三四郎 夏目漱石(9)

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今日は夏目漱石の「三四郎」その(9)を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
 
 
作中で、絵描きや小説家や学者たちが集まる奇妙な集会が催されます。三四郎は、まだ美禰子から金を借りたままだ。作中で与次郎はこう聞く。なにか妙に印象に残るやりとりでした。こういう会話です。
 
 
「君、あの女には、もう返したのか」
「いいや」
「いつまでも借りておいてやれ」
 
 
この前の箇所で、ピストルで夭折をしようと思った男が、金が無いのでそれを手放すことになって、そのために生きながらえたという挿話があり、また三四郎が美禰子に好意を抱いていることが率直に描かれていて、そこのところで、どうも印象深くなっているようなんです。与次郎はこう主張するんですよ。
 
 
  「ぼくに金が余っているとするぜ。そうすれば、その金を君から返してもらうよりも、君に貸しておくほうがいい心持ちだ。人間はね、自分が困らない程度内で、なるべく人に親切がしてみたいものだ」
 
  「おれだって、金のある時はたびたび人に貸したことがある。しかしだれもけっして返したものがない。それだからおれはこのとおり愉快だ」
 
 
納得のゆく話なんですけれども、現代とずいぶん感覚が違うかもしれないなと思いました。ルカ伝に、こういうたとえがあるんですよ。
 
 
  なにか宴会をするときは、家族や親友や金持ちなど招かず、貧しい人や不自由な人を招きなさい。そうすれば、彼らはあなたにお返しが出来ないから、あなたは幸いだ。
 
 
漱石は、このルカ伝の言葉を読んだことがあったのだろうか……、と思いながら読んでいました。漱石の作品を読んでいていつも思うのは、友人であった正岡子規のことなんです。
 
 
漱石とまったく無縁な自分が漱石の本を読んでいて、漱石と非常に親しかった正岡子規は、漱石の長編小説のどれも読むことができなかったのが、なんとも不思議なんです。
 
 
作中に、風の音を聞く描写があって、じつに秀逸な文章でした。
 
 

 
 
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 幼かった頃の夢想のことを、ゲーテは「黄金の空想よ」と記します。ゲーテの詩には、神話的なものと理知的なものが混在していて、これが魅力のように思います。ゲーテはゲルマン神話と、とくにギリシャ神話の影響が色濃いようです。
 この詩集は生田春月が翻訳をした作品です。ゲーテは政治家としても活躍し、かのナポレオンからも尊敬されていた作家で、その言葉を詩で楽しめるというのは、なんだか嬉しいように思います。

  

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