ゲーテ詩集(32) 生田春月訳

今日は生田春月訳のゲーテ詩集(32)を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
 
 
今回の詩は、壮大な自然と古い神々とを描いています。日本で言うと古事記のはじまりのような雰囲気があります。この詩を翻訳した生田春月も西洋の詩人や哲学者たちに感化されて、古い神々についての詩を書いてもいるのですが、また一方で悲嘆について詩に書き残しています。2つ紹介します。
 
 
虐げられたるもの    生田春月

ああ虐げられたるものの涙流る。
叫ばんとするも口輪の口を箝するあり
走らんとするも鎖の身を縛するあり、
かくてなほ自由を得んと試みるものは
よくその良心に恥ぢざらんとするものは、
たちまちにその罰を受く。

ああ虐げられたるものの涙流る。
彼等の頭は垂れてまたあがらず
彼等の胆(きも)は縮みて伸びず、
しかもなほ彼等を慰むる者あらざるなり、
自由なる人は彼等を見ず、見るを欲せざるなり。
ああ空しく虐げられたるものの涙流る。
 
 
 
 
断章    生田春月

かつてわれミュウズの神に訊ねたりしとき
神はわれに答へたまひぬ、
汝もつひにはそれを見出でむと。
いと高きものについては黙(もだ)してむ。
月桂樹は禁断の果実なれば。
されど祖国こそ更に禁断のものならずや。
その果実すら人みなつひに味はふべし。
 
 
 
ゲーテは記します。


神々と人間との
差別はいかに?
神々の前には
無窮の河も
ただ流れ去るのみだが
そのおなじ波が我等を
(もた)げ、呑み
沈めてしまふ

小さな圏(わ)
我等の生を限る
さうして多くの人の子は
その存在の無限の鎖に
ひとりひとりに
つながつてゐるのだ
 

 
 
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 ここからは新サイトの「ゲーテ詩集」を紹介します。縦書き表示で読めますよ。
 幼かった頃の夢想のことを、ゲーテは「黄金の空想よ」と記します。ゲーテの詩には、神話的なものと理知的なものが混在していて、これが魅力のように思います。ゲーテはゲルマン神話と、とくにギリシャ神話の影響が色濃いようです。
 この詩集は生田春月が翻訳をした作品です。ゲーテは政治家としても活躍し、かのナポレオンからも尊敬されていた作家で、その言葉を詩で楽しめるというのは、なんだか嬉しいように思います。

  

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