神曲 天堂(22) ダンテ

今日はダンテの「神曲 天堂」第二十二曲を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
 
 
ダンテは導き手であるベアトリーチェのことを、二十四歳という年下の恋人として描くのではなく、成長した女として描いてきたのですが、今回、そのベアトリーチェのことを、ダンテは、母と記しています。
 
 
天堂で、さけび声を聞き、ダンテは衝撃を受けてしまいます。ところが、それは天の祈りの声なのだと、ベアトリーチェは、主人公ダンテに諭すのでした。それから導女は、ここにいる魂を見なさい、と天の人々を見るように話しかけます。そしてダンテは、ベアトリーチェにこう言います。「あなたが示す愛と、天の人々の良き姿は、まるで日の光をうけて薔薇が美しく開くかのようだ」山川訳はこうです。
 
 
汝が示す所の愛と汝等のすべての焔にわが見て心をとむる好(よ)き姿とは

わが信頼の念を伸べ、そのさま日の光が薔薇を伸(の)べてその力のかぎり開くにいたらしむるごとし
 
 
天の人々は、主人公ダンテに「あなたのいちばんの願いは、天のいちばん中心のところで、ほんとうに叶えられるでしょう」と告げました。
 
 
天堂についに、もっとも天の中心へゆくための「はしご」が登場します。キリスト教徒でもあったある一人の哲学者が悩む若者たちに対して「はしご」の必要性ということを、とても印象的に書いていたことを思いだして、あの哲学者は、ダンテ神曲の、この物語について考えていたんだなと思って、感動してしまいました。
 
 

 
 
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文壇の趨勢 夏目漱石

今日は夏目漱石の「文壇の趨勢」を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
 
 
これはごく短いエッセーなんですが、漱石の生きている時代の、日本の小説家たちのことを論じています。漱石は多忙の中でも日本の作家たちの新作を読みつづけていて、しかも、どれもかなりおもしろい作品ばかりだと、ほめています。
 
 
漱石は不機嫌な人だったと聞いていたので、かなり意外だったんですが、イギリスの文壇と比べてみても、日本の1908〜1909年(明治の終わり)ごろの、日本の小説はなかなか良いですよと書いています。
 
 
良い感じに競いあっていて、同種どうしの作品も磨かれつつあり、また文壇に反発をして異形の作品を書いている作家も、同時に出てきていると書いています。漱石は、競い合わないと文学は進歩しないと考えていて、伝統的な表現者の競い合いと、革新的で新興的な表現者の、圏外からの勢力拡大と、両方が盛りあがるべきだと考えています。それから、おおぜいの読者たちのうねりというのが、文学の未来を決定付けるところがあると、いうことを書いています。
 
 
漱石はこの随筆で、実際に実名や作品名をあげずに、全体的な傾向を批評しているんですが、それがかえって内容をおもしろくしている随筆だと思いました。漱石がこの随筆を書く前に、なにを読んだのかちょっと調べてみたのですが、まったく判りませんでした。1908年当時に、有名になった本は、田山花袋の「一兵卒」や、国木田独歩の「竹の木戸」や、正宗白鳥の「何処へ」という作品なんです。
 
 
漱石の手紙、というのがほんとうにたくさん残っているそうで、漱石の専門家やファンはこれを読んでいるそうなんですが、漱石は数多くの人々に一人一人手紙を出しているんです。ただの読者であるとか、あるいはデビュー前の芥川龍之介であるとか、漱石を文学の世界に引きいれた正岡子規との手紙とか、それから小学生の読者に送った手紙とか、いろんな手紙が残っていて、しかもひとつひとつが、おもしろいのだそうです。こんど読んでみたいです。
 
 

 
 
