神曲 地獄(19) ダンテ

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今日はダンテの「神曲 地獄篇」第十九曲を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
 
 
今回の描写で、作者のダンテが師と仰ぐ、古の詩人ウェルギリウスとの関係性がなにか明確化したように思えました。ダンテは地獄で苦しむ権力者(ニッコロ三世コンスタンティヌス一世)を批判するんですよ。ほとんど怒りにまかせて、罪と責任を問うんです。
 
 
普通ならこういう状況で、師はいさめるか仲裁に入ると思うんですが、ここで師のウェルギリウスは、興奮にうちふるえてから満足げにダンテを抱きかかえて、先へ先へと歩んでゆくんです。
 
 
ダンテがなにを非難したのかを調べてみたのですが、どうも自分の知力ではいまひとつ理解できませんでした! いろいろダンテとその時代についてさぐってみたのですが、ちょっと判ったことは、ダンテがこの神曲で金の亡者といって厳しい批判をしている理由だけは、ちゃんと理解できました。ダンテの時代の二世紀あとに、神学者ルターが「キリスト教を堕落させたのは、免罪符というシステムだ」という批判を繰り広げて宗教改革が行われてゆくんですが、この問題の先鞭をつけたのが、ダンテ神曲による宗教批判なんですよ。聖職の仕事は利益と無関係な目的によって成立していると言うことがダンテによって告げられているのでした。それから、ダンテはこの神曲十九曲でコンスタンティヌス一世を批判しているんですが、それはなぜかというと「西ローマ帝国の地上権を教皇に寄進した」ことが大きな悪事だったというんです。
 
 
「コンスタンティヌスの寄進状」という歴史上もっとも有名な偽書が存在していて、ダンテはこの偽書が告げている「西ローマ帝国の寄進」という歴史と同じ箇所を批判しているんです。
 
 
「コンスタンティヌスの寄進状」というのが、ネット上にですね、全文日本語訳で公開されているんですよ。これを読んでみたんですが、なかなかすごいことが書いているんです。荘厳なことが書いてある。キリスト教と自分たちが、どれほど威力があって素晴らしいものであるかということがさんざんきらびやかに記されているんです。
 
 
しかし一章からはじまって十七章目から最終二十章で、まったくひどいことが書いてあって、簡単に言うと「重要な権利をぜんぶ譲り渡しちゃいます。キリストもそうしろと命じてくれました(ウソだけど)」という内容なんです。
 
 
ダンテはこの偽書(当時は偽書だという証明がされていなかったんですが)と同時代の闇について考え続けてきて、ついに頭にきて、作中でさんざんコンスタンティヌス一世を批判したわけです。
 
 
「お前たち権力者の貪欲のために、善人が沈んで悪人が浮かびあがる悲しい時代になってしまった」そして「悪事にあれほど金を注ぎ込んだから、大きな災いが生じたのだ」とダンテは告げます。まさに311後に原発を輸出して原発被災の補償を打ち切る現行政府にぴったりと一致する物語だと思いました……。山川訳はこうです。
 
 
汝等の貪りは世界に殃(わざはひ)し善(よき)を踏みしき悖(もと)れるを擧ぐ
 
 

 
 
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 ここからは新サイトの「ゲーテ詩集」を紹介します。縦書き表示で読めますよ。
 幼かった頃の夢想のことを、ゲーテは「黄金の空想よ」と記します。ゲーテの詩には、神話的なものと理知的なものが混在していて、これが魅力のように思います。ゲーテはゲルマン神話と、とくにギリシャ神話の影響が色濃いようです。
 この詩集は生田春月が翻訳をした作品です。ゲーテは政治家としても活躍し、かのナポレオンからも尊敬されていた作家で、その言葉を詩で楽しめるというのは、なんだか嬉しいように思います。

  

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