山羊の歌(15) 中原中也

今日は中原中也の「山羊の歌」その15を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
 
 
言葉の一文字だけからもう、すでに独特な文体だと思いました。本文に、こういう記述があります。「さもてる」「うしろに倒れ、歌つたよ、」
 
 
中原中也は、お気に入りの辞書を持っていて、それで言葉を調べながら、こういう文字を書いたのかなあと思いました。
 
 
かけひの水は、物語る
白髪しらがをうなにさもてる。

雲母の口して歌つたよ、
うしろに倒れ、歌つたよ、
 
 
後半の描写がダイナミックでした。つづきは本文をご覧ください。
 
 

 
 
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 ここからは新サイトの「ゲーテ詩集」を紹介します。縦書き表示で読めますよ。
 幼かった頃の夢想のことを、ゲーテは「黄金の空想よ」と記します。ゲーテの詩には、神話的なものと理知的なものが混在していて、これが魅力のように思います。ゲーテはゲルマン神話と、とくにギリシャ神話の影響が色濃いようです。
 この詩集は生田春月が翻訳をした作品です。ゲーテは政治家としても活躍し、かのナポレオンからも尊敬されていた作家で、その言葉を詩で楽しめるというのは、なんだか嬉しいように思います。

  

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最初の問い 宮本百合子

今日は宮本百合子の「最初の問い」を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
 
 
これは、1939年に記された、ごく短いエッセーです。1939年というのがどうにも重大な歴史の転換点の年に思えて、年表を今みています。前も書いたんですけど、ノモンハン事件が起きていて、ナチスドイツがポーランドに侵攻している年なんです。あとNHKがテレビ実験放送を開始していて、冬には映画『風と共に去りぬ』が日本で封切りされていたりもします。
 
 
世界大戦の始まりの年ではあっても、まだぎりぎり平和的な日々も営まれていて、そういう記録もいくつかネットに存在していました。New York World’s Fairというのがこの年に催されたわけなんですけど、その映像記録をネットで発見しました。戦前とは思えない完成度の画質です。
 
 
黒人の民族舞踏とか音楽とか、子どもたちのファッションとか、ジェットコースターやゴーカートの様子とか、ここ数十年とあんまり変わらないくらい高度な装置があったりしておどろくんです。戦前ですよ?! タイポグラフィーやファッションの完成度が高くて、50年後のパリコレとそんなに変わらない新しさなのが驚きです。建築も、ピラミッドくらい大きな球状の巨大施設があったりして、噴水も綺麗に一直線に、人の十倍くらいの長さまで噴き上げていて、そうとう土木技術が進んでいたんですねえ。
 
 
1939年は気になる年なんです。この年に起きていたことをもう徹底的に、調べて調べて調べまくりたい気がしました。坂口安吾や太宰治はこの年に何をしていたのかとか、宮本百合子は何をしていたのかとか……。ただの個人的な先入観なんですけど、文学者が1939年に書いたものは、どれも印象深いように思いました。
 
 
宮本百合子は、幼子の発する「なぜ?」という問いの尊さを記しています。 
 
 

 
 
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ゴリオ爺さん(12) バルザック

今日はバルザックの「ゴリオ爺さん」その(12)を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
 
 
今から読み終える予定の方は、こちらのリンク先から本文をまるごと読めます。下記の文章は完全にネタバレとなってしまうので、ご注意ください。
 
 
ゴリオ爺さんは意識不明に陥る寸前に混乱してしまって、誤ったことを考えてしまう。過去幾度となく父と娘とで愛を確認しあってきたのに、ゴリオ爺さんはそれを事実では無かったのだと考えた。錯乱して恐ろしい言葉を投げかけてしまう。お爺さんは、もはやほとんど見えない目で、娘の幻を見るんです。本文こうです。
 
 
  ……きっと涙に触れて勘違いしたのであろう、ゴリオが彼の最後の力を振り絞ってベッドの両端に向かって手を伸ばし、その手は学生達の頭に出会った。その手は激しく髪の毛をつかんだ、それから微かな声が聞こえた。「ああ! 私の天使!」
 
 
おじいさんの物語はここで終わるんです。ただ、この後の描写がすごいんです。意識不明に陥ったゴリオ爺さんのもとに、娘がなんとかたどり着いた。本文はこうです。ヒロインのニュシンゲンの言葉です。
 
 
  罪を悔いている貴方の娘を祝福するために、ほんの一瞬だけでもこの世に戻って下さい。私の言うことを聞き届けてください。ここにいるのはひどい娘です!
 
