路傍の草 寺田寅彦

今日は寺田寅彦の「路傍の草」を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
 
 
この随筆四年前に読んだんですけど、もういちど読んでみました。良い考えが浮かぶのはどういうときか、というのを寺田寅彦が論じています。おもしろい随筆なんです。三上さんじょうという言葉があって、辞書によれば『三上』とは『文章を考えるのに最も都合がよいという三つの場面。馬に乗っているとき、寝床に入っているとき、便所に入っているとき。』(大辞泉より)を意味する言葉なんです。寺田寅彦は、「いい考え」についてこう語っています。
 
 
  三上の三上たるゆえんを考えてみる。まずこの三つの境地はいずれも肉体的には不自由な拘束された余儀ない境地である事に気がつく。この三上にる間はわれわれは他の仕事をしたくてもできない。しかしまた一方から見ると非常に自由な解放されたありがたい境地である。なんとならばこれらの場合にわれわれは外からいろいろの用事を持ちかけられる心配から免れている。肉体が束縛されているかわりに精神が解放されている。
 
 
寺田寅彦は、仕事をしたくても出来ない時にこそ、良い考えが浮かぶんだというんですが、じゃあ逆に『仕事をしたくない心境なのに、仕事人っぽいことが出来ちゃう環境』こそが悪い考えが起きる契機で、iポン片手に行われているヘイト活動の基本的な仕組みはこうなっているのかもしれない……。
 
 
随筆に『外からいろいろの用事を持ちかけられる心配から免れている』ことが、良い考えの源泉になると記されていて、これって新しい時代の評論家も、子育てについて語るときに、近いことを言ってた、と思いました。
 
 
寺田寅彦は、古い言葉をうまいこと意訳して、現代人なら電車にのっていて何もすることが無い時とかに、優れた考えが、きっと浮かぶよと述べています。それから植物の生態と擬似科学に陥る心理について記しています。本文と関係無いんですけど、青春きっぷで四国を旅しているときに、電車の中で読書するのはほんとうに気分が良いんですよ。寺田寅彦はこう書きます。
 

 ……満員電車の内は存外瞑想に適している。机の前や実験室では浮かばないようないいアイディアが電車の内でひょっくり浮き上がる場合をしばしば経験する。



 
 
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 幼かった頃の夢想のことを、ゲーテは「黄金の空想よ」と記します。ゲーテの詩には、神話的なものと理知的なものが混在していて、これが魅力のように思います。ゲーテはゲルマン神話と、とくにギリシャ神話の影響が色濃いようです。
 この詩集は生田春月が翻訳をした作品です。ゲーテは政治家としても活躍し、かのナポレオンからも尊敬されていた作家で、その言葉を詩で楽しめるというのは、なんだか嬉しいように思います。

  

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ハイネ詩集(21)

今日は「ハインリヒ・ハイネ詩集」その21を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
 
 
「おまへの眼からは真珠のやうな涙の雫が落ちて来る」という一行が印象的な、今回のハイネの詩なんですけど、なつかしい、という感情だけでずいぶん心を動かされる、そういう詩なんです。孤独とさみしさについて、ハイネが美しく描くんです。
 
 
もしかすると賢治の表現する、あの独特な「さみしさ」は、ハイネ詩集と通底しているのかもしれないなあ……と思いました。
 
 
賢治がこの詩集について引用をしているので、これらの詩を読んでいたことだけは確かなんですが、ハイネについてどう思っていたのかは謎なんです。ハイネはこう記します。
 
 
 その子は寂しい小さな部屋の
 窓にもたれて立つてゐる
 眼には涙を一ぱいためて
 夜の暗をぢつとながめてゐる
 
 
 

 
 
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卍(まんじ) 谷崎潤一郎(4)

今日は谷崎潤一郎の「卍 まんじ」その4を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
 
 
前回、綿貫の子を妊娠をし、産まない選択をした光子さんだったんですが、その堕胎の方法に誤りがあって、光子さんは病に陥った。……ということだったんですが、どうもこれが狂言であって、ウソであると。ウソで恋人園子さんの気を引いて、はなしが二転三転して、いったいなにが事実だったのかどうも判らないし、なによりも、光子さんはどういうまごころがあるのか、もはや五里霧中である。
 
 
園子さんと光子さんの壊れてきた恋愛を描写しているわけで、こういう状況というのはなんというかじつにリアルで、読者に響いてくるなと思いました。二人は一時的に仲直りして、梅田から奈良へデートをする。
 
