坊っちゃん(5) 夏目漱石

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今日は夏目漱石の「坊っちゃん」その(5)を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
 
 
「坊っちゃん」は、子ども向きのストーリーもので、草枕のように評論調の文体にはなってゆかないんですが、それでも、おもしろい考え方というのが時々出てきます。
 
 
漱石が、子ども嫌いだったという話は良く聞くんですが、この「坊っちゃん」という本は明らかに、幼い読者に向けて書いているように思いました。子どもが突きあたる思考の問題というのを話題の中心に置いているんです。今回は、釣りって魚にとってどうなんだという話でした。現代ではキャッチアンドリリースとか、焼いて食べてゴミを持ち帰るなら自然の摂理なんだとか、あるていどマナーとして浸透してしまっているので話題にもならないと思うんですが。昔はそういうのが無かったようで、現代で言うところの「趣味の狩猟」はどう考えたら良いものか、というハナシになっていました。
 
 
むかし、といっても1980年代くらいなんですが『団地の野良猫にエサをあげるのは、善なのか悪なのか。どうしたらいいのか』という小学生の討論会が自然発生したことがあって、先生がちゃんと審判員をやっていたんですが、ちょうどこう、立場が2つに別れていて、「野良猫は嫌いだし不衛生だ」というのと「野良猫はかわいいしエサをやって良い」という立場で、まったく方針が一致せず「これは善悪で判断できない」というオチになっちゃったんです。そのころ小学生の脳みそで考えたのは「ノラネコを餓え死にさせろ、というのはいかにも冷たい」ということと、「猫が増えたら不衛生なんじゃ無くて、ゴミ収集のシステムに不備があるから不衛生になっているだけのはず」ということで、しかしゴミ収集が進歩した状況の事実例が無かったもんですから、誰をも説得できなかったのでした。
 
 
どうも21世紀にもなると、これもひとつのマナーができているようで「エサやりは直接否定しないけど、ちゃんとノラネコには不妊手術を受けさせてくださいね」ということを国が中心にやっているようなんです。「不妊手術を受けさせるくらいなら、私が飼う」という展開もありえそうな方針で、そんな解答例が現代にはあるのか、驚きだと思いました。
 
 
この主人公はとにかく、負けず嫌いなところがおもしろいです。釣りの話題になっても、バカにされてたまるか、というところに突っこんでいってしまう。後半で登場するマドンナ、という女の名が、この章で語られていました。赤シャツというのが女のようなキザな男で、その上ずいぶんガキ大将っぽくて、これで教頭先生なのが変なもんだと思いました。嫌味な相手も含めて、まさに童心が描かれていました。男は古里の、母代わりになって育ててくれたお婆さんのことを思い出すんです。おばあさんは、人の話をちゃんと最後まで聞いてくれた。
 
 
清おばあさんがどうして主人公を好きであったのか。おばあさんの言った言葉の意味が、いざこざの中で、だんだんと明らかになってくるんですよ。そこが良いんだと思いました。
 
 

 
 
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 幼かった頃の夢想のことを、ゲーテは「黄金の空想よ」と記します。ゲーテの詩には、神話的なものと理知的なものが混在していて、これが魅力のように思います。ゲーテはゲルマン神話と、とくにギリシャ神話の影響が色濃いようです。
 この詩集は生田春月が翻訳をした作品です。ゲーテは政治家としても活躍し、かのナポレオンからも尊敬されていた作家で、その言葉を詩で楽しめるというのは、なんだか嬉しいように思います。

  

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