破戒(3) 島崎藤村

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今日は島崎藤村の『破戒』その(3)を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
 
 
主人公の丑松と、銀之助は、同じ教師で親友なのであります。銀之助の眼から見ても、どうも丑松は調子を崩してしまっている。銀之助は、それがいったいどういうわけなのかを知りたい。
 
 
丑松は正直に自分が被差別問題を抱えていることを友人に言えば良いのだが、それがどうしてもできない。なぜできないかと言えば、父からそういうことを言うなと厳しく言われているし、世間を見てもどうしてもそれは隠すより他ない。それで親友との会話でさえも、決定的な齟齬を来してしまう。
 
 
藤村がなぜこういうことを書いたのか謎なんですが、自分が想像するに、藤村自身が、当時はまだ世間に言えない問題を抱えていたんではないかと思われます。具体的には藤村の父が座敷牢で亡くなるなど、家の状況が厳しかったことなどです。それで藤村は、主人公の隠された事情について細やかに描いているのだと考えました。あと、藤村はよく東京で家移りをしながら小説を書いていたそうで、そういうことも、小説に反映されています。
 
 
主人公は蓮花寺というお寺に住むわけなんですが、お寺に下宿するなんて、じつに雅だなあ、と思いながら読んでいました。現代では、お寺の敷地にある保育園や幼稚園が、全国にあるわけなんですが、お坊さん以外も部屋を借りて住むことができるお寺というのは現代ではほとんどまったく聞いたことがありません。
 
 
敬之進という老教師の娘である”お志保”というヒロインが登場するわけですが、wikipediaの人物紹介ではこう書いています。

 お志保
 風間敬之進の娘。貧苦のため蓮華寺に預けられている。蓮華寺に下宿を移した丑松と知り合い恋慕の情を持つ。
 
 
あと、主人公は意外とそのぉ、悪口をどうどうと言っちゃうんだなと、思いました。世間のさもしさにこうおもねって、差別を助長するようなことを言おうとするんです。読んでいてハラハラします。
 
  
主人公丑松とおなじ出自の猪子先生が、友人たちから不当にけなされてしまった。主人公と友人との間で交わされた、この会話が印象に残りました。
 
…………
『では、貧民とか労働者とか言ふやうなものに同情を寄せるのは不可いかんと言ふのかね。』
『不可と言ふ訳では無いよ。僕だつても、美しい思想だとは思ふさ。しかし、君のやうに、左様さう考へ込んで了つても困る。何故君は…………
…………
 
 

 
 
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「破戒」登場人物表
 

 






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 幼かった頃の夢想のことを、ゲーテは「黄金の空想よ」と記します。ゲーテの詩には、神話的なものと理知的なものが混在していて、これが魅力のように思います。ゲーテはゲルマン神話と、とくにギリシャ神話の影響が色濃いようです。
 この詩集は生田春月が翻訳をした作品です。ゲーテは政治家としても活躍し、かのナポレオンからも尊敬されていた作家で、その言葉を詩で楽しめるというのは、なんだか嬉しいように思います。

  

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