それから(10) 夏目漱石

今日は夏目漱石の「それから」その10を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
 
 
この詩的な表現が印象に残りました。原文はこうです。
 
 
  代助は時々尋常な外界から法外に痛烈な刺激を受ける。それがはげしくなると、晴天から来る日光の反射にさえ堪え難くなることがあった。そう云う時には、なるべく世間との交渉を稀薄きはくにして、朝でもひるでも構わず寐る工夫をした。その手段には、極めて淡い、甘味の軽い、花のをよく用いた。
 
 
春に、幼子が一人で山に入っていって花のつぼみをじーっと見ていると、その生命の力のあまりの強さにやられてしまって、一時的におかしくなってしまい、佯狂のようになることがあるんだと、いう噂をきいたことがあるんですけど、代助はそういう敏感な心情を、大人になってもまだ持っている。そういう時に、代助は、あわい花の匂いをかいで心を落ち着けるのでありました。
 
 
代助は無職でぶらぶらしているだけなのに、ずいぶん賢く社会を分析している。いっぽうで数多くの警察官が、詐欺師と結託して悪事をしているという新聞記事が載っている。
 
 
なぜそういうことが起きるのかというと、彼らには不安があるから犯罪に近づくのだと、代助は考える。たしかに代助は金だけはあるから、不安な状況に接する機会が少ないし、若い警察官は家族を養ったり、犯罪に対処したり、さまざまな不安がある。つまり代助はまだ過保護にされている金持ちの子どもと同じかもしれないと思いました。
 
 
その代助の、堂々とした昼寝姿を、平岡の妻がやってきて、じーっと見てから、あんまりぐうぐう寝ているものだから、起こすのも気が引けるし、あきらめて帰っていった。
 
 
女が不思議なことをするんですよ。その行為を「詩のために」やったのか、あるいは喉が渇いていたからやったのか……。
 
 
平岡の仕事はなんとかなりそうだが、やはり金回りが危うい状況である。女は、代助から借りた金を、生活のために使ってしまったのだとあやまりに来たのだった。「貴方にあげたのだから」どう使ってもらおうと、かまわないのだと、主人公は言います。
 
 

 
 
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 この詩集は生田春月が翻訳をした作品です。ゲーテは政治家としても活躍し、かのナポレオンからも尊敬されていた作家で、その言葉を詩で楽しめるというのは、なんだか嬉しいように思います。

  

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