三四郎 夏目漱石

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今日は夏目漱石の三四郎を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
主人公である三四郎は一人で上京するために汽車に乗っています。そこで異性にであう。なかなか好感の持てる九州出身の人物です。その異性から話しかけられて、三四郎は戸惑います。そのすてきな異性が「一人旅で心細いので、一緒に宿屋に泊まりませんか?」と話しかけてくる。主人公は純情なものですから、断ることも出来ず、しかし異性を口説いて恋仲になるような勇気も持っていない。それから三四郎は都会の立派な学校で学び始めます。生まれて初めての体験ですから、その学問というものにものすごいあこがれがあるわけです。

 

三四郎は田舎から東京へ出てきます。そして都会の大きさに喜びと不安を感じます。充実した日常なんですが、どこか昔よりもいっそうさびしさや孤独を感じる。その不安をふりはらうために、大学で熱心に学ぶのですが、「なんだかどうもちがう」と感じる。学問に身が入らない。どうにも物足りない。

そうして佐々木という青年が、三四郎におもしろい指摘をするわけです。
「君はずいぶんまじめに講義を聞いているようだな」
三四郎は答えます。「うん、一週間に約四十時間ほどになる。しかしこれが物足りないんだ」
佐々木は言います。
「馬鹿々々。下宿屋のまずい飯を一日十回食ったら物足りるようになるか考えてみろ」
大学の授業が、まるで「まずい飯」のようなもんだとたとえる、生意気な生徒さんなわけです。

それで佐々木は、三四郎に都会の遊び方を教えるんです。
三四郎を満足させた佐々木は
「これから先は図書館でなくっちゃ物足りない」
と告げる。
三四郎は、それで授業を半分に減らして空いた時間に図書館へ行くことにします。
漱石は物語の中で「明治の思想は西洋の歴史に現れた三〇〇年の活動を四十年で繰り返している」と記します。漱石は自分が今置かれている立場を客観視させてくれます。初期や中期の漱石は物語に教養を含めてゆくと言うことにかなり熱心であったように思います。実際、漱石には多くの弟子たちがいて後進を育てています。

三四郎の登場人物には、どこか抜けているのに鋭い指摘をする人々が多く登場します。この物語は、なかなか滋養に満ちたことを言う人たちが多くて面白いんですよ。
広田先生というのがいちばんするどい指摘をする人かもしれません。

それから、漱石の話は哲学的な考察が鮮やかに書き記されているのも特徴です。
夜にですよ。病に罹った妹のために急に家を空けることになった知人の家に、たった一人で取り残される三四郎。それが真夜中になって、見知らぬ竹藪の奥底から、怖ろしいうめき声を聞くんです。それから闇夜の中を這うように歩いて、その声がしたところへ向かう。続きは本文を読んでいただきたいのですが、その夜の恐ろしさと、まったく同じことがらを、知人が「昼に」体験したがるんですね。まったく同じ事件であるのに、暗闇の中に一人立っている人のみたものと、昼にその話しを聞いた男とで、印象がまったく異なる。



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