疑問と空想 寺田寅彦

今日は寺田寅彦の「疑問と空想」を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
 
 
えーと、これは短い随筆なんですが、寺田寅彦が、自然界で起きるごく小さな事象について考察しています。おもに鳥は鳴くことによってどういうことを探っているのかということが記されています。言われてみるまで数十年間、まったく考えたこともなかったことを寺田寅彦が考えていてすごいなあと思いました。
 
 
コウモリは音波を飛ばして、目で見るかわりに音で外部の造形を察知しているということは現代ではすでに科学的に明らかにされているんですよ。暗闇の中、レーダーのように耳で洞窟の正確な造形を探るわけです。人間で言うと目隠しをした暗やみの状態で、相手の体を触っていってどういう姿かを知るというようなことを、コウモリは耳を使って一瞬で察知しているわけです。寺田寅彦は科学的な証拠を得る前に、生物がおそらく音を使って外部の造形を把握しているにちがいないという指摘をしています。この人すごいなあと思いました。いや一般的な鳥がはたしてコウモリのように音の反響を使ってそれを行っているのかどうかは今でも謎だと思うんですけど。鳥はまず、仲間との交信のために鳴いているわけですし。ただ、同時にどうも飛行のための補助レーダーとしても使っているようだと、いう指摘でした。とにかく寺田寅彦の指摘ののちに、科学者たちがこれの一部が本当だったと言うことを証明しているんです。
 
 
それでつねに論理的な思考ということを実践する寺田寅彦にとっては、いっけん似ているですね、九官鳥のことばと、人間のことばは、これは音だけを比べてみても、じつはかなり「似ていない」んだということを指摘しているんですよ。似てると思うのは単に「そう思い込みたいだけ」なのであって、冷静に聞いてみると、こりゃぜんぜんちがうよ、と氏は指摘しているのであります。また九官鳥と人間の声の波長を細かに分析することを科学者に勧めていますが、こういう研究の発展がけっきょく現代の人工音声技術に繋がったんだろうなと空想しました。appleは声を正確に読解するsiriというシステムを作って、日本は設定された通りにきれいな歌声を出す電子人形の初音シリーズをつくったという、このちがいも江戸鎌倉平安時代からの日本の流れが顕著になったちがいだなと思いました。日本は高度な人形を作るのが昔からの得意分野のようです。
 
 
寺田寅彦は、九官鳥の声と人間の言葉がもう、まるでちがうということを「柳と幽霊」くらいちがうよって書いています。現代哲学者がですね、この問題を詳細に検討している随筆を読んだことがあるんですが、寺田寅彦は自然界を観察しながら思索を深め、ものごとの先鞭をつけるのが上手いんだ、と思いました。
 
 

 
 
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 幼かった頃の夢想のことを、ゲーテは「黄金の空想よ」と記します。ゲーテの詩には、神話的なものと理知的なものが混在していて、これが魅力のように思います。ゲーテはゲルマン神話と、とくにギリシャ神話の影響が色濃いようです。
 この詩集は生田春月が翻訳をした作品です。ゲーテは政治家としても活躍し、かのナポレオンからも尊敬されていた作家で、その言葉を詩で楽しめるというのは、なんだか嬉しいように思います。

  

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