それから(14) 夏目漱石

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今日は夏目漱石の「それから」その14を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
 
 
代助が無事、三角関係を調整して、仕事と家庭とをちゃんと持てるか、というところなんです。
 
 
代助は縁談を断ろう、と考える。このへんの心情が、ちょっと自分にはむつかしくて判らなかったです。代助はどうも、三千代がはなからおわりまで、完全に好き、であるようなんです。それを、この14章で宣言していました。自分が代助の状況だったら、おそらくさっさと別個の縁談相手と結婚してしまうほうが迷惑がかからない、と思います。だが代助は、三千代だけを見ようとする。代助はそれだけ、人生に余裕があるか、独立心が高いか、あるいは三千代への恋愛感情を重大視している。
 
 
代助はなぜ、「三千代が気の毒」などと思うのか、かなり謎を感じました。三千代は見かけ上、あきらかに「仕事無し」「恋人無し」のNEETである代助よりも、満ちたりているとしか思えないわけです……。じっさいもんだい2人の男からこんなに大切にされている、という事実が作中に様々に描かれているんです。三千代が不幸なのは、代助や平岡という2人の男が原因じゃ無いはずだ、と僕は思いました。
 
 
嫂が、代助を批判する言葉が、本文に記されています。こうです。
 
 
  どうせ誰を持って行っても気に入らない貴方なんだから、つまり誰を持たしたっておんなじだろうって云う訳なんです。貴方にはどんな人を見せても駄目なんですよ。世の中に一人も気に入る様なものは生きてやしませんよ。だから、奥さんと云うものは、始めから気に入らないものと、あきらめて貰うより外に仕方がないじゃありませんか。だから私達が一番好いと思うのを、黙って貰えば、それで何所も彼所かしこも丸く治まっちまうから……
  ……
 
 
代助は、これをはっきり断るんです。三千代のことをもっともたいせつにする、という選択こそが、自然なんだという強い思いがある。またこの不倫にしか行きつきそうに無い関係に、おびえてもいる。
 
 
自分はむかし、夏目漱石は田舎をバカにしていて、男尊女卑的なんだと、思い込んでいたんですよ。家庭内暴力があったという記録もありますし。でも、どうもぜんぜんちがうようなんです。というのも、松山では昔から漱石が大人気であり続けていますし、現代の女性の文学者や評論家が、日本文学の中で漱石をいちばん重大視している……。今回の「それから」を読んでいて、漱石は未来の「日本国憲法第24条」近辺の問題について思索していた、ということがなんだかよく判りました。古事記や近代文学などの、古典文学を読むときに、憲法はどうも、間違いに引きずられないための指標として重大だな、と思いました。
 
 
「それから」は、あと3章で完結です。
 
 

 
 
こちらのリンクから全文読めます。(縦書きブラウザの使い方はこちら
http://akarinohon.com/center/sorekara14.html
(約20頁 / ロード時間約30秒)
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