破戒(17) 島崎藤村

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今日は島崎藤村の『破戒』その(17)を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
 
 
あのー、またも勘違いをしていたんですが、この破戒は1904年(明治37)から書きはじめられ1906年(明治39)ごろに発表されたものなんですが、それとは別に、物語上の時代は、どうもさらにもっと昔で、農民が「年貢」を納めていたんですよ。ちょっと調べてみたんですけど、いったい西暦何年くらいのことを書いているのか、解らんのです。年貢が廃止されたのは、1873年(明治6)の地租改正だということは判ったので、ここよりも少し前の時代と言うことになると思います。ところが、ですね、この小説のモデルとされた人物が居てですね、その人はあのー、1868年生まれなんです。で、すから。1890年(明治23)あたりのことを書いているとも考えられるんです。そうすると、年貢は無い……。あるいは年貢と言いつつ、地主に米を渡してただけなのかも知れないんですけど。
 
 
正確に西暦何年の出来事を描いているのか、いろいろ解説とか、年表とか調べてみたんですが、どうもはっきりとした情報を探しだせませんでした。
 
 
小作人と地主との間で、米の引き渡しが描写されています。ずいぶんリアルに書いています。地主に俵を六俵納めたところを、丑松は横から見ていた。どうあっても、敬之進老人には金が無いことが明らかだと、丑松は悟る。それで、敬之進の家族の、省吾は学校に行けなくなりそうだし、娘の志保はひどいところに囲われてしまった。
 
 
丑松はもう、こんなことではいかんだろうと思って、省吾少年に、金を渡す。
 
 
はじめは雅で良いところだと思った蓮花寺で、お志保はやはりどうしたって上手くゆかず、教養あるはずの人々からいたましい状況に追いやられてしまって、死んだような目で苦悩している。それというのも、和尚の不倫癖というのが、原因なんです。本文はこうです。
 
 
 蓮華寺の内部なか光景ありさま――今は丑松も明に其真相を読むことが出来た。成程なるほど、左様言はれて見ると、それとない物のはしにも可傷いたましい事実は顕れて居る。左様さう言はれて見ると、始めて丑松が斯の寺へ引越して来た時のやうな家庭の温味あたゝかさは何時の間にか無くなつて了つた。
二階へ通ふ廊下のところで、丑松はお志保につた。あをざめて死んだやうな女の顔付と、悲哀かなしみあふれた黒眸くろひとみとは――たとひ黄昏時たそがれどきほのかな光のなかにも――直に丑松の眼に映る。お志保もた不思議さうに丑松の顔を眺めて、丁度喪心さうしんした人のやうな男の様子を注意して見るらしい。二人は眼と眼を見交したばかりで、黙つて会釈ゑしやくして別れたのである。

 

 
 
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「破戒」登場人物表
 

 






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 幼かった頃の夢想のことを、ゲーテは「黄金の空想よ」と記します。ゲーテの詩には、神話的なものと理知的なものが混在していて、これが魅力のように思います。ゲーテはゲルマン神話と、とくにギリシャ神話の影響が色濃いようです。
 この詩集は生田春月が翻訳をした作品です。ゲーテは政治家としても活躍し、かのナポレオンからも尊敬されていた作家で、その言葉を詩で楽しめるというのは、なんだか嬉しいように思います。

  

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