十五年間 太宰治

今日は太宰治の「十五年間」を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
 
 
日中戦争から太平洋戦争と敗戦までの期間を十五年戦争と言うんですが、これは太宰治が戦時中に東京で暮らした15年間のことを書いています。
 
 
太宰は戦中に文学をやった数少ない作家です。この他に戦中をリアルタイムで書いた作家というと、坂口安吾、永井荷風が思いうかびます。
 
 
太宰は戦中に発禁処分を受け、さらには戦後にGHQから文章の削除命令も出された作家で、ちょっと調べていたんですが、昔の発禁は非常に多くて、太宰は二十代前半で「花火」を発禁にされています。こちらこちらこちらのサイトに発禁本の年表があったので参考にさせてもらいました。1930年から1933年あたりがとくに発禁本が多くて、毎年約200冊ほどが発禁に指定されました。

■ かつて発禁となった作品

1905年  島崎藤村「旧主人」
1909年 永井荷風「ふらんす物語」「祝杯」「歓楽」
1909年 森鴎外「魔睡」「ヰタ・セクスアリス」
1909年 トルストイ「人間生活」
1914年 モーパッサン「女の一生」
1917年 萩原朔太郎「月に吼える」
1918年 志賀直哉「或る朝」
1918年 田山花袋「燈影」
1929年 小林多喜二「蟹工船」
1931年 中野重治「中野重治詩集」
1937年 島木健作「再建」
1940年 織田作之助「夫婦善哉」
1942年 谷崎潤一郎「細雪」
1943年 中野正剛「戦時宰相論」
1944年 毎日新聞「竹槍記事」
 
 
文学の名作といわれるものはほとんど発禁に指定されてしまって、言論の自由がなかった。太宰治は、「十五年間」という随筆で、昭和八年(1933)二十四歳の「魚服記」のころから書きはじめ、こう記しています。

  昭和十七年、昭和十八年、昭和十九年、昭和二十年、いやもう私たちにとっては、ひどい時代であった。
 
1942年から1945年まで、ひどい時代だった。それから太宰は「思い出」という作品について語り、また井伏鱒二に文章を直してもらったこともあり、その指導はかなり厳しいものだったと書いています。他にも太宰の代表作がどのような状況で書かれたのか、記されていました。
 
 

 
 
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 幼かった頃の夢想のことを、ゲーテは「黄金の空想よ」と記します。ゲーテの詩には、神話的なものと理知的なものが混在していて、これが魅力のように思います。ゲーテはゲルマン神話と、とくにギリシャ神話の影響が色濃いようです。
 この詩集は生田春月が翻訳をした作品です。ゲーテは政治家としても活躍し、かのナポレオンからも尊敬されていた作家で、その言葉を詩で楽しめるというのは、なんだか嬉しいように思います。

  

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吾輩は猫である(2) 夏目漱石

今日は夏目漱石の「吾輩は猫である」その(2)を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
 
 
この小説の魅力は、あの、猫のまなざしという、当時まったく体験不可能だったはずのファンタジーなところから、漱石の実生活を描いたかのような私小説っぽくてリアルなものを描いていったという、その硬軟のギャップの絶妙さにあるんだと思うんです。視点が、猫の眼にバシッと固定されていて、猫が自由に語っている。映画でやったらおもしろい映像になっているだろうなあ、と思いました。
 
 
よく、友だちと遊んだ後に彼が家に帰って、急に一人っきりになるとさみしい顔になってしまう、という場面がありますが、この「猫」のはなしでは、その逆のシーンが描かれていて、主人はですね、知人がやって来る寸前のところで妙にビクビクしている、という姿が、猫の眼に捉えられてしまっていて、面白いところを切りとるもんだと思いました。
 
 
まったくどうでも良い話なんですが、この小説の「吾輩」という猫の風貌は、クロネコでは無くて、じつはこうなんです。本文にこう書いています。
 
 
  吾輩は波斯産ペルシャさんの猫のごとく黄を含める淡灰色にうるしのごとき斑入ふいりの皮膚を有している。
 
 
ペルシャ猫じゃ無くて、日本の雑種ですよ。それで、ちょっとペルシャ猫っぽい、斑点がある猫だと。このサイトこのサイトの猫に、薄墨色と斑点がついたら、漱石の「吾輩は猫である」の猫の姿なんだろうと、思いました。
 