 
園子さんとのデート遊びと、綿貫との結婚を、光子さんは両方とも得たいと考えている。両立は出来ると考えている。女二人での密会デートに相応しい場所を探しつづけて、以前事件が起きた、宿屋に籠もることになった。園子と光子と、美男子綿貫3人で会ったりもしている。△関係がもつれにもつれているところなんです。
 
 
密会を夫にごまかすために、光子さんは妊娠中で手伝いが必要だというようなことになっていたりする。ウソが雪だるま式に脹らんで行ってる最中なんです。ウソだらけで混乱をしてしまって、恋敵同士だったはずの、美男子綿貫と(お姉さんと呼ばれている主人公の)園子さんは、2人で美女光子さんの謎について語りあうんです。本文こうです。
 
 
  「いったいお姉さんは、僕とお姉さんと孰方どっちが余計愛されてる思います。…………ほんまに僕を愛してるのんなら……結婚してくれたらええやありませんか。」(※……は省略)
 
 
さらには、妊娠劇というのがじつはウソだったんではないのかとまで疑らざるを得ず、主人公の園子さんはこう考える。「そしたらやっぱり光子さんはほんまに妊娠してはるのんやろか」まるで推理小説のように、事実が行方不明になっていて、わけがわからない。真相はいったいどうなんだろう、と思いつつ読んでいます。
 
 
恋人である光子さんが妊娠したかどうか、園子にも綿貫にも判らない。恋人が2人も居るのに、彼女の真相がわからない。すごい状況ですよ。光子さんは「妊娠した」と言っていたり「妊娠していない」と言っていたりする。どちらかでウソを言っているわけなんですけど、ウソをつく動機が多すぎるので、もはや事実が行方不明になっている。
 
 
ようするに園子も綿貫も2人とも、光子さんとの将来設計が出来ていなくて、貧乏人だとか同性愛だとか、触れてほしくない所が多すぎて、いちばん見えているはずの事実さえ見えなくなっていると。事実どころか、心もつかみきれなくなっている。恋愛だけに専念していたのに、なぜか心も行方不明になっている。
 
 
園子さんとしては、やっぱり綿貫が頼り無さすぎるので、こういういざこざになったんだと考える。ついに出血さわぎでさえ、なにかしかのトリックだったのではないかという疑いまで起きる。まるきり恋愛推理小説みたいになっている。恋愛の推理小説っていままで読んだことなかったです。
 
 
女性同士が恋愛をして、結婚をして、親戚や病院を通して妊娠の計画をして、子どもが産まれて女二人で子育てをするというのはかなり自然なこう、事態だと思うんですけど、100年前の社会だとこれはもう無理だなと思いました。ただ結婚生活は無理であっても、恋愛は出来るとここの登場人物たちは考えている。本文こうです。
 
 
  同性の愛やったらどんな男と結婚したかて、続けて行かれる。夫が何人変ったかてちょっとも影響せえへん、そしたらお姉さんと光ちゃんの愛は夫婦の愛よりも永久不変やいうて……
 
 
ほかにもこう書いています。
 
 
  ……なんにも嫉妬することあれへん。ぜんたいあんな綺麗な人たった一人で愛そいうのんが間違うてる。
 
 
思わず、なるほどそういう人間関係もあるのかと、真に受けてしまいそうになりました。美男子綿貫は、園子と契約書まで交わしあって、三人で協力しあって、光子と恋愛を積み重ねてゆこうと考えている。
 
 
まんじを全文は読まないけど、内容をちょっとのぞいてみたい方は、こちらの3ページだけを読んでみてください。
 
 
このあとに出てくる契約書の内容がヤバくて、三人で恋愛を続けるために、一人の恋愛が終わってしまったら、もう一方も同時に恋愛を辞めると言うんです。さらには二人目の子どもも園子としては辞めてほしいと契約書に書かせた。そんなバカなという感じです。
 
 
ただ、恋愛における骨肉の争いが無くなるというところには意義がある。園子はこれに同意して署名した。血判まで捺した。うわー、というところで次回に続きます。
 
 

 
 
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老ハイデルベルヒ 太宰治

今日は太宰治の「老ハイデルベルヒ」を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
 
 
題名の『アルトハイデルベルヒ』というのは、古き(良き)ハイデルベルクという意味で、これはドイツのマイアーフェルスターの演劇から引用したものです。古き良き都市ハイデルベルクになぞらえて、伊豆半島は三島の魅力を、太宰治は描きだしています。
 
 
学生時代に、太宰治は、友人佐吉さんのいる伊豆半島の三島が大好きになったわけで、その8年前の町と祭りと、貧しい人びとの様子を描いているのが、この『老ハイデルベルヒ』という作品です。
 
