破戒(18) 島崎藤村

今日は島崎藤村の『破戒』その(18)を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
 
 
飯山の村に、大雪が降ります。その中でついに、丑松の出自が村中の噂になってしまった。
 
 
僕がこの小説を読んでいるのは、朗読をやっている方から、藤村の『若菜集』の魅力を教えてもらって好きになったというのと、それから、『東京大行進2015のための反差別選書リスト 基本20冊』という反差別運動の選書のなかに、古典文学の『破戒』が紹介されていて、興味を持ったんです。
 
 
この本は、物語として興味深いものなんですが、やはり差別問題を遠くから読んでみて、自分で検討してみるというのは、どうにも難解すぎるなあ、と改めて感じました。作者自身が、これはもう過去の過ぎ去った物語だと言っていたり、あるいは住井すゑという方がこの小説の差別の視点を批判していたりして、それから当事者の方による、差別小説を脱しきれていない箇所の指摘があり、評価が定まっていないところがあるように思うんです。今回の章は非常にあの、その否定的な指摘が理解できる箇所がありました。しかし、夏目漱石や数多くの作家はこの小説を、歴史的価値のある重要な作品として論じています。
 
 
僕の場合は、ともかくこの前の時代とあとの時代の社会構造の変化が、今ひとつ掴めていないので、なぜこのようになっているのか判らないわけで、霧の中を歩いているようで、どうにも論じたり考えたりすることがむつかしいなと思いながら読んでいます。
 
 
これは、じっさいに起きた差別問題を元に、ドストエフスキーなどの文学を参照しつつ構築された物語なんだそうです。権力の座に居座りつづけるためにかなり無理な施策をしていって社会全体が根腐れを起こして、新しい社会が始まって、さらにその差別の問題が悪化していってしまった……。おそろしいのは、丑松は良かれと思って隠したり、同じ出自の猪子先生を黙って尊敬したりしてきたわけなんですが、それらの隠したり沈黙してきた、丑松の行為を、不正だと世間が断定するところなんですよ。じっさい丑松がわざわざ表沙汰にしていたとしたら、どうせそこいら中で無益な諍いが起きるに決まっている。だから丑松は黙って耐えてきた。その配慮に世間がまったく気付かないというのが腹立たしいなと思いました。
 
 
銀之助というイケメン風の天然ボケ男が居て、彼がまた状況をいっさい理解していないもんだから、問題をやたらとややこしくしてきたんですが……、こういう正直な人で、構造がどうも見えていない人は、僕は好きだなと思いました。
 
 
丑松がどうして追いつめられてしまったかというとですね、ここがすさまじいんですけど、丑松と同じ被差別の出自を持つ娘と、結婚した高柳という男が居るんですが、この男がいろいろやっているんです。
 
 
同じ出自を持っていて同じ苦を分かちあっているもの同士で、本来なら協力しあうはずのところを、世間に隠しごとを密告して泥沼の足の引っ張り合いをするんです。これはえげつない男なんです。ふつう、妻がそういう出自だったら、その界隈と親密になろうと努めるはずなのに、とにかく妻をそこから完全に切りはなそうとして、主人公の丑松をつぶしにかかって冷笑している、というのが高柳なんです。四面楚歌そのものだな、という感じで丑松はどちらを向いても、どうにもならない状況になっているんです。
 
 
島崎藤村が現実に見聞きした差別問題では、校長先生が良い人で、それで丑松のような差別問題を抱える男が、先生をできていたそうです。物語ではそういう構造では無くて、漱石の『坊っちゃん』みたいに地位を持つほうが差別を率先していることになっています。
 
 
作中のこの発言が印象に残りました。
 
 
  …………
  しこゝにひどく苦んだり考へたりして居る人があつて、其人が今の発狂者を見たとしたまへ。さあ、思ひつめた可傷いたましい光景ありさまも目に着くし、絶望の為に痩せた体格も目に着くし、日影に悄然しよんぼりとして死といふことを考へて居るやうな顔付も目に着く。といふは外でも無い。発狂者を思ひやるだけ苦痛くるしみが矢張是方こちらにあるからだ。其処だ。瀬川君が人生問題なぞを考へて、猪子先生の苦んで居る光景ありさまに目が着くといふのは、何か瀬川君の方にも深く心を傷めることが有るからぢや無からうか…………
 
 
藤村は確かに「破戒」を書きながら、自身の出自について考えていたことは明らかです。現代作家の作品を読んでいても、感心するのは、たしかにこの箇所なんだと、うなりました。
 
 

 
 
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 幼かった頃の夢想のことを、ゲーテは「黄金の空想よ」と記します。ゲーテの詩には、神話的なものと理知的なものが混在していて、これが魅力のように思います。ゲーテはゲルマン神話と、とくにギリシャ神話の影響が色濃いようです。
 この詩集は生田春月が翻訳をした作品です。ゲーテは政治家としても活躍し、かのナポレオンからも尊敬されていた作家で、その言葉を詩で楽しめるというのは、なんだか嬉しいように思います。

  

