破戒(14) 島崎藤村

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今日は島崎藤村の『破戒』その(14)を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
 
 
またも学校の校長が悪だくみをしているというのが、描写されております。藤村は、非常に特徴的な配役をするんです。最近気付いたんですが、藤村は、手足の動いている人々を熱心に描くんですよ。風間敬之進の家族の農作業とか、晩年に牛飼いをやっておった父のエピソードであるとか。
 
 
それの反例のように、机上の空論ばかりを言う人々を、悪しき人々としてこう描いているんです。モニターの前に座ってまさにこればっかりやっている自分が言うのもなんなんですが……。とにかく藤村はじっさいに苦労をして生活している人々を、くりかえし丁寧に描きだしています。
 
 
そのー、えー。戦国時代から江戸から明治にかけて、武士の生きざまは、その時代ごとにひどく両極端に片寄っていたように思います。まさに手足を酷使して生きる畜産や農をなりわいとする人々へのまなざしも、この3つの時代に変転しています。現代であっても世界中の富の半分以上を牛耳っている人々はたったの50人ほどだそうで、今も極端に片側へ向かいすぎて釣り合いがとれていない、という時代の只中にあるように思うんです。
 
 
それで、悪しき集団の代表者として描かれている、校長たちはどういうことをやっているかというと、丑松の人生がメチャクチャになるような生まれの秘密を掴みましたよ、死刑宣告だそれは、そりゃ大スキャンダルだ……というようなことを話している。
 
 
丑松は、子どもたちの世話にいそがしい。それから、休み時間に、尊敬する猪子先生に関する新聞記事を読んだ。原文はこうです。
 
 
  漠然ばくぜんとした恐怖おそれの情は絶えず丑松の心を刺激して、先輩に就いての記事を読み乍らも、唯もう自分の一生のことばかり考へつゞけたのであつた。其から其へと辿つて反省すると、丑松は今、容易ならぬ位置に立つて居るといふことを感ずる。さしかゝつた斯の大きな問題を何とか為なければ――左様さうだ、何とか思想かんがへを纏めなければ、一切の他の事は手にも着かないやうに思はれた。
『さて――奈何どうする。』
斯う自分で自分に尋ねた時は、丑松はもう茫然ばうぜんとしてしまつて、其答を考へることが出来なかつた。
 
 

 
 
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「破戒」登場人物表
 

 






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 幼かった頃の夢想のことを、ゲーテは「黄金の空想よ」と記します。ゲーテの詩には、神話的なものと理知的なものが混在していて、これが魅力のように思います。ゲーテはゲルマン神話と、とくにギリシャ神話の影響が色濃いようです。
 この詩集は生田春月が翻訳をした作品です。ゲーテは政治家としても活躍し、かのナポレオンからも尊敬されていた作家で、その言葉を詩で楽しめるというのは、なんだか嬉しいように思います。

  

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