ファウスト(37) ゲーテ

今日はゲーテの「ファウスト」その(37)を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。


前回、ついにファウストの惚れこんだ世界でもっとも美しい女ヘレネ(ヘレナ)が登場して、トロヤの女たちと話しあうというシーンが描かれました。


ヘレネと女たちはいったいなにを言ったのかというのを、ここにまとめてみました。


さかんに褒められたり、けなされたりもしたヘレネは、ポセイドンの波の恵みとエウロスの風の力で古里の入江に帰ってきた。女たちはヘレネに「あなたは誰よりも美しく、いちばんの幸せを受けてきた」と言います。ヘレネは夫に従って古里に帰ってきたんです。「死ぬる人間のわたくし共は、福でも禍でも、 こらえてお受申します」と言って古里の静まりかえった御殿に入ってゆきます。


女たちは、戦争の惨禍についてを語ります。そこに闇の女フォルキアデスというのが現れて暴言をはいてゆきます。それに答えてヘレネは、闇の女がこれまで留守中の古里を取り仕切ってきた労をねぎらい、以後は退くように助言します。それからこのように告げます。


わたくしは故郷の園にいながら、地獄へ引き込まれたような気がする。これは昔の記憶だろうか。我身を襲う物狂だろうか。————女子達は慄えている。それに年寄のお前一人平気でおいでだ。


女たちは闇の女に、もう不吉なことは言わずに黙っていてくださいと頼むのですが、闇の女はヘレネにこう言います。

お前は恵ある目で、世界がお前の前に展開しているのを見ておくれ。皆はわたしを醜いと云って嘲っても、わたしはこれでも美と云うものを見分けている。


女たちが「年の若い、可哀らしい男の群が、行儀好く、しずかな歩附きで、立派な行列を作って、降りて来ます」と告げると、そこで主人公のファウストが現れます。それからついに主人公と美女ヘレネが話しあうんですが、ここでファウストは「わたくしは息が出来ない位で、体は慄えて、ことばはつかえます。時も所も消えてしまって、夢ではないかと思っています」と述べ、ヘレネもファウストとの出会いをたいへんに嬉しく思っているようです。


自然界を描写する詩が美しいです。ゲーテはファウストにこのように語らせます。


静かな木蔭には、母親らしく、
生温い乳が涌いて、人や羊の子の飲物になる。
平地の人の食料になる、熟した果も遠くはない。
そして切り込んだ木の幹からは蜜が滴る。

ここでは健康が遺伝する。
頬も脣も晴やかになる。
人が皆その居所々々で不死になる。
皆満足して健かでいる。


ファウストはヘレネに対してこのように言って口説きます。


祝福のある土地に住むように誘われて、
あなたは一番晴やかな運命の中に逃げ込まれた。
王者の座がそのまま生きた草木の家になる。
アルカジアめく幸福を二人は享けましょう。





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 幼かった頃の夢想のことを、ゲーテは「黄金の空想よ」と記します。ゲーテの詩には、神話的なものと理知的なものが混在していて、これが魅力のように思います。ゲーテはゲルマン神話と、とくにギリシャ神話の影響が色濃いようです。
 この詩集は生田春月が翻訳をした作品です。ゲーテは政治家としても活躍し、かのナポレオンからも尊敬されていた作家で、その言葉を詩で楽しめるというのは、なんだか嬉しいように思います。

  

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