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神曲 天堂(21) ダンテ

今日はダンテの「神曲 天堂」第二十一曲を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
 
 
今回の土星天では、天国の華やかな喜びを突き抜け、静かな安らぎと言うことが、広がっている世界なのでした。沈黙と共にある、静かな幸福に満たされた領域です。
 
 
えーと、いまなにか仕事が立て込んでいて、安らかさからはほど遠い心境で読んだので、むつかしかったです。この天堂の土星天に暮らす者は、生前も、黙想の生活をして、静かに生きていたのであります。
 
 
この天堂にいる、ペトルス・ダミアニ(ピエートロ・ダミアーノ)は、質素であることをたいせつにしていて、豪奢な毛皮に身を包み、ぜいたくのかぎりをし尽くしている聖職者について、まるで二匹の獣が進むかのようだと、批判をしています。山川訳はこうです。
 
 
かれらまたその表衣(うはぎ)にて乘馬(じようめ)を蔽(おほ)ふ、これ一枚の皮の下にて二匹の獸の出るなり、あゝ何の忍耐ぞ、怺(こら)へてこゝにいたるとは。
 
 

 
 

 
 
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海潮音(4) 上田敏

今日は上田敏の「海潮音」その4を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
 
 
このまえ、夏目漱石の随筆を読んで、そこに良い美術と、問題のある美術とのちがいについて漱石が書いていて、神話の神々のように筋骨隆々で勇ましい農民の彫刻を見て、あれは嘘八百でよろしくない、ということを書いていて、たしかに美化して理想化するのは芸術として良くない態度なんだろうなあ……。と思いました。今回の詩は、文体を日本昔話に書き換えてしまうと、なかなか面白い出だしだと思いました。
 
 
夢の中で、農民が1人やって来て、「あしたっから、パンや米を食いたかったら、全部自分で耕して収穫してくれ」と言われる。それでしかたが無いから自分で米を作ることにして、大地に種を蒔いていたら、今度は洋服屋さんがやってきて、「あしたっから、服を着たかったら、全部自分で糸をぬって、一から服を作ってくれえ」と言われて、それでしかたが無いのでとりあえず裸になって、糸を編みはじめる。どうもこうもならんくなって、だれかオラをあわれんでくれと言うと、道をふさぐ大きなライオンが現れてしまう。
 
 
はっと気がついて、目が覚めると、米を作る農民たちが田んぼで仕事をしていた。男はいろんな人の愛について考えるようになった。という感じの昔話っぽい詩でした。原文はもっと、美しい文章なんです。たった2ページの詩ですので、興味があったらぜひ読んでみてください。
 
 
むずかしい言葉を調べてみました。
 
 
なが(汝が)
 
ふたぐ
http://dictionary.goo.ne.jp/leaf/jn2/193089/m0u/

凌ぐ
http://dictionary.goo.ne.jp/leaf/jn2/99620/m0u/
 
 

 
 
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神曲 天堂(20) ダンテ

今日はダンテの「神曲 天堂」第二十曲を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
 
 
今回は、非常に興味深い人物が登場します。トロイア人のリペウスという人物なのですが、これはとても不思議な登場人物なんです。すこぶる存在感がありました。というのも、この神曲では基本的に、キリスト教の描く天国を記していっているわけなのですが、リペウスはちっともキリスト教徒では無いんです。リペウスは生前、キリスト教と無縁だった。しかし天国のかなり重要なところに住んでいて、重大な仕事をしている。
 
 
人々の中に鳥が一羽混じっていて、言葉を話しているような衝撃があって、主人公ダンテは思わず「これはどういうことなのですか?」と聞く。
 
 
作家ダンテの思い描くキリスト教の世界観では、決まりごとを破るほどの、強い愛や信念というのがあって、たとえ見た目上は信仰とまったく無縁なものであっても、人生を終えるまでのある瞬間に、キリストのことを真に思い、信じ、キリスト者となった者は居るのだというのでした。地獄から現世に戻り、この天国にまで辿りつくことになった者さえいる、という展開でした。なんだか親鸞の教えとか、ギュンターグラスの人生とかを無意味に想起しました。例外というのがあるんだ、ということを主張するダンテが、なんともかっこ良かったです。
 
