ファウスト(21) ゲーテ

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今日はゲーテの「ファウスト」その(21)を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
 
 
前回、寺院を訪れていたグレエトヘン(またの名をマルガレエテ)は、悪霊に遭遇するのでした。グレエトヘンはご存じの通り、罪を犯してきたわけでは無いんです。その無辜のグレエトヘンに対して悪霊はこう告げます。
 
 
お前の胸に隠しているのは
なんと云う悪業だ。
お前の咎(とが)で、長い、長い苦艱を受けに、
死んで行かれた母親の霊のために祈るのか。
お前の家の門の閾は誰の血に穢(けがさ)れたか。
 
 
グレエトヘンはこの声を直接には聞いていないんです。しかし大きな不安を感じて、それまで居た場から去りたいと思い、身を締め付けられるような不安をいだきます。それを見ていた悪霊はこう囁くんです。
 
 
聖者達はお前に
お顔をお背(そむけ)なさるぞ。
浄い人はお前の手を握ろうとして
身慄(みぶるい)をするぞ。
 
 
ゲーテ詩集を読んでいると、ゲーテは悲劇を描かずとも人々を魅了し、個人の自由を最大限広げてゆくような思想を持っていて、国家や宗教団体に縛られない世界観というものを目指していたことが判ります。
 
 
しかしゲーテ最大の傑作と言われるこのファウストでは、それとは異なる事態というのが描かれています。信仰に救いを求める無辜の少女と、魔女狩りのことが描かれています。
 
 
どういう理由でこのような物語が書かれていったのか、ちょっと調べてみたんですが、ゲーテは1749年に生まれて1832年まで生きて、その百年前に三〇年戦争というのがドイツに非常に大きな影響を与えたそうなんです。新教と旧教の争いがドイツを中心にしてくりかえされていて、当時ドイツの人口の半分ちかい人々がこの戦争で亡くなられたんです。それでゲーテが生まれた頃も、ドイツはヨーロッパの中で後進国のようなあつかいを受けていたのだそうです。ゲーテは文学の辺境というか、ヨーロッパの中では当時最大の田舎に生きてきた文学者だったようです。ゲーテについてくわしくはこちらを読んでみてください。
 
 
芥川龍之介がゲーテを愛読していて、「ある阿呆の一生」でこう記しています。

  Divan はもう一度彼の心に新しい力を与へようとした。それは彼の知らずにゐた「東洋的なゲエテ」だつた。彼はあらゆる善悪の彼岸に悠々と立つてゐるゲエテを見、絶望に近い羨ましさを感じた。詩人ゲエテは彼の目には詩人クリストよりも偉大だつた。この詩人の心にはアクロポリスやゴルゴタの外にアラビアの薔薇さへ花をひらいてゐた。若しこの詩人の足あとを辿る多少の力を持つてゐたらば、――彼はデイヴアンを読み了り、恐しい感動の静まつた後、しみじみ生活的宦官に生まれた彼自身を軽蔑せずにはゐられなかつた。
 
 
Divanというのはゲーテが愛読したペルシャの詩人の作品名です。芥川龍之介は、時代を超えて読み継がれるゲーテを、もっとも偉大な詩人としてとらえていました。
 
 

 
 
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 ここからは新サイトの「ゲーテ詩集」を紹介します。縦書き表示で読めますよ。
 幼かった頃の夢想のことを、ゲーテは「黄金の空想よ」と記します。ゲーテの詩には、神話的なものと理知的なものが混在していて、これが魅力のように思います。ゲーテはゲルマン神話と、とくにギリシャ神話の影響が色濃いようです。
 この詩集は生田春月が翻訳をした作品です。ゲーテは政治家としても活躍し、かのナポレオンからも尊敬されていた作家で、その言葉を詩で楽しめるというのは、なんだか嬉しいように思います。

  

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