破戒(13) 島崎藤村

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今日は島崎藤村の『破戒』その(13)を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
 
 
仕事場のある村に帰りついて、元の暮らしが始まる。同じ暮らしなんだけれども、なにか新しい感じがします。
 
 
主人公丑松が住んでいるところに、ある紳士がやって来るわけなんですが……。それがなんと、尊敬する猪子先生がこき下ろしていた、あの高柳なのであります。
 
 
これが、どうもおそろしい相手で、妻から丑松の家の暗い秘密を知ったんだと、主人公丑松に告白する。ついては選挙に協力しろと強要してくる。高柳の妻と、丑松と猪子連太郎先生の3者は、みな同じ出自を持っているんですが、ちょうど猪子先生の話がその場で持ちあがったときに、高柳が暗い目を光らせるのでした。原文はこうです。
 
 
  蓮太郎のうはさが出たので、急に高柳は鋭いひとみを銀之助の方へ注いだ。丑松は無言であつた。
 
 
丑松は、暗い過去を隠しているわけで、そこで沈み込んでしまう。こう書いています。
 
 
  遽然にはかに丑松は黙つて了つた。丁度、喪心した人のやうに成つた。丁度、身体中の機関だうぐが一時に動作はたらきを止めて、斯うして生きて居ることすら忘れたかのやうであつた。
 
 
今回、同じ出自を持つ同朋どうしで、厳しい対立が起きているんです。政治に絡む啀み合いに、丑松は巻きこまれるんです。高柳は、政治は汚い、と言うんですよ。原文はこうです。
 
 
  政事屋なんてものは皆なきたない商売人ですからなあ――まあ、其道のもので無ければ、可厭いやな内幕もく解りますまいけれど。

  これほど表面が華麗で、裏面うらの悲惨な生涯しやうがいは他に有ませうか。
 
 
高柳の提案というのは、暗い出自はお互いに、けっして他言せずにおこう、というものなんです……。丑松の情けないのは、相手の勢いに押されて、自分がいちばん大切にしていることを曲げてしまったり隠してしまったりする所なんですよ。今回も、私は猪子先生を尊敬している、とはっきり言えば良いのに、逆のことを言ってしまう。さらに丑松は、出自についてもとくに何も問題が無く、誤解にすぎないんだと言う。これは困るなあーと思いながら読んでいました。
 
 

 
 
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「破戒」登場人物表
 

 






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 幼かった頃の夢想のことを、ゲーテは「黄金の空想よ」と記します。ゲーテの詩には、神話的なものと理知的なものが混在していて、これが魅力のように思います。ゲーテはゲルマン神話と、とくにギリシャ神話の影響が色濃いようです。
 この詩集は生田春月が翻訳をした作品です。ゲーテは政治家としても活躍し、かのナポレオンからも尊敬されていた作家で、その言葉を詩で楽しめるというのは、なんだか嬉しいように思います。

  

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