智恵子抄(36) 高村光太郎

今日は高村光太郎の『智恵子抄』その36を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
 
 
今回の「松庵寺」という作品は、幻想を廃した詩で、日記や手紙のような文体でした。あのー、wikipediaにはこう書いています。
 
 
  『智恵子抄』(白玉書房、1947年) (略) 戦後に書かれた「松庵寺」「報告」の2篇を追加。
 
 
1945年(昭和20年)10月の、戦争が終わって2カ月後の詩です。アドルノという学者が
 
 
「…………宿命に関する最低の意識でさえ、悪くすると無駄話に堕するおそれがある。文化批判は、文化と野蛮の弁証法の最終段階に直面している。アウシュヴィッツ以後、詩を書くことは野蛮である。そしてそのことがまた、今日詩を書くことが不可能になった理由を語り出す認識を浸食する」(プリズメン/アドルノ著/ちくま学芸文庫)より
 
 
と言ったそうなんです。高村光太郎のこの戦後すぐの詩は、まさにその批判されている領域に於ける詩作だったように思います。智恵子抄は、戦前の近代詩の終わりに位置し、どのように近代詩が終わったのか、その内実と物語全体を描きだしているように思います。
 
 
智恵子は戦争で死んだのではなく、心と体の病によってなくなったのですが、15年戦争がなかったらもっと食糧難から遠のいていたわけで、心ももっとおだやかであったろうと思います。戦中の餓死や栄養失調は、戦死と似た構造をしているし、智恵子と光太郎の苦は、戦争の時代の苦に共鳴していたと感じました。
 
 

 
 
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 幼かった頃の夢想のことを、ゲーテは「黄金の空想よ」と記します。ゲーテの詩には、神話的なものと理知的なものが混在していて、これが魅力のように思います。ゲーテはゲルマン神話と、とくにギリシャ神話の影響が色濃いようです。
 この詩集は生田春月が翻訳をした作品です。ゲーテは政治家としても活躍し、かのナポレオンからも尊敬されていた作家で、その言葉を詩で楽しめるというのは、なんだか嬉しいように思います。

  

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選挙に対する婦人の希望 与謝野晶子

今日は与謝野晶子の「選挙に対する婦人の希望」を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
 
 
今回は選挙の話しなんですけど、つい先日の参議院選挙がなんだか興味深くて、選挙前の市民運動とか、選挙後のいろんな人の発言をツイッターなどで読んでいて、とっても勉強になりました。
 
 
それで、今回スイスの政治制度というのを知ったんですけど、これがおもしろいんですよ。スイスでは、党議拘束というのがほとんど存在しないんです。日本の政治家は、党議拘束というのがあって与党議員がクビを恐れて党首の方針だけが全てになってしまっている。日本の一人一人の与党議員に話しを聞くと、「ほんとは他国の戦争に日本が派兵するのは反対なんだ」とか「原発の新造には絶対に反対」とか言っている。しかし、採決時には必ずビッグボスの言うことを聞くしか無い。政治家なのに、離党する覚悟が無い限り、党首への賛成票しか投じられないんです。
 
 
スイスの場合は、自分が考える政策に基づいて、議員が単独でそれぞれ判断する。スイス公共放送協会国際部と在外スイス人協会の記述によるとスイスでは「特定の問題では議員は党路線よりも個人の見解に基づいて票を投じる傾向にある」と記されています。またツイッターでも、スイス人に話しを聞くと、「党議拘束はスイスではありえない」と言っているそうです。なので、政治家が政策をちゃんと持って、論理的な議論でもって法令を決められる。あたりまえの事態なんですが。
 
 
それでもう1つ現代政治で気になったのは、党首が違憲立法を通しちゃった後に、どうするのかという問題です。ドイツやイタリアなどでは、憲法裁判所というのがちゃんとあって、違憲立法はちゃんと即時にごみ箱に捨てられて、違憲政治は実現不可能になっている。アメリカでも同様に、違憲の法を廃棄できる仕組みがある。日本は、もうご存じの通り、極限の違憲政治をやりたい放題です。日本でも、裁判所の違憲審査権と違憲審査制は確立できるはずで、これをやってゆかねばならない状態のようです。つい最近までの日本では、じっさいに害が出てから、裁判所がそのつど後処理として判断することになっていました。それでぼくの現代政治社会に対する意見は、憲法改正などをする以前に、憲法裁判所が最大の違憲立法を無効化できるような、そういう状態にもっと近づけなければならない、ということです。
 
 
それから「憲法は、人々が国家に命令するもの」で「法律は、国家が人々に命令するもの」というものすごく基本的なことを、もっとNHKなどが広く、繰り返し論じて、人々に理解してもらう必要があるような気がしました。「お酒を飲んだら、車を運転しちゃいけない」というのは車を運転する人の99%以上が知っていると思うんですよ。「憲法は、人々が国家に与える命令」ということも投票権を持つ人の99%以上が知っている必要がある気がします。
 
 
与謝野晶子は、第一文目から、この憲法と法律の完全なる違いについて、明晰に指摘しています……。選挙と人権に興味のある方は、ぜひ読んでみてください。与謝野晶子が記す「個人として」という言葉に、なんとも言えない力を感じました。
 