 
私に名前もつけないのかと、猫は不満である。そういえば、源氏物語でも重要人物の名前がいまひとつ明記されていなかったりするんです。白君というのが近所に住む猫で、飼い主に、生まれたばかりの子猫たちを捨てられたことを怒っている。人間と猫の関係性を描きつつ、権力者と人々の対立の構図をあらわしているかのようでした。
 
 
「吾輩」という猫以外にも、いろんな猫が登場して、大きな身体のクロネコの大王(車屋の黒)というのが印象的でした。クロネコは、ネズミ取りの名人で、とったネズミを人間が交番に届けてお金をもらっているという話しをします。wikipediaでこの一件を調べてみると、「ペスト」のページにこんなことが書いてありました。

  1899年は45人のペスト患者が発生し、40人が死亡した。翌年より東京市は予防のために一匹あたり5銭で鼠を買上げた。1901年(明治34年)5月29日警視庁はペスト予防のため屋内を除き跣足(裸足)にて歩行することを禁止した(庁令第41号)。ペスト患者数のピークは1907年で患者数は646人であった。
 
 
ところで、作中で連呼される「トチメンボー」というのは、実在しない食べものののことで、そんな食いものは無い。無いんだけど、「栃麺棒」という言葉は存在していて、これはこういう意味で、「あわて者」とかを意味したりします。
 
 
この小説は、漱石の処女作なんですけど、どうもこう話があっちこっちいってピンとこないところがあります。草枕や漱石三部作を愛読した人は多いんですけど、「吾輩は猫である」を読み込んだ人はもしかして少ないんでは無いか……と思いました。
 
 
「主人」は、画家のアンドレア・デル・サルトにご執心なんですが、この人物、架空の画家かと思ったら、実在する画家でした。ちょっとビビりました。どうせならもっとこう、迫力のある画家について論じれば良いのに、中途半端な画家を取りあげたもんだと思いました……。
 
 
作中の、この文章が印象に残りました。

  僕の小学校時代の朋友ほうゆうで今度の戦争に出て死んだり負傷したものの名前が列挙してあるのさ。その名前を一々読んだ時には何だか世の中が味気あじきなくなって人間もつまらないと云う気が起ったよ。
 
 
作中の many a slip ‘twixt the cup and the lip ということわざは、こういう意味です。
 
 
三毛子という猫が病で亡くなってしまい、その葬儀が行われた。猫が猫の死を知る……、というのは現実にはどのようなものか、自分にはまるで判然としない、と思いました。現実の猫と人とはやはり、決定的に心象風景が異なるだろう、と改めて思いました。
 
 

 
 
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 この詩集は生田春月が翻訳をした作品です。ゲーテは政治家としても活躍し、かのナポレオンからも尊敬されていた作家で、その言葉を詩で楽しめるというのは、なんだか嬉しいように思います。

  

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十二月八日 太宰治

今日は太宰治の「十二月八日」を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
 
 
この作品は、30代の太宰治が、1941年12月8日の太平洋戦争開戦のことを、10日以内にほぼリアルタイムで書いたものです。
 
 
「十二月八日」が書かれる前から、数多くの作家が、軍国主義の情報局(旧内閣情報委員会)から伏せ字の強制や発禁処分、そして逮捕投獄されるような悲惨な状況で、とてもじゃ無いけど、軍の批判なんて出来ない時代でした。
 
 
太宰は作中に、100年後にも読まれる日記を書かなくっちゃ、と主人公に言わせています。まさにその通りで、太宰治は70年後にも読まれる作家になったわけですけれども。
 
 
15年戦争時代の言論統制というのがどのようなものであったのか、法政大学の社会問題研究所の「太平洋戦争下の労働運動 第五編 言論統制と文化運動」というページがあるのですが、ここに正確な情報が載っていますので、興味のある方はぜひ読んでみてください。ドイツファシズムはヒトラーという独裁者を中心にして暴力が拡大していったのですが、日本ファシズムで中核を担ったのは軍や政府や大企業における官僚的集団だったわけで、これが最終的に滅亡以外ありえない戦争を、拡大してゆく勢力の中心になってしまった。
 
