破戒(7) 島崎藤村

今日は島崎藤村の『破戒』その(7)を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
 
 
いよいよ第7章で物語の中盤にさしかかってきました。ぼくはこの時点で、とりあえず映画版の『破戒』を見てみました。市川崑監督のモノクロ映画です。
 
 
心理描写の多い差別問題を映画ではどのように表現しているのか気になって見たのですが、脚本がかなり工夫されていて、主人公の丑松が父の葬送に立ちあうところから、いきなり物語が始まります。映画では、この第7章をいきなり見せているわけです。なるほど、はじめに問題の中心から見せるようにすると、迫力が出るんだなあ……、と納得しました。
 
 
この小説の魅力は、主人公の迷いが、さまざまにこう状況の変化と共に転じていって、その流転する心象の美しい絵巻物が繰り広げられるところだと思うんですが、もし破戒というのをまだ読んだことがない場合は、映画版と同じく、まずはこの第7章だけを読んでみると良いのかもしれないと思いました。
 
 
暴れ牛につかれて亡くなった父の葬儀に参列するために、丑松は一人、古里へ向けて旅をしています。そこで、じつにさまざまな人に会う。尊敬する、猪子先生にも旅先の列車の中で偶然に出逢って話しあう。この100年前という時代において、漱石や賢治や芥川や藤村という作家たちが、鉄道に向けた情熱というのは、ほんとにすごいもんで、そこはかとない魅力を感じます。
 
 
猪子先生は、丑松とまた根津で再会しようと約束してくれて、去っていった。丑松は、なにがあっても言ってはならないと父から命じられた、出自のことを、猪子先生に告白しようと決意する。猪子先生こそが、その厳しい生まれを明言している作家なのでありました。
 
 
父の遺言は、生まれについてけっして他言するな、それを『忘れるな』ということだった。丑松は憂鬱に沈みながら、葬儀に参列するのでありました。父は晩年、牛飼いとして、山の中一人、牛と共に生きた。
 
 

 
 
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「破戒」登場人物表
 

 






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 幼かった頃の夢想のことを、ゲーテは「黄金の空想よ」と記します。ゲーテの詩には、神話的なものと理知的なものが混在していて、これが魅力のように思います。ゲーテはゲルマン神話と、とくにギリシャ神話の影響が色濃いようです。
 この詩集は生田春月が翻訳をした作品です。ゲーテは政治家としても活躍し、かのナポレオンからも尊敬されていた作家で、その言葉を詩で楽しめるというのは、なんだか嬉しいように思います。

  

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