レ・ミゼラブル(4) ユーゴー

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今日はビクトル・ユーゴーの『レ・ミゼラブル 第一部 ファンティーヌ』
『第四編 委託は時に放棄となる』を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
 

第二編で、この物語の大切なシーンが描かれています。
誰からも忌避されていたジャンバルジャンが、慈悲深いミリエル司教(=ビヤンヴニュ閣下)に暖かい食事と寝床を与えられて、ジャンバルジャンはこの司教に大変に感謝するんです。ところがジャンバルジャンは生まれついての泥棒で、ものを盗むことしか考えられない。それでミリエル司教から銀の食器を盗んでしまい、憲兵に捕まってしまうんです。そこで司教はとっさに作り話をして、それは彼にあげたのだと言って、ジャンバルジャンを許します。


ユーゴーはこの『レ・ミゼラブル』の他にも『死刑囚最後の日』という小説を書いています。ユーゴーが書きたいと思っているのは、刑罰と人権の問題だと思います。


刑罰に関する論文をいくつか読んだことがあるのですが、刑罰というのは暴力を規制して市民全員の安全を確保するためのものであって、国家がおおやけに個人の活動を制限する【暴力装置】である、というようなことが書いてあります。刑罰とは、国家が行う暴力装置である、そうです。


人権問題の本をいろいろ読んでみると、死刑制度の廃止を誠実に訴える人や、死刑囚の人権について取材した本などがあって、人権について考えている人が求めているものをおおまかに解釈してみると、

《1》犯罪と刑罰を減らしてゆくことが重要である。
《2》刑罰とはすべて教育刑でなければならない。

ということの二本柱なんだなと思ったことがあるんです。


《1》の犯罪と刑罰を減らすための議論をする識者は、あるシステムを社会に浸透させることによって全体の犯罪数を減らせるはずだという具体案を書き記しています。そういう論文を読むとけっこう興味深いですよ。死刑制度はじつは自殺を目的にした凶悪犯罪を増やしているだけなので廃止すべきだとか、そういう議論が書き記されています。また困窮者を犯罪から遠ざけるために、セーフティネットを充実させることが重要であるというような議論があります。

《2》の教育刑というのは、犯罪をしないほうが幸福になれるということを各個人に実感してもらって犯罪をしない人物になってもらう、犯罪に近づかない能力をつけてもらう、ということです。再犯を無くす効果が期待されるのが教育刑です。僕はあんまり仕事が無くって、図書館で本を読んでいたりすると「じつは自分は教育刑を受けている最中なんじゃないのか」と妄想したりすることがあります。記憶を失ってはいるが、ぼくは昔じつは大きな犯罪をしていて、その罰として、教育刑に処されているんじゃないか、などと妄想したりするのです。それで最近、難しい本を読むようになったんじゃないかと。いやこれは単なる嘘で、僕は大きな犯罪をしたことがないんですが。


ジャン・バルジャンは、罪人からはじまり、理想的な復活を遂げ社会を改善してゆく人物で、これを助けるのがミリエル司教です。ユーゴーが死刑制度になぜ反対しているのか、というところもこの物語を読む時の興味深いポイントになるのではないでしょうか。元罪人であっても、これだけ素晴らしい奴になるんだ、という理想的な展開があるのです。ユーゴーが求めているのは教育刑というようなものではなくて、寛容こそが人を導く、ということなんだと思います。


 


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 幼かった頃の夢想のことを、ゲーテは「黄金の空想よ」と記します。ゲーテの詩には、神話的なものと理知的なものが混在していて、これが魅力のように思います。ゲーテはゲルマン神話と、とくにギリシャ神話の影響が色濃いようです。
 この詩集は生田春月が翻訳をした作品です。ゲーテは政治家としても活躍し、かのナポレオンからも尊敬されていた作家で、その言葉を詩で楽しめるというのは、なんだか嬉しいように思います。

  

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