マリユス』
『第六編 両星の会交』を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
 
 
前回、若き浮浪者となったマリユスは食うものにさえ困り、穴のあいたクツで町を歩き、着る服も無く、凍えて夜に眠ることも出来ないまま、まさに貧困のどん底の暮らしをしていました。しかし、作者ユーゴーはこう述べます。「不幸は大人物のためによき乳となる」マリユス少年は、じつは作者ユーゴー自身がモデルであるそうで、自立心が旺盛すぎて、伯母から送られてくるお金を送り返してまで、貧困と向かい合っているというすごい状態になっています。
 
 
ユゴーの書く貧困はドラマチックというか、まるで格闘する様を描いているような筆致で迫力があります。外部から観ると貧困はもの淋しく見えるのですが、ユゴーはその当人の心理がいかに沸きたっているかを内側から書くんであります。ユゴーは、貧しい、という状況を表現するのにこんな書き方をします。「ほとんど常に残忍なる継母である困窮は時として真の母となる」ユゴーはどのあたりの記憶をたどってこれを書いているのかというと、たぶん幼少時の貧しさと、それとパリから追放されたという最近の記憶をたどって書いているんだと思います。ユゴーは貧困だけでなく、不名誉についてよく知っていたように思えます。
 
 
今ではまったく流行らない清貧ということを徹底した青年マリユスは、父のための喪服を着ながら貧しく働きそして学問に励んでついに弁護士になります。ところでこの事実を手紙で知らせると、お祖父さんは大いに怒ってしまいます。お祖父さんは「弁護士でありながら男爵であることなどできない」と言うんであります。いつも黒い服に身を包んでいる青年マリユスは、それから本屋で雑用をしながらドイツ語と英語を学びます。なるほどここらへんは確かに、作者ユゴーの自伝っぽく読めるんだなと思いました。ユゴーという小説家はいかにして作られたかということを想像しながら読むと、なんだかおもしろいように思えました。ユゴーは貧しいながらも無借金であることの重要性を説いております。
 
 
マリユスは、父の恩人であるテナルディエを探しはじめます。いっぽうでマリユスを家から追放した祖父は、その仕打ちを後悔しているのであります。マリユスは実際にはほとんど会ったことの無かった亡父に強い思い入れがあり、その父を想像することで自らの人生を形成しているのであります。父が戦争で勇ましかったように、自分は赤貧に対して勇ましく挑もう、とマリユスは考えます。物質的充足が乏しい代わりに、マリユスには精神的な豊かさが実ったのだというのです。マリユスはマブーフ老人と植物に関する本を作る仕事をしています。マリユスは本を読み込むうちに英雄よりも詩人を好むようになり、ヨブ記を愛読するようになります。
 
 
マリユスはなにをも持たなかったが、ただ彼の美しい想像力だけがあった。彼はあらゆることを想像する力を持っていたのであります。
 
 


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 ここからは新サイトの「ゲーテ詩集」を紹介します。縦書き表示で読めますよ。
 幼かった頃の夢想のことを、ゲーテは「黄金の空想よ」と記します。ゲーテの詩には、神話的なものと理知的なものが混在していて、これが魅力のように思います。ゲーテはゲルマン神話と、とくにギリシャ神話の影響が色濃いようです。
 この詩集は生田春月が翻訳をした作品です。ゲーテは政治家としても活躍し、かのナポレオンからも尊敬されていた作家で、その言葉を詩で楽しめるというのは、なんだか嬉しいように思います。

  

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