眠れる人 堀辰雄

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今日は堀辰雄の「眠れる人」を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
 
 
これは、静謐な言葉づかいの小説なんです。戦前の作家の中で、いちばん現代的な文体を作りあげたのは、堀辰雄のような気がしました。
 
 
非常に印象的な文体なんです。静かな現代詩を読んでいるような感じです。ためしに、詩の表記法にのっとって、この小説の文字組だけを変えて書き出すと、こうなるんです。
 
 
その女が僕を見てあんまり親しげに微笑したので
僕はその女について行かずにいられなかった
もうすべてのものは眠っていた
ただ風だけが眼ざめていた

女はすべてのものに無頓着にゆっくりと歩いている
そればかりではなく
僕までが自分のつけているその女の事を忘れてしまう瞬間がある

眠りがときどき僕たちの中を通り過ぎる
その度毎に僕は歩きながら眠る

僕たちはある広場に出る
突然 一台の自動車が僕たちを追い越すためにサイレンを鳴らす
それが僕を眼ざめさせる
すると僕は
その瞬間まで殆ど感じていなかった眠たさを急に感じだすのである
眠りは僕の手や足にうるさくからみつく
そしてまたいつのまにか僕の眼は閉じてゆく

と突然
ある町の隅から一匹の白い犬が飛び出してくる
それはかの女を見知っているのであろう
それはかの女を嗅ぎながらかの女のまはりをうれしそうに走り廻る
かの女はそれに自分の着物の裾を勝手に噛ませながらなお進んで行く

……
 
 
ほとんど原文のままなんですよ。ここからさらに物語が展開するんですが……、おわりの一文がじつに美しかったです。
 
 

 
 
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 幼かった頃の夢想のことを、ゲーテは「黄金の空想よ」と記します。ゲーテの詩には、神話的なものと理知的なものが混在していて、これが魅力のように思います。ゲーテはゲルマン神話と、とくにギリシャ神話の影響が色濃いようです。
 この詩集は生田春月が翻訳をした作品です。ゲーテは政治家としても活躍し、かのナポレオンからも尊敬されていた作家で、その言葉を詩で楽しめるというのは、なんだか嬉しいように思います。

  

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