草枕(12)夏目漱石

今日は夏目漱石の「草枕」その12を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
 
 
漱石のじつに奇抜な芸術論が、画家の名を借りて展開されているんですが、なんとも面白いです。出来上がっているものが稚拙でしかなく、夜に鳩が飛ぶものだと思い込んでいたような人であっても、なにかを創作していて自分で満足をし十全である、という状況を得ることが出来るのならば、それは芸術家として、満ちたりている、と言うんですよ。
 
 
まだ言葉をほとんど発していない詩人は、詩人として完璧である、とでも言うのか。ちょっと説明が、原文と乖離しすぎていてあれなんですが……、もし興味がおありでしたら、今回の12章の冒頭だけは、ぜひちょっと再読してみてください。
 
 
正確には漱石は、ワイルドの『獄中記』に記された「キリストは、最高の個人主義に生きた、一人の芸術家であった」という劇的な考察のことをとりあげつつ、書いています。
 
 
たとえ技巧の鍛練を積みまくっていても、やたらなやっかいごとに追い回されているような状況だったら、どうも画家とは言えないな、と主人公は思うんであります。厭世的な主人公なんです。
 
 
それで、主人公はいったいどういう絵のことを好んでいるのか、想像してみて、やっぱり村山槐多の『尿いばりする裸僧』のような作品のことかなと、思いました。
 


あるいは、仙厓義梵の「○△□図」のような画境のことを言っているのかも知れない、と思いました。
 
 
主人公は、描く前にこそ、画境というのがありうるんだと、思っているのであります。それから主人公は、遠くのほうで那美さんと見知らぬ男が、なにやら不可思議な話し合いをしているのを、映画の美術監督のようなまなざしで、じっとみています。どうも離縁したもと夫だったわけなのですが、そういうのを眼からだけで見ている、というのが映画的でした。
 
 

 
 
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 幼かった頃の夢想のことを、ゲーテは「黄金の空想よ」と記します。ゲーテの詩には、神話的なものと理知的なものが混在していて、これが魅力のように思います。ゲーテはゲルマン神話と、とくにギリシャ神話の影響が色濃いようです。
 この詩集は生田春月が翻訳をした作品です。ゲーテは政治家としても活躍し、かのナポレオンからも尊敬されていた作家で、その言葉を詩で楽しめるというのは、なんだか嬉しいように思います。

  

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