 
なんだか、バルザックの『ゴリオ爺さん』に描かれる、散財をしつくして一文無しになるラスティニャック青年のような、若き日の作家自身の姿を描きだす、太宰治なんです。太宰治はよく、過去の自身をモデルにして小説を書いています。若い太宰とすこし歳をとった太宰とが2人居る感じを描くのが、なんだか印象に残るんです。2人の太宰治が活写されている。
 
 
この『老ハイデルベルヒ』は、1940(昭和15)年3月に出されたもので、このころに『駆込み訴へ』や『走れメロス』などの名作を出しています。
 
 
作中に「八年間」と書いているので1932年ごろの三島を書いているはずなんですが、太宰治の正確な年表を調べてみるとこれは、1934(昭和9)年の25歳の夏の思い出を、描いています。略年譜には『夏、静岡県三島市の坂部武郎方に約一ヶ月滞在、「ロマネスク」を執筆。』と書いているので、この頃のことを今回書いていることは間違いないです。
 
 
太宰治にとって、三島はとても思い出深い町なんです。作中こう書いています。
 
 
  私のそれから八年間の創作は全部、三島の思想から教えられたものであると言っても過言でない程、三島は私に重大でありました。
 
 
太宰治はどこまで現実の模写をして、どこから先が小説の幻想なのか判らないような書き方をするんですけど、1934年と1940年との落差を描いている……というようにも読める。太宰は何よりも、佐吉さんという人が好きで、その明るい生き方を活写しているわけで、それが1940年の三島にはもう居ない。佐吉さんとの思い出が、この物語に活写されている。太宰治はこの小説の序文で「人間は誰しも、思ひ出のハイデルベルヒを持つてゐる。」と書き記しています。
 
 
祭りの日を描きだした場面が印象深いです。本文こうです。
 
 
  お祭の当日は朝からよく晴れていて私が顔を洗いに井戸端へ出たら、佐吉さんの妹さんは頭の手拭いを取って、おめでとうございます、と私に挨拶いたしました。ああ、おめでとう、と私も不自然でなくお祝いの言葉を返す事が出来ました。
 
 
ここから10数行の描写がじつに美しかったです。
 
 

 
 
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ハイネ詩集(20)

今日は「ハインリヒ・ハイネ詩集」その20を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
 
 
最近Apple Musicにはまっていて。100万人くらい居るミュージシャンの中で、チャーリープースの甘い歌声だけが異様に気に入ってしまって、もうこの”How Long”ばっかりをくり返しくり返し聴いているんですけど。


 
今日の詩は、こういう甘い感じがして良いなあと思いました。ハイネの詩はいろんな意味で甘いと思うんです。チャーリープースの歌声くらい甘い。こういうのです。
 
 
 もしもわたしが燕なら、かはいゝ人よ
 おまへのところへ飛んで行かう
 そしておまへの窓ぎはに
 わたしの寝床をつくらう
 
 ……

 もしもわたしが夜鶯うぐひすなら、かはいゝ人よ
 おまへのところへ飛んで行かう
 そしてみどりの菩提樹で
 夜つぴて歌つて聞かさうに
 
 

 
 
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卍(まんじ) 谷崎潤一郎(3)

今日は谷崎潤一郎の「卍 まんじ」その3を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
 
 
どうも悪いことが起きそうな予感があって、だんだん読むのがつらくなってきたこのまんじなんですけど、読みはじめてみると、小説の完成度が高いので、この世界にぐーっと引き込まれます。柿内園子さんは、光子さんが好きでしょうがなくなった。はじめは校長の計略で、恋人同士みたいに噂されていただけなんですけど、ついに本人からそうなってしまった。外圧によって新しい恋愛の形が出来て、いつのまにか内側からもこれが生じていった。
 
 
理想を掲げているうちに、ほんとにそういう理想的な生き方に近づいてしまった……みたいなことは現実にもあるかもしれないなあとか思いました。たいていは、イヤな予測しか現実にならないんですけれども。危険だ危険だと言ってるうちに、ほんとに危険なことが起きるとか。
 
 
柿内園子さんはもう光子さんに夢中で、夫や世間や、他のことが見えなくなる。学校も行かずに女同士でデートを繰り返している。ついに温厚な夫もこの異変に気づいて、妻を疑いはじめる。なんや悪いことやっとるんとちゃうんか、と言うわけです。なんだか不幸の呼び水のような記述があるんです。園子さんは夫にこう述べます。
 
