三四郎 (1) 夏目漱石

今日は夏目漱石の「三四郎」その(1)を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
 
 
今日から、三四郎を読んでゆこうと思います。この小説は、第一章が秀逸で、九州の古里を思いださせるような、美しい女と、植民地問題や戦争のきのどくさについて語る老人と、若者の主人公、という3人が登場し、列車の中でぐうぜん出会います。
 
 
この3人だけで話を進めたって良いのに、と思うくらい、なんとも言えず雰囲気のある書き出しです。漱石の戦争描写は簡潔で短いものが多いのですが、じつにこうリアリティーを感じます。それはおそらく、漱石が軍医だった森鴎外と深い付き合いがあって、しかし漱石自身は徴兵を逃れるために北海道に戸籍をうつしたりと言うことをしてきた、その作家自身の戦争への距離感の絶妙さから来るんでは無かろうかと思います。漱石は、もうれつに多弁な作家なわけなのですが、肝心なことはじつに小さく丁寧にまとめて述べているように思いました。
 
 
他にも、今後の日本は発展するどころか「滅びるね」と言った髭の男や、正岡子規の柿の話などが出てきて、とても読み応えがありました。
 
 
どうでも良いんですけど、主人公の三四郎がけっこうなうっかり者で、いきなりおもしろいんですよ。三四郎は、列車から弁当の空き箱をばっと放りだして捨てるんです。そうしたら、すてきな女の人の顔に、そのごみがあたってしまって謝るとか、人物描写に勢いがありました。
 
 
それから、女は九州から東京への一人旅なもので、都会の事情がわからず宿の案内をしてくれないかと、頼んでくる。断る勇気がないもので、三四郎は、その見知らぬ女と宿を共にするのだが……。
 
 
この箇所だけをあと十倍読みたいんですけど、それなら「草枕」の再読をするしか無いなと思いました。漱石はいきなり、恋愛ものをやってやろうという、そういうすごい意気込みを感じました。三四郎の第一章はほんとに名作だと思います。これだけでも短編として完成していて、すこぶる秀逸だと思います。ちょっとほんとにお薦めの章です。
 
 
漱石は、良い感じの雰囲気をサッと流して次の場面をたたみかけるところがあって、そこが上手いんですよ。作中に「にやりと笑った」という一文があって、いきだ! と思いました。
 
 

 
 
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 幼かった頃の夢想のことを、ゲーテは「黄金の空想よ」と記します。ゲーテの詩には、神話的なものと理知的なものが混在していて、これが魅力のように思います。ゲーテはゲルマン神話と、とくにギリシャ神話の影響が色濃いようです。
 この詩集は生田春月が翻訳をした作品です。ゲーテは政治家としても活躍し、かのナポレオンからも尊敬されていた作家で、その言葉を詩で楽しめるというのは、なんだか嬉しいように思います。

  

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