破戒(5) 島崎藤村

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今日は島崎藤村の『破戒』その(5)を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
 
 
丑松がお志保を目の前にしてじっと見つめている、その描写が異様にリアルで、文章でここまで実感を再現できるのか、と衝撃を受けます。
 
 
おそらく、人物描写が秀逸なだけでは無くて、その手前で家族のそれぞれの性格や状況がことこまかに描かれていて、ドストエフスキーの代表作のように周到な伏線の積み重ねが生じており、この場面の迫力が出ていると思うんです。
 
 
丑松は、お志保とその家族のことを考えつつ、自分の将来について思いを馳せ、もっとも尊敬する猪子先生の病が重くなったことを新聞で知り、煩悶している。原文はこうです。
 
 
  新聞には最早もうむつかしいやうに書いてあつた。あゝ、先輩の胸中に燃える火は、世を焼くよりもさきに、自分の身体をき尽してしまふのであらう。斯ういふ同情おもひやり一時いつときも丑松の胸を離れない。
 
 
島崎藤村が破戒を書いた1905年(明治38)のころの文学の年表を見ていると、正岡子規がその十年ほど前に活躍しています。
 
 
作中の、猪子連太郎と丑松と大日向と仙太は、おなじ出自で、丑松はそのことをじっと無言で考えている。いっぽうで校長先生は脳天気な軍国主義者で、イエスマンと一緒になって、異分子や非国民は追い出そうみたいなアホみたようなことをのたまっている。校長のキャラが立ちすぎていて、こんな判りやすい悪役は現実には居るわけがないだろうと思いました。藤村は自然主義文学者であって、ものごとをリアルに書くはずなんですが、ここは漱石の『坊っちゃん』よりも戯画化されているように思いました。
 
 

 
 
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「破戒」登場人物表
 

 






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 幼かった頃の夢想のことを、ゲーテは「黄金の空想よ」と記します。ゲーテの詩には、神話的なものと理知的なものが混在していて、これが魅力のように思います。ゲーテはゲルマン神話と、とくにギリシャ神話の影響が色濃いようです。
 この詩集は生田春月が翻訳をした作品です。ゲーテは政治家としても活躍し、かのナポレオンからも尊敬されていた作家で、その言葉を詩で楽しめるというのは、なんだか嬉しいように思います。

  

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