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先生の眼玉に 夢野久作

今日は夢野久作の「先生の眼玉に」を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
 
 
三年くらい前の四月馬鹿の日にでも、夢野久作の「ドグラマグラ」という作品を公開しようと思って、ヘンな頁を作っていたんです。それが、あまりにも出来がひどかったので封印したんですけど、せっかくなので、誰でも読めるようにアップロードしてみました。デザインがムチャクチャなんですけど、いちおう全文読めるんです。
 
 
それで今回紹介するのは、夢野久作の暗黒童話です。じつに暗い話しで、たったの数頁なんですけど、やっぱり夢野久作で、ギョッとするような身なりの人物と、ありえない展開が印象に残りました。因果応報とか勧善懲悪も、ここまであからさまに書くと、なにか逆に意味が違ってくるのではないかと思いました……。
 
 
絶対にやっちゃいけないことを、言ってしまう子どもの話なんです。極端にひどいことを、いったん最後まで妄想してみるということは、重要なんだという話しを聞いたことがあるんですよ。ただそれは芸術では無くて、それをちゃんと他人が愛読できる形で、はじめから書いてゆくのが、プロの作家の仕事なんだ、という評論を読んだことがあります。はい。
 
 

 
 
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破戒(17) 島崎藤村

今日は島崎藤村の『破戒』その(17)を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
 
 
あのー、またも勘違いをしていたんですが、この破戒は1904年(明治37)から書きはじめられ1906年(明治39)ごろに発表されたものなんですが、それとは別に、物語上の時代は、どうもさらにもっと昔で、農民が「年貢」を納めていたんですよ。ちょっと調べてみたんですけど、いったい西暦何年くらいのことを書いているのか、解らんのです。年貢が廃止されたのは、1873年(明治6)の地租改正だということは判ったので、ここよりも少し前の時代と言うことになると思います。ところが、ですね、この小説のモデルとされた人物が居てですね、その人はあのー、1868年生まれなんです。で、すから。1890年(明治23)あたりのことを書いているとも考えられるんです。そうすると、年貢は無い……。あるいは年貢と言いつつ、地主に米を渡してただけなのかも知れないんですけど。
 
 
正確に西暦何年の出来事を描いているのか、いろいろ解説とか、年表とか調べてみたんですが、どうもはっきりとした情報を探しだせませんでした。
 
 
小作人と地主との間で、米の引き渡しが描写されています。ずいぶんリアルに書いています。地主に俵を六俵納めたところを、丑松は横から見ていた。どうあっても、敬之進老人には金が無いことが明らかだと、丑松は悟る。それで、敬之進の家族の、省吾は学校に行けなくなりそうだし、娘の志保はひどいところに囲われてしまった。
 
 
丑松はもう、こんなことではいかんだろうと思って、省吾少年に、金を渡す。
 
 
はじめは雅で良いところだと思った蓮花寺で、お志保はやはりどうしたって上手くゆかず、教養あるはずの人々からいたましい状況に追いやられてしまって、死んだような目で苦悩している。それというのも、和尚の不倫癖というのが、原因なんです。本文はこうです。
 
 
 蓮華寺の内部なか光景ありさま――今は丑松も明に其真相を読むことが出来た。成程なるほど、左様言はれて見ると、それとない物のはしにも可傷いたましい事実は顕れて居る。左様さう言はれて見ると、始めて丑松が斯の寺へ引越して来た時のやうな家庭の温味あたゝかさは何時の間にか無くなつて了つた。
二階へ通ふ廊下のところで、丑松はお志保につた。あをざめて死んだやうな女の顔付と、悲哀かなしみあふれた黒眸くろひとみとは――たとひ黄昏時たそがれどきほのかな光のなかにも――直に丑松の眼に映る。お志保もた不思議さうに丑松の顔を眺めて、丁度喪心さうしんした人のやうな男の様子を注意して見るらしい。二人は眼と眼を見交したばかりで、黙つて会釈ゑしやくして別れたのである。

 

 
 
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智恵子抄(11) 高村光太郎

今日は高村光太郎の『智恵子抄』その11を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
 
 
作家や詩人をみていて、すごいなあと思うのは、まず他人のほうから見た感覚を描けるという、視点をかなり正確に移動できるところで、ここに憧れます。
 
 
それで、今回の詩は、時間軸を移動させてもこう、美しいんだなあーとおもって感心しました。高村光太郎は、未来のことをかなり正確に認識しつつ、詩を記していたのかなあと思いました。オチのところの詩の言葉もすてきなんです。高村光太郎がお好きなら、今回の詩は、ぜひ再読してみてください。
 
 
あの山の奥に花さき朽ちる草草や
声を発する日の光や
無限に動く雲のむれや
ありあまる雷霆らいてい
雨や水や
緑や赤や青や黄や
世界にふき出る勢力を
無駄づかひとうして言へよう
 
 

 
 
