草枕(8)夏目漱石

今日は夏目漱石の「草枕」その8を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。


20代の若い和尚と、老人と、主人公の画家とで、茶を飲むことになった。茶碗を見たり、硯を見たりして、骨董の鑑賞会のようになる。
 
 
びっくりしたんですけど、田舎の山奥で、中国の骨董とかそういうたわいも無い世間話をしているうちに、戦争に連れてゆかれる若者が居る、ということばを突如聞く。現代で言うと、秘密保護法違反で、いきなりごくごく一般的な知識人が捕まったようなくらい、突然の展開でした。この「わっ」と思わせるのがやはり漱石なんだと思いました。
 
 
軍医の森鴎外のみならず、いつも病気がちだった正岡子規(漱石の親友なんですが)までもが、戦地へと赴くことになった、そういう時代を移し込むように、漱石は作中にこう描いています。
 
 
  この夢のような詩のような春の里に、くは鳥、落つるは花、くは温泉いでゆのみと思いめていたのは間違である。現実世界は山を越え、海を越えて、平家へいけ後裔こうえいのみ住み古るしたる孤村にまでせまる。
 
 
目の前に、もう数日ほどで戦場へゆく青年が居る。
 
 
  しかしてその青年は、夢みる事よりほかに、何らの価値を、人生に認め得ざる一画工の隣りに坐っている。耳をそばだつれば彼が胸に打つ心臓の鼓動さえ聞き得るほど近くに坐っている。


今回、ほんとうに息をのむような展開でした。漱石は映画的というか、静と動の緩急のつけ方が非常にあざやかだと思いました。
 
 



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 幼かった頃の夢想のことを、ゲーテは「黄金の空想よ」と記します。ゲーテの詩には、神話的なものと理知的なものが混在していて、これが魅力のように思います。ゲーテはゲルマン神話と、とくにギリシャ神話の影響が色濃いようです。
 この詩集は生田春月が翻訳をした作品です。ゲーテは政治家としても活躍し、かのナポレオンからも尊敬されていた作家で、その言葉を詩で楽しめるというのは、なんだか嬉しいように思います。

  

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