草枕(9)夏目漱石

今日は夏目漱石の「草枕」その9を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
 
 
今回は、小説を読む、ということについて書いています。主人公の旅人が、本を読んでいるところから始まります。
 
 
漱石の文学研究の中心は、シェークスピアなどの演劇の脚本が多かったそうで、漱石は将来的には舞台の創作がやりたかった、のかもしれないんだそうです。最後の作品「明暗」を書きおえたあとに、シェークスピアのような劇作家や、舞台の演出家みたいになっていったんじゃないかとか、いう噂があるそうです。ほんとかどうかじつに怪しい噂なんですが、漱石が現代に生きていたら映画をやっただろうなと思いました。
 
 
この草枕は、漱石の将来の作品をみごとに暗示するもので、主人公が「死ぬまで、恋愛についてどうこう考えるのが面白いんです」ということを言ったりする。じっさいの漱石の絶筆も、たしかに最後まで、男女間の三角関係を書いているんだから、なんとも面白いなあと思いました。
 
 
漱石が、奇妙な小説論を書いている。小説は順番に読まないで、途中から途中まで読んだって、面白いんだとか、びっくりするようなことを、主人公に言わせます。この草枕は、章が変わるごとに、場面がガラッと変わっていて、章の区切り方が唐突で、そこがかっこ良いんですけど、漱石自身が、小説の筋がだらだら続くよりも、唐突に切り替わるほうが面白い、と思っていたようなんです。画家と小説家の感性のちがいを、漱石が見分けているところが面白かったです。
 
 
なにか、ツイッターで面白い発言を読むかのように、唐突に話の真ん中を読みはじめる主人公の画家がこう言います。「誰だか、わたしにも分からないんだ。それだから面白いのですよ。今までの関係なんかどうでもいいでさあ。ただあなたとわたしのように、こういっしょにいるところで、その場限りで面白味があるでしょう」……「なんだか船の中のようですね」という記述が、なにかネットサーフィンか何かのようでした。
 
 
「明暗」以降に、漱石がもしなにかをしていたら、どんな面白いことをしただろうかと、空想をするための材料が、たくさん残されているなあ、と思いました。
 
 
あと、この「草枕」の主人公は、不人情では無い「非人情」を求めていると、しかも辞書に書いているような、冷酷さを求めているのではなくて、人情を越えたなんだか、という世界を求めていて、そのことが語られています。
 
 
私が安らかに眠っているところを、苦から解放されたところを、ひとつ描いてみてください、と女は言います。
 
 

 
 
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 幼かった頃の夢想のことを、ゲーテは「黄金の空想よ」と記します。ゲーテの詩には、神話的なものと理知的なものが混在していて、これが魅力のように思います。ゲーテはゲルマン神話と、とくにギリシャ神話の影響が色濃いようです。
 この詩集は生田春月が翻訳をした作品です。ゲーテは政治家としても活躍し、かのナポレオンからも尊敬されていた作家で、その言葉を詩で楽しめるというのは、なんだか嬉しいように思います。

  

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