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破戒(16) 島崎藤村

今日は島崎藤村の『破戒』その(16)を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
 
 
あのー、細部がなんというか、現代でもこう、リアリティーを感じさせるんですよ。こういう古い描写です。銀之助が、弱ってしまった丑松に言う言葉です。原文でどうぞ。
 
  
  何か君、飲んで見たら奈何だい。焼味噌のすこし黒焦くろこげに成つたやつを茶漬茶椀かなんかに入れて、そこへ熱湯にえゆ注込つぎこんで、二三杯もやつて見給へ。大抵の風邪はなほつてしまふよ。
 
 
差別に苦しんでいる人に「味噌の汁を飲めばいい」というのはずいぶん無神経でひどい話なわけですし、現代医学上これが正しいとは思いませんが、しかし感覚はすごく理解できます。念入りに火を通した、温かいものをちゃんと食べて、暖かくしてたっぷり眠ることが、やはり風邪を治すのに良いわけで、とくにこの、味噌のちょっとした描写が、迫力があるんですよ。じっさい、藤村は当時の社会と比較するとものすごい長生きな人ですから、書いているものも自然と、養生に良いものに通じている感じがします。北国の賢治が氷を好んだのに比べて、明らかに健康的なんですよ。藤村の、味噌の描写はちょっと、すごいんですよほんとに。いくつか紹介します。
 
 
第九章のですね、尊敬する猪子連太郎先生と、丑松とが飯を食いながら話しているシーンがあるんです。原文はこうです。
 
  ……
  ……まあ、うして膳に向つて見ると、あの師範校の食堂を思出さずには居られないねえ。』
と笑つて、蓮太郎は話し/\食つた。丑松も骨離ほねばなれの好いはやの肉を取つて、香ばしく焼けた味噌の香を嗅ぎ乍ら話した。
 
 
それから、丑松の、唯一の親戚のおばさんとおじさんが、仕事場のある村へ帰る丑松に、長旅のためのおにぎりを手渡すシーンです。原文はこうです。
 
 
  やれ、それ、と叔父夫婦は気をんで、暦を繰つて日を見るやら、草鞋わらぢの用意をして呉れるやら、握飯むすびは三つも有れば沢山だといふものを五つもこしらへて、竹の皮に包んで、別に瓜の味噌漬みそづけを添へて呉れた。
 
 
丑松はとうとう、小学校の先生をすることが、苦しくてできなくなってしまう。風邪のようになって寝ていると、同僚の銀之助が、給料袋を届けに訪れてくれる。その銀之助はもうすぐ、遠い職場に行ってしまう。さらには、被差別問題を抱えた先生がどうも一人いるということで、学校ではたいへんな噂になっている。
 
 
丑松は、雪の中をただ一人歩き、それから尊敬している猪子先生の本を全部売ってしまった。差別問題を隠すために、重大なものを捨ててしまうのです。アンビバレントな心理描写と、飲み屋での雑然とした感じは、ドストエフスキーの『罪と罰』の雰囲気と、よく似ていると思いました。老いた敬之進は、身を寄せている蓮花寺の坊さんから娘がひどい扱いを受けているのだが、もう娘は他にどこにも行場が無い、ということを丑松に話した……。
 
 

 
 
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夜 竹久夢二

今日は竹久夢二の「夜」を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
 
 
これは画家の竹久夢二の童話なんです。こういう夜は幼いころたしかに、あったように思うな、ということを書いています。全く新しいことを描くのではなくて、実際にあったことをこう、みがいて美しくするというのが、竹久夢二のやっていることのように思いました。
 
 
母親が娘に、夜の月を見せるところがすてきなんですよ。
 
 

 
 
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破戒(15) 島崎藤村

今日は島崎藤村の『破戒』その(15)を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
 
 
丑松は、同朋への差別をまのあたりにしたことで悩みすぎ、対人恐怖症のようになってしまった。丑松は人々を避けて、静かな精舎に一人立ち入る。
 
 
もうほとんど、小学校の先生という感じがしないんですよ。ふつうに、こう悩んでいる男にしか見えない。丑松は、志保という女のことを考えている。それから丑松は、僧侶たちの読経を黙って見つめている。
 
 
この文章が、じつに印象に残りました。丑松はもう、とにかく黙ってしまっている。しかし、じっと見ているんです。見ることの楽しい、というのは、このような状況下に於いて、大変にリアルだなと思いました。原文はこうです。
 
  
  丁度丑松の座つたところは、永代読経として寄附の金高と姓名とを張出してある古壁の側、お志保も近くて、髪の香が心地よくかをりかゝる。提灯の影は花やかに本堂の夜の空気を照らして、一層その横顔を若々しくして見せた。何といふ親しげな有様だらう、あの省吾を背後うしろから抱いて、すこし微笑ほゝゑんで居る姉らしい姿は。斯う考へて、丑松はお志保の方を熟視みまもたびに、言ふに言はれぬ楽しさを覚えるのであつた。
 
  …………
  ……時々丑松は我を忘れて、熱心なひとみをお志保の横顔に注いだ。流石さすがに人目をはゞかつて見まい見まいと思ひ乍らも、つい見ると、仏壇の方を眺め入つたお志保の目付の若々しさ。不思議なことには、……(略)……
  何をお志保は考へたのだらう。何を感じたのだらう。何を思出したのだらう。う丑松は推量した。
 
 

 
 
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