痴人の愛(21〜22) 谷崎潤一郎

今日は谷崎潤一郎の「痴人の愛」その(21〜22)を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
 
 
夫婦で喧嘩別れしたあとに、ナオミは一時的に行方不明になってしまった。実家にも帰ってきていない。不倫を常習している妻を探しまわって泣きそうになっている譲治なんですけど、近代と言えばまだ男尊女卑が色濃かった時代に、漱石のすぐあと、こういう物語を描くってほんとにすごいなと思いました。
 
 
ナオミはどうもまだ、不倫相手と一緒に居るのかもしれない。悪友の中では唯一信用できる浜田くんに頼み込んで、ナオミを探している譲治。この場面に於ける譲治の描写に迫力がありました。
 
 
「それじゃあ、君はもう知っているんですか?」
「僕は昨夜いましたよ」
「えッ、ナオミに?………ナオミに昨夜遇ったんですか?」
今度は、私は前とは違った胴顫いで、体中がガクガクしました。あまり激しく顫えたので前歯をカチリと送話器の口にッつけました。
「昨夜僕はエルドラドオのダンスに行ったら、ナオミさんが来ていましたよ。別に事情を聞いた訳ではないんですけれど、どうも様子が変でしたから、大方そんな事なんだろうと思ったんです」
「誰と一緒に来ていましたか? 熊谷と一緒じゃないんですか?」
「熊谷ばかりじゃありません、いろんな男が五六人も一緒で、中には西洋人もいました」
 
 
どうもナオミはそこいら中の男の家に転がりこんで、泊まり歩いている。ジョン・バリモアという映画俳優にそっくりな白人と遊び歩いているらしい。
 
 
あきらかに不貞で、しかし限りなく美しくなってゆくナオミの噂話だけで譲治は悶々とするんです。「一生懸命ナオミを恋い慕っている」譲治は、奔放すぎるナオミの所行に喉を詰まらせる。「涙さえ止まってしまいました」という一文に、驚きました。
 
 

 
 
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ハイネ詩集(33)

今日は「ハインリヒ・ハイネ詩集」その33を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
 
 
「わたしはけつしてかなしむまい」という詩の言葉が印象的なこんかいのハイネ詩集なんですけど、ハイネの知人でもあった革命家のマルクスの人生を連想しました。マルクスは革命の嵐が吹き荒れるフランスで論説を繰り広げつつ、家の中では暖かい家族との日々を営みつづけた。今回は、そういう熱い思想家との交流もあったハイネの、読後感の不思議な詩なんです。
 
 

 
 
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冬の情緒 萩原朔太郎

今日は冬の情緒の「萩原朔太郎」を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
 
 
近代文学には、自然界との通路が出来上がっていて、そこから自然の一部を観察できるような気がしました。萩原朔太郎はこう記します。
 
 
  …………それ故に詩人たちは、昔に於ても今に於ても、西洋でも東洋でも、常に同じ一つの主題を有する。同じ一つの「冬」の詩しか作つて居ない。彼等の思想と題材とは、もちろん一人一人に変つて居るが、その詩的情緒の本質に属するものは、普遍の人間性に遺伝されてる、一貫不易のリリツクである。即ちあの蕭条たる自然の中で、たよりなき生の孤独にふるへながら、赤々と燃える焚火の前に、幼時の追懐をまどろみながら、母の懐中ふところを恋するところの情緒である。

 
萩原は、冬を描いた文学者たちの中でとりわけ与謝蕪村の俳味あふれる諸作を推しているんです。くわしくは本文をどうぞ。
 
  
難読の文字を調べてみました。
 
 
蕭条しょうじょう
 
 

 
 
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痴人の愛(19〜20) 谷崎潤一郎

今日は谷崎潤一郎の「痴人の愛」その(19〜20)を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
 
 
浮気の事実を認めた妻の、再度の不幸を封じこめようと、悪友の来ない新しい家を探し始めた譲治なんですけど、ナオミはナオミで譲治の手紙を盗み見て、譲治の態度に不正があるんじゃないかと追及しはじめた。
 
 
譲治が心配したとおり、ナオミは浮気を辞めることができなかった。その現場を掴んだ夫の譲治は、ついにナオミと別れてしまった。裏切られたのに譲治はますますナオミへの思いを色濃くした。本文こうです。
 