 
与謝野晶子は、女性の参政権が確立していない時代に、政治に関して、こう記しています。
 
 
  …………
  それなら政治については黙して忍ぶかというに、幸なことには文書を以てする政治上の言論だけは私たち婦人にもその自由を認容されております。これがために私たちは政治的に隠忍して奴隷の位地に落ち込むことをわずかに免れております。私たちはこの辛うじて開かれている唯一の窓を利用して、此処ここから出来るだけ政治その他の生活機関に対する私たち婦人の希望を述べねばなりません。
 
 
この評論は、一九一七年二月二七日頃に発表されたものですが、20数年後の未来を的確に言い当てているのがすさまじいと思いました。本文にこう記されています。
 
 
  盲目的感情は婦人の所有する所といわれておりますけれども、婦人の感情的妄動は自己と少数の周囲とをわざわいするに過ぎませんが、男子(官僚と党人との政争や、寺内正毅総理や軍部など)のそれは幾百万の人類を殺傷し、幾百億の財力を消耗し、幾千年来の文明を一朝にして破壊します。…………
 
 
与謝野晶子は、財力で喧伝している金持ちや偽りだらけの候補者を当選させるなど、あってはならないことで、何よりも政見があって、知識と思想に裏打ちされた論理的な人物を選んでほしい、というのでした。与謝野晶子は、「聡明な個人主義」こそが政治に適切に反映される社会を望んでいる、と述べています。この指摘が、30年後の戦後日本に通底しているもので、なんだか衝撃でした。この文章が印象に残ります。
 
 
  私は敢てこの小さな窓から全日本人に問い掛けます。我々は今こそ真実の個人の権利を以て生きようと自覚すべき時機ではありませんか。………
 
 
終盤の文章が、なにかこう現代社会に響いていて、すこぶる良いんですよ。与謝野晶子や選挙に、ちょっと興味があるという方は、ぜひ読んでみてください。
 
 

 
 
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門(5) 夏目漱石

今日は夏目漱石の『門』その5を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
 
 
今回の主人公宗助は、漢詩とかそういうもんにもともと興味を持っていないんですが、漱石自身は学生時代から、正岡子規と一緒に漢詩を作ったり俳句を作ったりすることが大好きだった。
 
 
宗助にはなにかこう、無趣味というか無味なところがあって、そこがこの小説の謎を形づくっていると思いました。御米は子に恵まれないことに苦を感じているんですが、宗助はその感情さえも、なにか空白になっている。これ、なんの空白なんだろうか、と思うんです。
 
 
漱石の作品で謎を感じる小説と言えば、やはり「夢十夜」で、ほかにも「草枕」にも謎めいたところが多いわけなんですが、こんかいのこの小説は、いっけんすると普通なような、奇妙な謎が散りばめられているように思います。そもそも「門」という題名を、漱石は自分で決めなかったというところが、最初の謎です。
 
 
こう、なんというんでしょうか、小説は言葉だけで構築するものだから、非現実的な謎まるだしに出来るわけで、「ハンプティダンプティ」とか、カフカの「変身」みたいに、ありえないことだけをどんどん書くことだって出来るわけなんですが、今回の門は、じつに平凡な状況だけを書きながら、それなのにやはり謎が中心にあるような気がしてきました。
 
 
よく、現代文学者は、常識と思われているところに違和感を持つことが文学性のはじまりだ、というようなことを記しているわけなんですが、漱石は、「吾輩は猫である」から「夢十夜」と、超常的な物語創作から進んでいって、もっとよりいっそう、世間の常識とされている箇所にある謎のところへ、眼差しを向けていった、という変化が起きたんだと思いました。
 
 
自分のイメージとしては、ごく普通の生活の中に、マザーグースのような奇妙なものを見つけてゆく、そういう物語だと思いました。
 
 
このごく普通の、なんでもない情景描写も、なにかキューブリック監督の謎めいた映像美のように思えました。本文にこう書いています。
 
 
  宗助はその日の午後とうとう思い切って、歯医者へ寄ったのである。応接間へ通ると、大きな洋卓テーブル周囲まわり天鵞絨びろうどで張った腰掛がならんでいて、待ち合している三四人が、うずくまるようにあごえりうずめていた。それが皆女であった。奇麗きれいな茶色の瓦斯暖炉ガスストーヴには火がまだいてなかった。
 
 
100年前、田舎で起きる歯痛はみな一人一人、どのように対応していたのだろう……と思いました。宗助のかなり年下の弟、小六には育てる親代わりの人間が不在となってしまっていて、いま宙ぶらりんで、大学を卒業間近なのに学費が払えず、人生の予定が空白になっている……。
 
 
この会話もやたら気になりました。
 
 
  ………(宗助は)「今夜は久し振に論語を読んだ」と云った。「論語に何かあって」と御米が聞き返したら、宗助は、
「いや何にもない」と答えた。
 
 

 
 
