沈黙の塔 森鴎外

今日は森鴎外の「沈黙の塔」を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
 
 
沈黙の塔、というのはこれは鳥葬をするための塔のことです。老衰や病や事故で亡くなった人の遺体を、塔の上に置いて、鳥にその体を葬ってもらうというものです。森鴎外の小説はやや難読の書で、1回読んだときにイメージが湧きにくいんですが、その小説の周辺事情を調べて、もう1度はじめから読み直すと、急に豊かなイメージが広がってくるんですよ。
 
 
この物語は危機的な事態について描いています。戦争時の芸術論のように読むことも出来ます。芸術や文化は危機に直面するための技術である、という話しを聞いたことがあるんですよ。森鴎外のこの小説はまさにそういう事態について描いています。
 
 
これは、wikipediaなどを調べてみると、どうも1905年の大逆事件についてかなり突っ込んで書いているものなんです。大逆事件というのは幸徳秋水が思想犯として死刑となって、その後いろんな本が×××の伏せ字になったり、出版を禁じられたり、作家や詩人が当時の日本のいちばん重要な方針にあわないという理由で逮捕される、というひどい状態になったんです。これにあらゆる文化人が抗議をしたんですよ。
 
 
軍人でありながら文学者であった森鴎外が、軍国化してゆく日本に対して、文学と思想に関する自由の意味を問うています。森鴎外はこう書いているんですよ。
 
 
 芸術の認める価値は、因襲を破る処にある。因襲の圏内にうろついている作は凡作である。因襲の目で芸術を見れば、あらゆる芸術が危険に見える。
 
 
ぼくはむかし、これの意味を取り違えて、「伝統も古典も日常も、なにもかもぶっこわせ」とか「過去のことは無かったことにしよう」というように考えてしまった気がします。そうでなくて、昔から続いてきたひどい仕組みである「因襲」を破って、これまでずっと続いてきたものをうまく機能するようにしないとダメなんだと今回読んでみて思いました。
 
 

 
 
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 幼かった頃の夢想のことを、ゲーテは「黄金の空想よ」と記します。ゲーテの詩には、神話的なものと理知的なものが混在していて、これが魅力のように思います。ゲーテはゲルマン神話と、とくにギリシャ神話の影響が色濃いようです。
 この詩集は生田春月が翻訳をした作品です。ゲーテは政治家としても活躍し、かのナポレオンからも尊敬されていた作家で、その言葉を詩で楽しめるというのは、なんだか嬉しいように思います。

  

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