獄中生活 堺利彦

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今日は堺利彦の「獄中生活」を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
 
 
どうもぼくは、文章のみが構築する芸術性、というのに疎くて、それよりもノンフィクションにちかい事実のほうに興味が行ってしまうんですけど、この堺利彦の牢獄体験記が、妙に面白かったです。wikipediaは、堺の略歴を、こう書いているんです。
 
 
  明治41年(1908年)の赤旗事件により2年の重禁固刑を受け、その入獄中に「大逆事件(幸徳事件)」が起こるが、獄中にいたため連座を免れて出獄。社会主義のいわゆる「冬の時代」は、売文社を設立して雑誌『へちまの花』、次いでその後継誌『新社会』の編集・発行をはじめとする事業をおこなって生活の糧とするとともに、全国の社会主義者との連絡を維持した。
 
 
この「獄中生活」は1911年3月に発表されたもので、100年前の牢屋のことを書いているんです。政治犯というか思想犯って、なんかこう、すこぶるかっこ良く見えてしまうのは、ぼくだけなんでしょうか。本文に、牢獄のことをこう書いていました。
 
 
  予の入れられたのは北監の第六監で、最初の日は懲役七八年の恐ろしい男どもと一しょに六七人である房にいた。甚だおちつかぬ一夜を明して二日目になれば、まず呼出されて教誨師の説諭をうけた。教誨師というのは本願寺の僧侶で「平民新聞というのはタシカ非戦論でしたかな、もちろん宗教家などの立場から見ても、主戦論などということはドダイあるべきはずはないのです。しかしまた、その時節というものがありますからな、そこにはまたいろいろな議論もありましょうが、ドウです時節ということも少しお考えなさっては」というのが予に対する教誨であった。なかなか如才のないことをおっしゃる。午後には無雑作にグルグルと頭を刈られた。これでまず一人前の囚人になった。

  天井は非常に高く、窓は外に向って一つ、廊下に向って一つ、いずれも手のとどかぬところにある。朝早くなど、その窓から僅かの光線の斜めに射し入るのが、何ともいわれぬほどうれしく感ぜられる。
 
 
100年前から、日本の監獄は清潔に完備されていたらしく、現代ではアメリカの高級な監獄が、自分たちの普段の住処よりもぜんぜんリッチで豪華らしいんですけど、かつての日本は世界一と言っても良いくらいの牢獄があったようです。じっさいに堺利彦は海外の監獄を見たわけではないので、どうも怪しい情報なんですけど。牢屋のメシが飲み下せないほど、異様に不味かったというのが、やはり1900年代初頭だという感じがします。この文章が印象に残りました。
 
 
  獄中ではただ無事(或は単調)に苦しむのであるから、手紙、面会、入浴、散髪、運動等、何でも少し変ったことがあれば非常に愉快に感ずる。
 
 
普通の映画では、逮捕されて物語が終わるわけなんですけど、それよりも、トルストイの「復活」のように、逮捕されるところから物語が始まる、という小説があったらぜひ読んでみたいなあと思いました。
 
 

 
 
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 幼かった頃の夢想のことを、ゲーテは「黄金の空想よ」と記します。ゲーテの詩には、神話的なものと理知的なものが混在していて、これが魅力のように思います。ゲーテはゲルマン神話と、とくにギリシャ神話の影響が色濃いようです。
 この詩集は生田春月が翻訳をした作品です。ゲーテは政治家としても活躍し、かのナポレオンからも尊敬されていた作家で、その言葉を詩で楽しめるというのは、なんだか嬉しいように思います。

  

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