  貴方の祝福だけが私がこれからこの世で受けることの出来る唯一の祝福なのです。皆が私を憎むでしょう、貴方だけが私を愛して下さいます。
 
  貴方の手で私を導いて下さい、私は貴方を愛します、私は貴方のお世話をします。彼にはもう聞こえないのに……………
 
 
ゴリオ爺さんはその言葉を聞くことが出来たのか……詳しくは本文をご覧ください。
 
 
このあと誰一人として遺体を引き取りには来なかった。主人公の学生ウージェーヌ・ラスチニャックは、娘たちや親戚に、葬儀の手配をするように願い入れるのですが、なぜかどうしても連絡がとれなくなってしまった。ウージェーヌ・ラスチニャックは、手持ちの金全てを使いはたして、血の繋がりの無いたった二人のご近所さんだけで小さな葬儀を執り行った。ウージェーヌ・ラスチニャックはお爺さんの埋葬を終えて、一人きりになる。本文こうです。
 
 
  二人の墓堀人は土くれを何回か棺にかけて覆うと、体を起こし二人ともラスチニャックの方に向き直った。そして彼にチップを要求した。ウージェーヌはポケットの中を探し回ったが、一銭もなかったので、彼は仕方なくクリストフから二〇スーを借りた。そのこと自体は些細なことだったが、ラスチニャックの中で恐ろしいほどの悲しみの発作が突き上げてきたのだった。
 
  彼は日没を眺め、若者としての最後の涙もその場に埋葬したのだった。

  この涙の一滴は地上に落ちた後、跳ね上がって天空にまで届いた。彼は腕組みをして、じっと雲を見つめた、そしてそのまま眺め続けていた。クリストフは去っていった。ラスチニャックは一人残って、墓地の高みに向かって少し歩いた。それから、セーヌ川の両岸に沿って曲がりくねって横たわるパリを眺めた。
 
 
結びは、明るく記されているんです。ヒロインとラスチニャックが、それからどうなるのかは、明記されていない。ただ主人公ラスチニャックには、強い思いがある。それまでの彼の行動と結果から予測すれば、良い未来にたどり着けるだろう、と想起させるものでした。
 
 
残念ながら無料で読めるバルザックはこれで全てです。バルザックの饒舌な言葉を、もっと読んでゆきたい、と思いました。
 
 

 
 
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■主要登場人物
・ゴリオじいさん………娘たちを愛するあまり破産した。
・ウージェーヌ・ラスチニャック………うぶで野心家の学生。
・レストー夫人………ウージェーヌが一目惚れした美女で、ゴリオじいさんの実の娘。
・デルフィーヌ・ド・ニュシンゲン夫人………銀行家の妻で、ゴリオじいさんのもう一人の娘。ラスチニャックと恋愛。
・ボーセアン夫人………ウージェーヌの遠い親戚のお金持ち。
・ヴォートラン………謎のお尋ね者。
 
 
(作中[1][2][3]などの数字表記があります。その箇所を解説した訳註はこちらをご覧ください。)

 
全文通読はこちら(12回で完結です)
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山羊の歌(14) 中原中也

今日は中原中也の「山羊の歌」その14を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
 
 
今回は「逝く夏の歌」という詩なんですけど、ジョルジョ・デ・キリコの絵画を彷彿とさせるような、謎の現象が平然と書きしるされているんです。中原中也は、形而上的な自転車を登場させます。
 