 
大規模な言論統制があって、太宰は専業作家なので、とにかく筆一本だけで何かを書かないと、生きていけないという状況にあったため、薄氷を踏むようにして戦争文学を描くことになりました。
 
 
戦後の太宰治は、占領軍のGHQからも規制を受けてずいぶん苦労をしていたようなのですが、どうもこの作品をGHQが読んじゃったのが原因ではなかろうか……と妄想していました。じっさいなぜGHQが太宰治の戦後作品に細かく削除指示を出していたのか、かなり謎なんです。
 
 
「十二月八日」は日本ファシズムの時代の、排外主義と人種差別の激しさが、如実に伝わってくる作品で、非常に生々しくて、怖ろしい作品です。戦争をするために、消費税(みたいな税金)も20%に跳ね上がっていて、戦時体制で外灯がことごとく消されて夜道が暗い。まったく現代の日本にそっくりなところがあるので不気味です。
 
 
この作品が書かれた25年ほど前に、漱石の「こころ」の冒頭で、白人が海水浴場にあらわれる場面が描かれているわけですが、排外主義の無い時代の日本は、基本的には、白人や外国人を美しい人として捉えていたのが一般的で、しかし15年戦争の時代には、軍国主義によって外国人への憎悪が煽られていて、太宰がこの作品で描いているような感覚が、世間の一般となっていた。
 
 
共感できる感情描写も多くて、無垢な赤んぼうを、女が見るまなざしにはすこぶる迫力がありました。日本のファシズムが、人間のどこまで入りこんでいたのかが明確に記されている、戦争の時代そのものの小説でした。
 
 

 
 
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吾輩は猫である(1) 夏目漱石

今日は夏目漱石の「吾輩は猫である」その(1)を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
 
 
「坊っちゃん」を読みおえたので、今度は漱石の処女作の「吾輩は猫である」を読んでゆきたいと思います。漱石の代表作を読みおえてから、もっとも迫力があるという噂の、虞美人草を読むことにしたいと思っています。
 
 
第一文目から、小説の最大の魅力である、まったくの他者からのまなざしが描かれています。猫がはじめて人間を見たときの、なんというのだろうか、そのつるつるの肌の火星人でも見たようなショック。
 
 
不思議の国のアリスでは、ウサギが時計を見ながら言葉を話すところから、物語がはじまるのですが、漱石はそれを読んだのかなーと思いました。漱石とルイスキャロルには共通項が多いはずなんです。漱石は作家になるまえは英文学と英語の学者でしたし、ルイスキャロルは小説を書く前は、論理学の学者でした。「不思議の国のアリス」の初版は1865年のイギリスで、1886年ごろにもたいそう売れていた本です。漱石がイギリスに留学したのは1900年からの2年間。20年くらい前によく売れていた本は、手に入れやすかったと思うんです。しかも、漱石はイギリス留学中にカルチャーギャップをはげしく感じて、まさにアリスが異世界の迷宮で困り果ててしまったみたいに、漱石もイギリスでトンチンカンな感覚におちいってしまって、勉強どころのさわぎではなくなってしまった。じつに共通項だらけです。
 
 
しかし漱石がなにかルイスキャロルを愛読したというような逸話は聞いたことが一度もありません。時代がちょうど、「動物から見たらこの社会はどう見えるんだろうか?」という感覚に近くて、イギリスでは「不思議の国のアリス」が流行し、日本では「吾輩は猫である」が流行したのかもしれません。
 
 
日本の近現代小説のスタートは、この小説からだった、と言われるくらい有名な本で、もしまだ未読でしたら、ぜひこの機会にどうぞ読んでみてください。
 
 

 
 
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薄明 太宰治

今日は太宰治の「薄明」を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
 
 
今回の短編では、太宰は、戦争による被害をじつに淡々とした文章で記しており、当時の緊迫した状況が記されています。太宰本人が「私は」という書き方で日記のように、昭和20年(1945年)の4月ごろの状況を書いています。
 
 
空襲については、1942年(昭和17年)の4月から日本本土への空襲がはじまり、1944年11月ごろから東京への空襲が激化し、敗戦の日まで繰り返し行われています。
 
 
空襲で東京の家は丸焼けになってしまった。疎開先で、太宰治は義理の親戚の中で、いちばん年上になってしまっていて、しかも一家の主はもう敗戦間近の海軍に入っていて、男が太宰治ただ一人しかおらず、ずいぶん心もとない感覚で居たようです。太宰の妻(津島美知子)の父母がすでに亡くなっており、家が空洞になってしまっていた。
 