 
  あんたはあんたで好きな友達持ったらええし、うちはうちで勝手にさしといて欲しいわ。

 
園子さんは性的に光子さんと睦まじいわけなんですが、それを夫にはひた隠しにしている。それでなぜ2人きりで隠れて遊んでいるのか、夫に対してこのように説明します。
 
 
  あんた自分で、そんな綺麗な人やったら会わしてくれいうたやないか。誰かって綺麗な人好きになるのん当り前やし、女同士の間やったら美術品愛するのんと同じや
 
 
哲学者のヴェーユが、美の危険性についていくつか指摘しているわけなんですけど、たとえばこう言ってます。「美は、たましいまではいりこむ許しを得ようとして、肉を誘惑する。」あるいは、とても遠い存在に対して人が美を見いだすことについて「へだたりは、美の中枢である。」とかヴェーユは言っている。「すべて美の中には、除き去ることができない矛盾、苦、欠如が見出される。」というようなことを哲学者が言ってるんですけど! 谷崎潤一郎は、そこに共通した物語を如実に描きだしている。
 
 
夫と園子さんとの対立がなんともみごとなんです。関西弁がそもそも、バトルラップに向いている文体になっているように思いました。主人公の柿内園子さんは夫と仲たがいしてしまう。そうしてそれから……奇妙な事件が起きる。光子さんの着物が、風呂つきの宿屋の中で盗まれてしまって、家に着て帰る服が無くなったので、園子さんに電話をしてこれを持ってきてもらうことになった。なんとも謎めいた事態が起きた。
 
 
ここから先は完全にネタバレになるので、まだ読み終えていない方はご注意ください。どうも光子さんは、他の美男子(綿貫栄次郎)とも隠れて恋愛をしているようである。おどろいたことに、結婚の約束さえしていたというんです。いったい光子さんはどちらを利用して踏み台にしたのか、どうもよくわからない。光子さん本人にさえ、誰に対してまごころがあって、誰を裏切っているのかよく判らなくなっている。
 
 
光子さんとしては、結婚相手と柿内さんはまったくべつの存在で、2つの恋愛は両立できるのだという……。そんな時に、宿屋で賭博の検挙事件が起きてしまって、みんな宿から蜘蛛の子を散らすように逃げていった。賭博犯たちがそこですり替わりのトリックを使って刑事から逃れようとして、光子さんたちの着物を盗んでこれを着こみ、自分たちは賭博犯じゃ無いと警察に主張しはじめた。
 
 
物語全体と細部。この2つの係り結び、とでも言えば良いのか。みごとな符合が鮮やかに織り込まれているんですよ。隅々まで。ほんとにこう、あー、これが純文学の進化なのかと目を見はりました。こういうなんでもない文章も物語全体に共鳴しているように思えて、印象に残るんですよ。
 
 
「同じ刑事でも博奕打検挙するのんと密会者検挙するのんとは係りがちごてるんやそうで」
 
 
光子さんは不倫の罪での逮捕をすんでのところで免れたわけなんですが、レズビアンの恋人にこんな頼み事をするより他なかった。
 
 
「今夜一緒に映画でも見てたようにいうて、万一警察から電話がかかっても、そこを何ぞうまいこというといてくれなされへんかいうのんです。」
 
 
まんじを全文は読まないけど、どういう物語なのかのぞいてみたい方は『その十一』の一部だけをちょっと読んでみてください。
 
 
光子さんは、美男子綿貫との関係で、妊娠をした可能性が高い。それから……話しは次回に続きます。全6回で完結です。
 
 

 
 
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無題 太宰治

今日は太宰治の「無題」を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
 
 
斜陽』や『走れメロス』といった名作を書いてきた太宰治も、ツイッターみたいなことをやったことがあったんですよ。しかも70年以上まえの戦時中に。戦時中にツイッターそっくりなことをしてたってすごい。
 
 
ほんの三〇〇文字くらいの文章を書いていて、しかもオチが知人に対して「バカ」と書いて終わってるだけなんです。まるっきりツイッターみたいです。太宰治ファンなら必読の小品かと思います。
 
 
大井廣介という方に対して、太宰治は愚痴っているんです。ちなみにこの人も、戦争中に坂口安吾らと一緒になって犯人当てゲームの集会を開いたりしている。
 
 
本編と関係無いんですけど、日中戦争のころの1939年にディズニーのアニメ映画が日本の映画館で公開されたりしてるんです。戦争中って謎の事柄がいろいろ起きてるんだなあと思いました。
 
 
あんな名作を書いた人が、こんな駄文を書いたのかと、読んでて楽しくなる掌編でした。
 
 

 
 
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