 
自転車が出てくる一つ手前のところで、海と波を描きだしているんですけど、ここで明らかに、現実世界からの跳躍があります。やっぱりこの詩に書きあらわされた自転車は、なんだかとても不思議なものとして描きだされているんだ、と思いました。この詩の言葉が印象に残りました。
 
 
 山の端は、澄んで澄んで、
 金魚や娘の口の中を清くする。
 飛んでくるあの飛行機には、
 昨日私が昆虫の涙を塗つておいた。
 
 

 
 
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日付のない日記 堀辰雄

今日は堀辰雄の「日付のない日記」を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
 
 

作家が小説のような文体で、文学の紹介をしているのが、なんだが好きなんです。本を書く人が、本のことを書いている、というのに興味があります。
 
 
こう、冒険家が地図を書き残しているのを発見したような、島の宝箱の中にあった絵地図のような、マトリョーシカの中のマトリョーシカとでも言うのか、猫型ロボットのポケットというか、なんだか入れ子構造というか、そういうのを連想します。
 
 
堀辰雄は、プルーストの作品と、ジェイムズ・ジョイスの「ユリシーズ」について論じているのですが、プルーストはバルザックの文学性に近く、ジョイスはフローベルに近いと、述べています。本文はこうです。
 
 
  プルウストはいい。實に氣隨きずゐ氣ままだ。一ペーヂ、二ペーヂと、その投げやりな筆につい引かれて讀んで行くうちに、忽然として、私の眼の前にはさまざまな人物が丁度バルザックの小説の中でのやうに、鮮やかに浮んでくるのである。……
 
 
堀辰雄は更級日記の魅力について書きしるしています。こんど現代語訳を読んでみたいなあと思いました。
 
 
むずかしい言葉を調べてみました。

ノンシャラン (ノン・シャランス)
 
 
晝(=昼 ただの旧字です)
畫(=画 ただの旧字です)
 
 

 
 
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 この詩集は生田春月が翻訳をした作品です。ゲーテは政治家としても活躍し、かのナポレオンからも尊敬されていた作家で、その言葉を詩で楽しめるというのは、なんだか嬉しいように思います。

  

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ゴリオ爺さん(11) バルザック

今日はバルザックの「ゴリオ爺さん」その(11)を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
 
 
ゴリオ爺さんは、次回で完結です。おじいさんは、終幕の寸前まで、彼の仕事をつづけようとしていた。娘たちのために、金を工面することに心を砕いている。ベッドの中にあっても、さいごまで金を作ることを考え続けている。どこまでも父の仕事をしようと思っている。娘に富をもたらしてやることが、彼にとっての人生最高の仕事で、それは終幕が近いことを悟ったあとであっても、変わらなかった。
 
 
娘へ尽くすことを、ゴリオ爺さんはさいごまでやり通そうとしながら、もはやベットから一歩も歩き出せぬ状態にある。その最中で、彼はかつてやっていた仕事をもう一度はじめることを夢想している。
 
 
父が危篤であることを知らぬ娘は、看病をしている恋人にこんな手紙をよこした。
 
 
  〈貴方は一体何をなさってるの? ほとんど愛されることもなく、私はもう飽きられてしまったの? 貴方はこの心から心へ溢れ出した打ち明け話の中で、感情には如何に多くの微妙な違いがあるかを見知った時、いつでも忠実であり続ける人間でいるには余りにも綺麗過ぎるその魂を、まだこの私にお示しくださいませんのね。…………
 
 
ヒロインのデルフィーヌ・ド・ニュシンゲン夫人と、主人公ウージェーヌ・ラスチニャックは、ボーセアン夫人の舞踏会という大舞台に、きっとゆくという約束をしていたのですが、ここでゴリオ爺さんが倒れてしまって、どうにもならなくなっている。デルフィーヌは状況が判らぬまま、主人公に手紙でこう告げている。
 