 
家を失って、避難生活を送る、ということがほんとうに描かれています。避難と母子、ということに心が動いたかたは、ぜひ本文を読んでみてください。
 
 
避難先の、親戚の家もついに空襲にやられ、それから娘の目が悪くなってしまった。子の病だけは治ってほしいと太宰治は願っていて、それは治癒した……。おそらく自然治癒だったと思うのですが、子どもは目が見えるようになって微笑んでいる。その描写が美しかったです。
 
 

 
 
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坊っちゃん(11) 夏目漱石

今日は夏目漱石の「坊っちゃん」その(11)を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
 
 
坊っちゃんは、今回で完結です。まだ未読の方は、ここからは完全にネタバレなので、ぜひこれは読まないで、漱石の本文のほうに挑戦してみてください
 
 
坊っちゃんが突っ込んでいって、群衆での大乱闘にまで発展したケンカが、新聞記事になっていた。しかもケンカを止めに入ったのに、ケンカの首謀者として書かれてしまったというのが、すごいですよ。ひどい新聞社があったもんだと。現代でもこういうことってあるなあ、と思いました……。
 
 
顔も傷だらけで、名誉も傷ついてしまった主人公。しかし、なにも悪いことなどしておらんのだから、教師として今日学校にゆかないと男がすたる。主人公はきっぱりと辞表を提出するつもりだ。かっこ良い話なんです。これは現代的な物語に書き換えたらずいぶん迫力があるだろうなあと思いました。
 
 
赤シャツはこう言うときでも、なにかこうやたらと不気味に親切だ。やはり裏があるのではと思う主人公。じつは昨日の乱闘さわぎと、大嘘の新聞記事は、なんと赤シャツが仕組んだワナだったんです。山嵐と坊っちゃんは、これに気づいた。物語上不思議なのが、いままで主人公をバカにしてきた子どもたちが、なぜかここにきて、傷顔の男をかっこ良いと捉えている。
 
 
幼い頃のこう、童心とか正義感というものが、終盤になって主人公に甦ってくるんです。そこがじつに良かったです。よく帰ってきた、という言葉があってそこが気持ちよく読めました。
 
 

 
 
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待つ 太宰治

今日は太宰治の「待つ」を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
 
 
最近ニュースや文芸誌で、なにかと太宰治が話題になっているなと思って、今回から、太宰治が戦争についてどのように表現したかを追ってゆきたいなとおもっています。戦後になってから登場した作家には、戦争文学を書いた方が多いんですが、戦時中にリアルタイムでその時代について描き、反戦主義や共産主義というレッテルを張られることもなく、特高からの逮捕もまぬがれ、また戦争を賛美もせず、さらに戦後中国でもっとも読まれた作家というのは、太宰治しか居ないんです。
 
 
15年戦争のさなかに、「逆光」や「女生徒」などが発表され、ナチスドイツがポーランドに侵攻し第二次世界大戦が勃発した時期に、「駆込み訴へ」や「走れメロス」が発表されています。戦争への肯定や否定は直接書いていないんですが、その時代の気配を如実に反映しているのが、太宰治なんだと思います。
 
 
ある戦時中の哲学の授業で「主戦主義者にも反戦主義者にもどちらにも、明らかに役立つような知識を伝えることこそが、重大だ」という考え方を述べていたのを、本で読んで、なるほどと思ったんですが、太宰治の書き方というのはやはり中庸であったからこそ、戦争の時代に多くの小説が書けたんだろうなあと思いました。1933年初頭、ヒトラーがドイツの首相に就任し、ファシズムが本格化する時代に、日本では小林多喜二という作家が特高に拷問死させられ、第二次大戦中には中野重治など数多くの作家が「アカ」ということで捕らえられ転向を強要され……という時代に、どうやって小説が書けたんだろうか……という謎を感じます。時代背景を調べつつ、同時に小説を読んでゆくと、印象がかなり変わるなあと、思いました。
 
 
この「待つ」という作品は、ごくごく短い掌編の小説なんですが、戦時中に、幼い少女がどのように考えて生きているか、そのところがリアルに描写されています。
 
 

 
 
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