 
  私はいつの間にか立ち上って、部屋をったり来たりしながら、どうしたらこの恋慕の情をやすことが出来るだろうかと、長い間考えました。と、どう考えても癒やす方法は見付からないで、ただただ彼女の美しかったことばかりがおもい出される。…………
 
 

 
 
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ハイネ詩集(32)

今日は「ハインリヒ・ハイネ詩集」その32を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
 
 
「心よ、わたしの心よ」という言葉が印象的な今回のハイネの作品は、なんだか詩というよりも、ごく短い偉人の名言集か、自己啓発書みたいで面白かったです。
 
 
ハイネが恋人をなぐさめるときには、こういうことを言ったのかもしれないなあー、と思いました。悲しむ人へ向けて、冬から春の来ることを告げつつ、「そんなに沢山のものがおまへに残されて」いると示し「そしてやつぱりこの世はどんなに美しいか!」とハイネは情熱的に恋人に語ったのではあるまいか、とか空想しました。最後の一文がなんか良いんです。
 
 

 
 
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ともしい日の記念 片山廣子

今日は片山廣子の「ともしい日の記念」を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
 
 
戦後すぐの、飯の話しを書いているんですけど、すごい美味そうで驚くんです。飢餓がもっとも激しかった時代から、やっと飯がたくさん食える状態へと回復しつつある時期の、ごはんのことを描写していて、迫力がありました。片山廣子は、貧しかったころの献立について詳細に書いているんです。
 
 
作中に、葱を醤油づけにした食事が出て来るんですけど、読んでるだけでお腹が減りました。いちばん困っている頃に、どうやって美味しいものを作ったのか、その詳細を書いています。
 
 
この頃の食糧事情をちょっと調べていたら、戦死者230万人のうち、130万人を越える過半数はどうも餓死だったという学説があって、新聞社もこれを肯定的に書いていました。これは終戦後にも深刻な問題で、新聞社では1939年という第二次大戦が始まるころと比べて、日増しに食糧不足となって、子どもたちの身長と体重と運動能力が落ちてゆき、戦後3年の1948年でさえ悪化し続けていた、という記録がありました。詳しくは「数字は証言する データで見る太平洋戦争 第4回」という記事をご覧ください。
 
 
やっとよい暮らしが出来るようになってきた一方で、戦争孤児が餓死してゆく現実があった時期に、二律背反の状況で片山廣子が戦時中の美味しいごはんとお菓子の記憶を、描いているのが、とても印象に残りました。作中にこう書いていました。
 
 
  ピーナツ、乾柿、梅干砂糖漬、黒砂糖のあめ。こんな物はどこともなく遠くの方からそうつと運ばれた物。
 
 

 
 
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痴人の愛(17〜18) 谷崎潤一郎

今日は谷崎潤一郎の「痴人の愛」その(17〜18)を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
 
 
痴人の愛は、1924年(大正13年)ごろに発表された作品なんですけど、今回とくに封建的な思潮と、谷崎潤一郎の先進的な思考がぶつかり合って、古いような新しいような、じつに不思議な章になっていました。谷崎は、若い妻の数々の不倫の顛末について描いているんですけど、純情で無くなった妻に対して抱く譲治という男の心理を詳らかに描いているんです。ナボコフのロリータが描かれたのが、「痴人の愛」のちょうど30年後の1955年です。時代と比較すると谷崎は圧倒的にアバンギャルドだったように思います。
 
 
江戸時代には趣味的な物語作品があまたにあったそうなんですが、谷崎の時代に、ほかにこれほど蠱惑的で趣味の色濃い物語を描いた人が居たんだろうか……と思いました。夫婦間の不和について描くときでさえも、甘美な描写が冴えるんです。ちょっと前後の文3ページくらい読まないと、文体が見えないんですが、本文こうです。
 
 
  …………私はいつも彼女に負けました。私が負けたと云うよりは、私の中にある獣性が彼女に征服されました。事実を云えば私は彼女をまだまだ信じる気にはなれない、にもかかわらず私の獣性は盲目的に彼女に降伏することをい、べてを捨てて妥協するようにさせてしまいます。
 
  
恋人同士の夫婦から、家族としての夫婦へと変化してゆくシーンが描かれてゆきます。
 
 

 
 
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