三四郎 夏目漱石(6)

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今日は夏目漱石の「三四郎」その(6)を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
 
 
いかにも大学の授業というのが記されています。漱石は本物の教授というか大学講師だったので、実体験に近いことを書いているわけで、100年前の授業風景が楽しめました。今とそんなに変わらないなという印象でした。
 
 
三四郎の同級生与次郎は、尊敬する広田先生(高校教師)を勝手に評論し、超マイナーな雑誌にその文章を載せる。広田先生は偉大な暗闇であるからしてぜひ大学ではこの人を雇って欲しい、というような馬鹿げたことを主張している。のみならず、広田先生が採用されるように有名無名でいろいろと画策してくれ、とまで依頼される。漱石ってそういえばそういうことがとても上手い人生なんだよなあと思いました。漱石を尊敬しつづけた、後輩の文学者にも多くの手紙を書いたという事実もありますし。
 
 
与次郎はやたら自作を読め読めといってくるのだが、じっさい無理をして読んでみると、読めるには読めたが、いっさい頭の中に残らない。いっぽうで美禰子みねこはふと”stray sheepストレイシープ“とだけ書いた悪魔の絵はがきを送ってきた。この言葉がいつまでも心のうちに残りつづけている。「悪魔と、二匹の羊」の絵はがき。迷える子、というのはどうも美禰子自身のことだけを言ったわけではない。三四郎もたしかに、自分はストレイシープなのだと思う。
 
 
与次郎の珍説には、絢爛豪華な装飾が施されているが、じっさい中身はなんにもない。まるで根拠地のない戦争のようなものだ……、と漱石が書いていて、なんだが漱石がその後の日本の100年間をじっと見ているような気がしました。
 
 
与次郎の多弁には辟易する。美禰子の無口な絵はがきには、快感を感じる三四郎なのであります。美禰子には、イプセン(イブセン)の女のように乱暴なところがある……。
 
 
大学生2人が、ホントにこんなことを言っていたら、じつに笑うなあと言うシーンがありました。こんなのです。原文でどうぞ。
 
 
……
………………
「なぜ急にそんな事を言いだしたのか」
「この空を見ると、そういう考えになる。――君、女にほれたことがあるか」
 三四郎は即答ができなかった。
「女は恐ろしいものだよ」と与次郎が言った。
「恐ろしいものだ、ぼくも知っている」と三四郎も言った。すると与次郎が大きな声で笑いだした。静かな夜の中でたいへん高く聞こえる。
「知りもしないくせに。知りもしないくせに」
 
 

 
 
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 幼かった頃の夢想のことを、ゲーテは「黄金の空想よ」と記します。ゲーテの詩には、神話的なものと理知的なものが混在していて、これが魅力のように思います。ゲーテはゲルマン神話と、とくにギリシャ神話の影響が色濃いようです。
 この詩集は生田春月が翻訳をした作品です。ゲーテは政治家としても活躍し、かのナポレオンからも尊敬されていた作家で、その言葉を詩で楽しめるというのは、なんだか嬉しいように思います。

  

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