草枕(4)夏目漱石

今日は夏目漱石の「草枕」その4を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
 
 
この「草枕」は1章1章で、文体がなんか変化しているのが面白いです。今回はとくに、起承転結の「承」あたりの描写で、気を抜いた書き方で、文体の遊びというのがあって、印象的でした。本文にこう書いています。
 
 
  ぽかんと部屋へ帰ると、なるほど奇麗に掃除がしてある。ちょっと気がかりだから、念のため戸棚をあけて見る。下には小さな用箪笥が見える。上から友禅の扱帯(しごき)が半分垂れかかって、いるのは、誰か衣類でも取り出して急いで、出て行ったものと解釈が出来る。扱帯の上部はなまめかしい衣裳の間にかくれて先は見えない。片側には書物が少々詰めてある。一番上に白隠和尚(はくいんおしょう)の遠良天釜(おらてがま)と、伊勢物語の一巻が並んでる。昨夕のうつつは事実かも知れないと思った。
 
 
まったく普通の事態を書いているのに、擬音や読点や副詞の使い方がじつに独特で、見たことのない印象をかもし出しています。「ぽかんと部屋へ帰る」とか、あと漱石の造語とくに当て字というのは、じつに独特です。
 
 
主人公は、はじめて泊まる宿を興味深くながめてゆくんですよ。そこに、かつての客や主が書いたらしき、俳句がいくつか転がっている。それから、女中と少し話をする。男は、茶室や利休以後の風流について少し腐しながら、こういう心境で居るのでした。

 
  こうやって、煦々(くく)たる春日(しゅんじつ)に背中をあぶって、椽側(えんがわ)に花の影と共に寝ころんでいるのが、天下の至楽(しらく)である。
 
  出来るならば鼻から呼吸もしたくない。畳から根の生えた植物のようにじっとして二週間ばかり暮して見たい。
 
 

 
 
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 幼かった頃の夢想のことを、ゲーテは「黄金の空想よ」と記します。ゲーテの詩には、神話的なものと理知的なものが混在していて、これが魅力のように思います。ゲーテはゲルマン神話と、とくにギリシャ神話の影響が色濃いようです。
 この詩集は生田春月が翻訳をした作品です。ゲーテは政治家としても活躍し、かのナポレオンからも尊敬されていた作家で、その言葉を詩で楽しめるというのは、なんだか嬉しいように思います。

  

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