 
  もし二時間以内に貴方が私の傍へいらっしゃらないなら、私は貴方の裏切りを許せないでしょう。
 
 
不倫の泥沼。家族の不幸。富の乱高下。と次々と崖の崩れるような異変が起きている。本文こうです。
 
 
  ウージェーヌはビアンションが見守る中でゴリオ爺さんと内密の話をした。それから悲しい報せを持って、ニュシンゲン夫人に知らせるべく下宿を出た。その時の彼の心は家族としての義務感がしみ込んでいたので、この報せで楽しみなどは総て中止されるものと思っていた。
「ねえ、彼女にはいつも通り楽しんでくるように言ってくださいよ」ラスチニャックが出てゆく時、それまでうとうとしているように見えたゴリオ爺さんが起き上がって坐った姿勢で彼に向かって叫んだ。
 
 
おじいさんの遺言は、こんな願いになるかもしれない。「ねえ、彼女にはいつも通り楽しんでくるように言ってくださいよ」
 
 
ヒロインは、ちょうどシンデレラと逆さの状況になっている。輝かしい舞踏会への唯一の機会があって、恋人とともに出かける寸前に、その夢が破れ去ろうとしている。父が危篤であるということを知らされるんです。ところが彼女は、父のことはもう放っておいて、ダンスに出かけようと言うんです。
 
 
ラスチニャックは社交界における絶望がどういうものかを、そこでまのあたりにするので、ありました。本文は、こうです。
 
 
  彼はまるで汚泥の海のような社交界を目の当たりにした。そこに足を踏み入れたとたんに、人は皆そこで首まで浸かってしまうだろう。「卑しい犯罪の他に何があるんだ!」彼は思った。「ヴォートランの方がよほど立派だ」
 
 
だが彼はもう、そんなことを口に出して言わないし、利己主義の大切さを学んでしまっていた。これ、物語の終幕寸前とは思えない、めくるめく展開でした。舞踏会には、あらゆるシンデレラたちがあつまってそれぞれに自分たちの最後のダンスとパーティーを楽しんでいるかのような、情景なんです。
 
 
バルザックはこの物語で一言も、十数年前に起きたフランス革命でなくなっていった人々への追悼の辞は述べていないんです。ただ、そういう倫理性が物語の内側からどうしたって滲み出してくる。バルザックは革命の最後の年に生まれていて、ちょうど父がその時代を生きたことになる。正確には、バルザックは革命後の自由な競争社会における悲劇や混乱を描きだしている。近代文明の発展と共に生きた人びとや、工業化後の社会の混沌を描きだしているんです。
 
 
青年ウージェーヌ・ラスチニャックは、彼女をけんめいに説得して、病床にある父の枕元に行くように願うのでした。
 
 

 
 
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■主要登場人物
・ゴリオじいさん………娘たちを愛するあまり破産した。
・ウージェーヌ・ラスチニャック………うぶで野心家の学生。
・レストー夫人………ウージェーヌが一目惚れした美女で、ゴリオじいさんの実の娘。
・デルフィーヌ・ド・ニュシンゲン夫人………銀行家の妻で、ゴリオじいさんのもう一人の娘。ラスチニャックと恋愛。
・ボーセアン夫人………ウージェーヌの遠い親戚のお金持ち。
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(作中[1][2][3]などの数字表記があります。その箇所を解説した訳註はこちらをご覧ください。)







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山羊の歌(13) 中原中也

今日は中原中也の「山羊の歌」その13を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
 
 
中原中也は、とつぜん日本画のような詩を描くんです。しかも狩野派みたいに金箔とか銀箔を多用したような艶やかな描写で、これまでの雰囲気と異なる詩で、みごとな変化だと思いました。
 
 
むずかしい言葉を調べてみました。
 
 
陪臣
 
 
隼人というのは、九州に住んでいた人々のことで、wikiにはこう書いていました
 
 
隼人と、陪臣と、ニコチン……。現代日本画家が一枚の絵に、太古と現代を混交して描きだしたような、詩でした。
 
 

 
 
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