 
人間全体の知識の不完全さを実感し、そして未来の見えない自分であっても、甘美な安らぎを感じる瞬間は訪れうる、というダンテの描写にしびれました。
 
 

 
 
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読書と著書 矢内原忠雄

今日は読書と著書 矢内原忠雄を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
 
 
これは、古典がどういうように楽しいかということを書いている、ごく短い随筆です。
 
 
最近は、テレビとかマンガとかで、古事記や源氏物語の要点を伝えて紹介しているものが多いので、素人の自分たちが古典の入口に立つことは容易になってきたと思います。矢内原は、ぜひ古典を良い翻訳で、全文読んでみてくれと、書いています。
 
 
矢内原は、古典は現代人がどうしても言えなくなってしまった、ほんとうのことを率直に書いているのが良い、と述べます。たしかにたとえばダンテのあの徹底的な善悪の追及は、現代人が書きようのないことのように思えます。矢内原忠雄は1937年の戦時中に、国家への批判の必要性を説いており、かなり厳しい時代をすごしたようです。くわしくはwikipediaに書いているのですが、矢内原はこう主張しています。
 
 
 国家が目的とすべき理想は正義であり、正義とは弱者の権利を強者の侵害圧迫から守ることであること、国家が正義に背反したときは国民の中から批判が出てこなければならない
 
 
現代にぴったりと当てはまる内容だと思います。第二次大戦のはじまる時代に、矢内原は、古典の一部だけを取りだして、それを歪めて引用し、暴力的思考を惹起する大組織への具体的な批判を行っています。
 
 
またこの「読書と著書」では、こんなことを書いています。
 
 
 私は少数の青年たちに古い書物の講義をして居るのである。第一に聖書、第二にアウグスチヌスの『神の国』、第三にアダム・スミスの『国富論』。
 
 現代の人が時局の下に萎縮してしまって、何も語らないか、或は奴隷の言葉を以てしか語らないか、或は偽り曲げた言葉を語る中にあって、古典は率直に、詳細に、真実を語ってくれる。しかもその語るところは現代の活きた現実に触れている。古典は我々に真理の永遠性を感ぜしめる。我々は古典を読んで、驚くほどに現代を知るのである。
 
 
すこぶるおもしろい随筆でした。興味を持たれましたら、全文を読んでみてください。
 
 

 
 
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神曲 天堂(19) ダンテ

今日はダンテの「神曲 天堂」第十九曲を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
 
 
天堂篇もいよいよ終盤にさしかかってきて、ますます高い知性の登場人物というのが出てきます。その新たな登場人物に、ダンテは重大な質問をし続けるのです。ちょっと哲学書っぽい設定でもあるなと思いました。
 
 
今回はローマ皇帝とも関わり深い、巨大な鷲の魂というのが現れます。ダンテの今回の疑問は、キリスト教を知らぬ善人と、キリスト教の信仰をしつつ明らかな悪行をしつづけてきた者たちとの、この二者がのちにどのようになるか、という問題です。異文化と、内部の腐敗の問題を説いています。
 
 
おおきな鷲は、こういうことを述べます。異教徒がみなすべからく全否定されるようなことは無い、と。たとえキリストを知らぬものであっても、その者が生きている頃に悪をなさない誠実な人であったなら、死後に過酷な裁きを受けるようなことは無く、逆に悪業を積み重ねてきた「キリストの名を叫ぶもの」は、裁きののちに、キリストから極端に遠ざけられる、ということを記しています。
 
 
あまたの魂があつまって、美しい鷲の姿になる、この巨きな鷲の登場シーンに迫力がありました。山川訳ではこうです。
 
 
うるはしき樂しみのために悦ぶ魂等が相結びて造りなしゝかの美しき象(かたち)は、翼を開きてわが前に現はる

かれらはいづれも小さき紅玉が日輪の燃えて輝く光を受けつゝわが目にこれを反映(てりかへ)らしむる如く見えたり
 
 

 
 
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