三四郎 夏目漱石(4)

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今日は夏目漱石の「三四郎」その(4)を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
 
 
三四郎は、どうもそれまでとちがって、気もそぞろになってしまって、授業が頭に入ってこなくなる。まさに5月病の描写で、似た経験を思いだして、読んでいて共感しました。これ、受け手だけじゃなくて、送り手のほうもこういう、本業に身が入らないことってあるんだよなあーとか思いました。
 
 
漱石は、駄作の少ない、どの作品も魅力的な、はずれのない作家だと思いますが、たとえば「吾輩は猫である」の中盤あたりはかなりの中だるみというのがあったような気もします。
 
 
野々宮君が買ったリボンを、ある女がつけていた。それが妙に気になる。嫉妬というわけでもないが、仲間はずれにでもなった気分になるのか、三四郎はふきげんである。
 
 
そこに、貸家さがしをしている先生というのが登場する。この高校教師が不思議な人で、結婚もしなければ、学問で活躍するわけでもない、ただただ妙に理論家で、西洋の写真ばかり集めて、それで東京は汚い、と言う。英語の先生はやっているが、じっさいほとんどなんにもしていない人だ。日銭が無くておろおろする、というような「困る」ということさえしていない。まさに純文学の登場人物の、鑑のような人だなあーと思いました。これぞ、日本、純文学、と言う感じがしました。
 
 
三四郎は、古里と、学問の領域と、女たちの世界と、3つの世界があることを知った。この3つをいろいろと引き比べて、思考し、こんな結論に達する。

  要するに、国から母を呼び寄せて、美しい細君を迎えて、そうして身を学問にゆだねるにこしたことはない。

そりゃそうだわ、たしかにそれが正しいわ、と思いました。やたらと悩んで、当たり前のことをあたりまえに求めようとする、というこの哲学的な一連の運動の描写がおもしろかったです。でもけっきょく、古里と学究と女たちすべてを手に入れた男なんて世の中に居ないような気がしてくるのでありました。
 
 
ところで、作中の「ヴォラプチュアスな表情」というのは、官能的な表情という意味です。
 
 
三四郎は、里見美禰子さとみみねこという美しい女に出逢って親しくなる。しかし、美禰子にはどこか危険な気配がただよっている。船乗りをまどわす、人魚のことがほんの少しだけ描かれていました。
 
 
Pity is akin to love.
 
 
これを翻訳してみよ、という話が繰りひろげられます。辞書を引くと、こういう意味でした。英語のことわざで「憐れみは恋の始まり」あるいは「かわいそうだと思う心は愛情に近い」という意味だそうです。かわいそうだから、という……。
 
 

 
 
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 幼かった頃の夢想のことを、ゲーテは「黄金の空想よ」と記します。ゲーテの詩には、神話的なものと理知的なものが混在していて、これが魅力のように思います。ゲーテはゲルマン神話と、とくにギリシャ神話の影響が色濃いようです。
 この詩集は生田春月が翻訳をした作品です。ゲーテは政治家としても活躍し、かのナポレオンからも尊敬されていた作家で、その言葉を詩で楽しめるというのは、なんだか嬉しいように思います。

  

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