神曲 天堂(32) ダンテ

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今日はダンテの「神曲 天堂」第三十二曲を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
 
 
ダンテ神曲は、次回が最終回です。
 
 
ダンテは、フィレンツェから永久追放を命じられた1302年3月から、わずか2年後に、神曲の地獄篇の「われ正路を失ひ、人生の覊旅半にあたりてとある暗き林のなかにありき」という物語を紡ぎはじめたわけで、かなりこう、自身の実人生における体験をもとに、文学を記していっていて、だからこそ長年読み継がれる、重厚な文学になったんだと思います。
 
 
1314年にはこのダンテ「神曲」地獄篇を出版し、そうして煉獄篇を書きあげ、1315年には天堂篇にとりかかり始めて、1321年に天堂篇を完成させ、その年のうちに(9月13日ごろ)ラヴェンナにて亡くなっています。
 
 
なので、ダンテは自分がこの世から去ることを考えつつ、長い旅路と良き終わりについて記していった、ということになります。
 
 
聖母マリア、それから、アダムと一緒になった人類初の女エバが登場します。なんというか、終盤に来てもう、聖書に登場するそうそうたる中心人物たちが現れるわけです。ダンテは、順序だてて重要人物を登場させることに猛烈なこだわりがあるなーと、改めて思いました。普通の小説なら、重要人物を、もっとでたらめな回数出してくると思うんですが、ダンテは並べ方に徹底的にこだわって描いています。マリアが出てくるのが、終わりの2話だけってのが、なんかすごい迫力でした。
 
 
仏教でも、地獄の世界を非常に精密に区分けして猛烈な整理整頓を行っているわけで、ダンテの宗教心は、この登場人物の、配置の徹底ぶりにも現れているんだろうなあー、と思いました。
 
 
ここではもはや、悲しみも餓えも無く、さらには偶然さえ起きない、正確無比な世界となっていて、大きな愛と喜びとに、永遠につつまれているのでありました。あー、と思ったんですが、戦争が起きていたら、不慮の不幸は覚悟しなければならないし、餓えはどうしたって存在するし、偶然が無いことが天堂の中心に於ける、重大な仕組みだというのは、これはじっさいに戦争状態に身を置いたダンテだからこそ、そういうことを描くんだろうなと思いました。
 
 
自分の生きている日常では、むしろ偶然に何かが起きてくれたほうが、いろいろとおもしろいのですけど、戦争と平和をゆききした作者にとっては、偶然が入りこむ隙の無いことは、とても安心できることなんだろうなあと思いました。「神はサイコロを振らないと、わたしは確信している」とアインシュタインが述べたことがあるそうですが、ダンテはその前の時代に、そういうことについて念入りに書いているんだなと、ショックを受けました。
 
 
マリアの光をうけて、美しくなった天堂の人々、という描写がすばらしかったです。ちょっともう、なにも紹介できない感じです。ダンテはこういう言葉を聞きます。
 
 
「祈りて、恵みを得ることが大切だ。お前を助けることのできるあのマリアからの恵みを得ることが」山川訳はこうです。
 
 
祈りによりて、恩惠(めぐみ)を受ること肝要なり
汝を助くるをうる淑女の恩惠(めぐみ)
 
 

 
 
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 幼かった頃の夢想のことを、ゲーテは「黄金の空想よ」と記します。ゲーテの詩には、神話的なものと理知的なものが混在していて、これが魅力のように思います。ゲーテはゲルマン神話と、とくにギリシャ神話の影響が色濃いようです。
 この詩集は生田春月が翻訳をした作品です。ゲーテは政治家としても活躍し、かのナポレオンからも尊敬されていた作家で、その言葉を詩で楽しめるというのは、なんだか嬉しいように思います。

  

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