今日は若杉鳥子の「旧師の家」を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
この私小説は、作家の若杉鳥子が、栃木の鬼怒川を通って、詩人の横瀬夜雨に逢いにゆく、実話を淡々と描いた物語なんですけど、文体も内容もごく普通のはずなんですけど、とても印象深かったです。ちょっと気になったので、どういうルートを旅したのか、その一部をGoogleマップで調べてみました。100年ほど前にこのあたりを、大宝駅から列車に乗って、東京まで帰っていったようです。
どこにこの短編小説の美しさの秘密があるんだろうか、と何回か読んでみたんですが……やはり私淑している詩人に逢いに行った思い出についての、嘘のない心情が平熱の文体で描かれているのが良いのであって、マネの出来るような何かじゃないんだろうと、思いました。
横瀬夜雨は身体が不自由な詩人で、恋愛詩を描いた。こういう詩があります。
花なる人の
恋しとて
月に泣いたは
夢なるもの
破れ大鼓は
叩けどならぬ
落る涙を
知るや君 (横瀬夜雨)
恋しとて
月に泣いたは
夢なるもの
破れ大鼓は
叩けどならぬ
落る涙を
知るや君 (横瀬夜雨)

こちらのリンクから全文読めます。(縦書きブラウザの使い方はこちら)
http://akarinohon.com/letters/kyushino_ie.html
(約10頁 / ロード時間約30秒)
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