三四郎 夏目漱石(3)

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今日は夏目漱石の「三四郎」その(3)を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
 
 
昔の日本の大学は、9月に新学期が始まったようです。夏休みの終わりが新しい学年となると、夏休みの意味が奥深くなるので、物語にしやすいわけで、漱石はそこのところを三四郎のしゅったつと絡めて描いていたようです。9月が入学式なら、8月はまさに、春休みと夏休みが同時に来たような雰囲気になる。
 
 
三四郎は、人が居ない大学を訪れて、いつまで経っても始まらない授業を待っているわけなんですが、その描写がじつに不可思議な印象をかもし出していました。一番はじめに受ける授業が、海外からやって来た外国語の先生の授業で、これはずいぶんと高度で、田舎から来た学生にはむつかしいだろうなあと思いました。三四郎はなにがなんだか判らないで授業をメモし続ける。
 
 
同級生が「大学はつまらないな」と言うと、三四郎は反論も同意もできない。どっちに判断して良いかさえこう、感じられないその前段階で、授業を聞きつづけていた、というのがなんかじつにリアルなこう、カルチャーショックの描写でした。
 
 
なにかこう、カルチャーに対してサブカルチャーの萌芽をこう、つくり出そうとしているような展開で、不思議な印象のする章でした。漱石の作品の中でも、こうなにか不可思議さが前に出てくる小説だなと思います。大学はつまらんよと、教えてくれた佐々木与次郎ささきよじろうという男はなかなかの曲者で、授業にたくさん出てみたがどうも楽しくないという三四郎に、こんなことを言います。
 
 
「下宿屋のまずい飯を一日に十ぺん食ったらもの足りるようになるか考えてみろ」
 
 
じゃあどうしたら良いだろうという三四郎を、与次郎は電車を使って町に連れ出し、寄席を聞かせるのでした。現代で言うと映画に連れていったという感じでしょうか。さいご、図書館こそがすごいんだぞ、と言うんですよ。はー、そういうことがほんとうに伝えられる男になってみたいもんだと思いました。
 
 
あと、ヘーゲルの重要性を示しつつ、倫理というか哲学も無くただ機械のように学問をのっぺらぼう・・・・・・に聞くことの危うさについて記されていました。
 
 
三四郎は、野々宮君の家の留守番をすることになった……。ところがその夜に事件が起き、見知らぬ声が、遠くからふと聞こえてくる。どうもそれが……続きは本文をご覧ください。漱石は、文明の危険について、詳細に描きだしています。100年後の現代にも、たしかに共通している問題について書いている、と思いました。三四郎は、ひどい事件をまのあたりにしたあとに、勉強や研究をすることよりも、親しい人に逢うことの方がまるで重大だ、ということをつくづく考えるのでした。
 
 

 
 
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 この詩集は生田春月が翻訳をした作品です。ゲーテは政治家としても活躍し、かのナポレオンからも尊敬されていた作家で、その言葉を詩で楽しめるというのは、なんだか嬉しいように思います。

  

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