日記と自叙伝 三木清

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今日は三木清の『日記と自叙伝』を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
 
 
三木清は、この『日記と自叙伝』で、さまざまな日記作品と自叙伝について語っています。あのー、ゲーテはこういうことを書いているんです。
 
 
『どの詩の下にも、いつ作ったかという日付を書いておくことだね。そうしておけば、それがまた同時に君の心の状態の日記として役立つことになる。これは馬鹿にならないことなのだ。私は何年も前からそうしてきているから、その重要さがよくわかっているのだ。』ゲーテ
 
 
これは、詩と日記が融合したもので、これすごいものだなと思いました。ゲーテはご存じの通り、詩の言葉だけで、大長編の演劇「ファウスト」を描きだして、詩劇という世界を開拓したんですが、詩日記も書いていることになる。


日記の本というと、『ウィトゲンシュタイン哲学宗教日記』が好きで、ものすごく印象に残った箇所があるんです。それはある病について、ウィトゲンシュタインが考察した箇所です。病のために、他人の顔を見分けられなくなった男のことについて、ウィトゲンシュタインはこう書いているんです。

  私が言いたいのはこういうことだ。我々が人間を「認識する」のは当たり前のことであり、もし誰かが人間を認識できないとそれは完全な崩壊である、と我々は考えているように見える。しかしこの認識という石が建物から欠けることは実際にありうるのであって、その場合も崩壊が問題になったりはしないのだ。

  つまりこういうことだ。我々は自分たちが持っているものすべてを当たり前とみなしており、自分の理性の完全性にとって不可欠に見えるので個別特殊な能力とは決して思っていないしかじかの物がたとえ無くなっても、自分たちは完全でありうる、ということをまったく知らないのだ。
 
 
ウィトゲンシュタインはおもしろい哲学者で、たとえば、数字を数える時に、「6」という概念だけが彼の認識世界から完璧に消え去っている男が居ても、その男が居るせいで、男の所属する組織とか社会がガラガラっとぜんぶ崩れ落ちる、なんてことはありえないんだ、と言ったりするんです。それどころか、そいつは、ちゃんと数を数えることさえできるぞ、とウィトゲンシュタインは言うんです。どうやって6という概念を失っていても数が数えられるかというと、「12345、えー789」と数えて、ここで男はいつもこう思うわけです。「そろそろオマケしてやらんと、みんなが不平を言い出す」と言って、9を2回数えたりする。「いやここ6でしょ」と言われても6という概念を持っていないから「55でしょ」くらいにしか聞こえないんだけど、最終的には、「5の次には1っこオマケしてやらんといかん」と、かなり正確に数を数えるようになる。ようするに、外から見ると、数を数えるときに、そいつは変なクセを持っている、くらいにしか思わないわけです。
 
 
三木清は日記文学の魅力について、そこでは他人をまのあたりにすると同時に、自分をもまのあたりにする、と書いています。他人のことを知りつつ、自分の中のなにかを発見する、という。三木はゲーテの自叙伝「詩と真実」を推薦しています。
 
 
また文豪トルストイは、哲学者アミエルの「ひそかな日記」という作品を絶賛していたそうです。いつか読んでみたいです。
 
 

 
 
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 幼かった頃の夢想のことを、ゲーテは「黄金の空想よ」と記します。ゲーテの詩には、神話的なものと理知的なものが混在していて、これが魅力のように思います。ゲーテはゲルマン神話と、とくにギリシャ神話の影響が色濃いようです。
 この詩集は生田春月が翻訳をした作品です。ゲーテは政治家としても活躍し、かのナポレオンからも尊敬されていた作家で、その言葉を詩で楽しめるというのは、なんだか嬉しいように思います。

  

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