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智恵子抄(35) 高村光太郎

今日は高村光太郎の『智恵子抄』その35を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
 
 
智恵子の去っていった後の詩の中で、もっとも印象に残る詩だと思いました。高村光太郎は、智恵子と1938年(昭和13年)10月5日に離別しているのですが、この詩は、その3年後の1941年(昭和16年)6月の作品です。静謐な、彫刻家らしい情景描写の冴える詩です。
 
 

 
 
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恥 太宰治

今日は太宰治の「恥」を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
 
 
これは太宰治が、ある女性の心理を詳らかに描いていった短編小説です。あのー、ゲーテがこういうことを書いているんです。
 
 
  若者よ、精神と感覚ののびるうちに、心せよ、芸術の神は君の道づれにはなるが、君を導くことはできないことを。
 
 
ゲーテの指摘していることが、太宰の作品にまさにあてはまるんだと思います。この「恥」という小説は、ある無名の女性が、一人の小説家にファンレターを書いた、そのいきさつを描いているんですけど、文体が独白で、言葉に勢いがあって、するすると読める名作です。
 
 
ある箇所が、驚くほどこう、引っかかってくるんですよ。文章自体は読みやすいんですけど、けっして素通りさせないというのか、そのなんと言うんでしょうか。ほんとに、「あっ」と思わせて、忘れがたい印象を刻みつけるというか、時代を超える文学者だなという……。迫力がありすぎて紹介さえできないんです。
 
 
細部までこう、堪能できる名作だと思いました。作中に出てくる「不一」という言葉は、こういう意味です。
 
 

 
 
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門(4) 夏目漱石

今日は夏目漱石の『門』その4を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
 
 
今日は七夕の日なのに、暗い場面を紹介することになってしまいました。えーと、少しずつこう、この小説の魅力が現れてきたんです。小説の中で、真の事情がまだ隠されている、ということは、ほんとうによくあることで、むしろ事情がぜんぶまる見えなんてことは、現実世界でも物語世界でも、めったにないことですよ。それにしても今回の「門」は、ほんとに、見えないところでどういう事情が進行しているのか、気になりました。
 
 
物語そのものとほとんど関係無いんですが、作中のこの記述に、自分のいつも考えていることが、代弁されている……と思いました。
 
 
  「人間一人大学を卒業させるなんて、おれの手際てぎわじゃ到底とても駄目だ」と宗助は自分の能力だけを明らかにした。
 
 
宗助夫婦は、ある事情があって、広島や福岡で、二人きりで貧しく暮らしていた。それが縁あって東京で忙しく働けるようになった。作中に叔父と叔母である佐伯夫婦の言葉が、こう記されています。
 
 
  「宗さんはどうもすっかり変っちまいましたね」と叔母が叔父に話す事があった。すると叔父は、「そうよなあ。やっぱり、ああ云う事があると、ながくまであとへ響くものだからな」……………
 
 
宗助の10歳年下の弟「小六」はほとんど身寄りがなくなってしまって、それで小六を佐伯に育ててもらうために、宗助は佐伯に大金を預けた。それが日本の年金みたように、株にまるごと投資して先の株価暴落みたいな事が起きて何兆円と消え去ってしまったのと似た展開で、大金がごそっと無くなってしまった。
 
 
小六という10代の青年を援助するのは、ふつうなら父が担当するわけですがそれがとうの昔から居ないのです。小六への責任と担当というのが、あいまいすぎたので学校に通えなくなりそうで尻切れとんぼになってしまっているんです。これは漱石がじっさいに、親子関係があいまいであった幼少時代が影響しているようで、読んでいてとても納得のゆく描き方なんです。
 
 
宗助夫婦は、なんだか奇妙に、静まりかえっているんですよ。不思議なこう、描写をするもんだなあと思いながら読んでいました。本文に、宗助夫婦のことを、こう書いています。
 
 
  苦しい世帯話は、いまだかつて一度も彼らの口には上らなかった。と云って、小説や文学の批評はもちろんの事、男と女の間を陽炎かげろうのように飛び廻る、花やかな言葉のやりとりはほとんど聞かれなかった。彼らはそれほどの年輩でもないのに、もうそこを通り抜けて、日ごとに地味になって行く人のようにも見えた。または最初から、色彩の薄いきわめて通俗の人間が、習慣的に夫婦の関係を結ぶために寄り合ったようにも見えた。
 
 
  そうして二人が黙って向き合っていると、いつの間にか、自分達は自分達のこしらえた、過去という暗い大きなあなの中に落ちている。
 
 
「門」は、苦みのある小説の、代表例のように思えてきました。
 
 

 
 
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智恵子抄(34) 高村光太郎

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前回の詩が超然としていたのに比べて、今回の詩は、普遍的な心情を描きだしているように思えました。梅酒を通して、去っていった智恵子に対する哀悼を描きだしています。
 
 
この詩の結びの数行が、情緒を中心としたあらゆる近代詩の、結末の言葉のように思えました。長い小説を読み終えたときに見る、あのおわりの余白のページを見たときのような、感慨がありました。次はなにを、高村光太郎は書くのだろう、と思いながら読みました。昭和15年(1940年)3月の詩です。
 
 

 
 
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