三四郎 夏目漱石(8)

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今日は夏目漱石の「三四郎」その(8)を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
 
 
漱石は、近代現代小説の基本形を発明した人なので、日本語の組みたて自体がおもしろい、という評を読んだことがあるんですが、たしかに細部の言葉づかいまでおもしろい気がします。こういう変な場面があるんです。
 
 
  三四郎は二階の窓から往来をながめていた。すると向こうから与次郎が足早にやって来た。窓の下まで来てあおむいて、三四郎の顔を見上げて、「おい、おるか」と言う。三四郎は上から、与次郎を見下みおろして、「うん、おる」と言う。このばかみたような挨拶あいさつが上下で一句交換されると、三四郎は部屋へやの中へ首を引っ込める。与次郎は梯子段はしごだんをとんとん上がってきた。
 
 
これは漱石が四国は愛媛の松山時代に、正岡子規と2人で住んでいた家での出来事にちょっと近いんではないかと思いました。漱石が借りた家に、正岡子規が転がりこんできて、1階に子規が、2階に漱石が住んでおったそうなんですが。
 
 
与次郎と三四郎は、金のことでちょっと困っている。与次郎は賭博で金を失っていて、三四郎は下宿代の支払いが少しとどこおっている。美禰子は三四郎に金を貸してやっても良いというのだが、なにかそれは良くない関係のようにも思える。そこで、漱石はこう記しています。
 
 
  ……………しかし、どう想像しても、自分につごうのいい光景ばかり出てくる。それでいて、実際ははなはだ疑わしい。ちょうどきたない所をきれいな写真にとってながめているような気がする。写真は写真としてどこまでも本当に違いないが、実物のきたないことも争われないと一般で、同じでなければならぬはずの二つがけっして一致しない。
 
 
気になっている異性から、金を借りるというのはやはり恥だ。しかしせっかくの好意というのは受けてみたい気がする。けっきょく、三四郎は美禰子の家を訪ねるのだが、いつのまにか二人きりででかけて、まるでデートみたようなことになる。
 
 
原口と野々宮にぐうぜん出逢って、それで美禰子は三四郎にごく小さな声で、なにかを言って去っていった。そのなにかが、なにを言ったのかがまるで聞こえなかった……。
 
 

 
 
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 この詩集は生田春月が翻訳をした作品です。ゲーテは政治家としても活躍し、かのナポレオンからも尊敬されていた作家で、その言葉を詩で楽しめるというのは、なんだか嬉しいように思います。

  

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