レ・ミゼラブル(15) ユーゴー

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今日はビクトル・ユーゴーの『レ・ミゼラブル 第二部 コゼット』
『第七編 余談』を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
 
 
前回、プティー・ピクプュスという修道院に避難したジャンヴァルジャンとコゼット。前回はこのプティー・ピクプュスの修道院の歴史が語られました。かつてそこでは敬虔な修道女が神に祈りをささげてきたのであります。そこでは所有欲というものが存在していない。私物に見えるもののすべては「私どものもの」として共有されている。そこではこのような会話が繰り広げられています。
 
 
「祭壇の聖体に賞讃と礼拝とがありまするよう」
「永遠に」
 
 
この、「永遠に」という言葉が修道女たちの日々の支えの言葉となっておるのであります。彼女たちにとってキリストは永遠の存在なのであります。修道院では訪れてくる者は「アヴェ・マリア」と言い、これに答えて「グラティア・プレナ」と言う。これは「めでたしマリアよ恵まるる者よ」という意味です。
 
 
コップを壊してしまったり、音符を弾きそこなったりするといったちょっとした過失を行うと、修道女たちは「報罪」をなすのです。「われらの母」たる院長のまえで平伏し礼拝するという行いですね。宗教上の、きびしい躾けがあるようです。ここには孤児をはじめとした幼子も居るのであります。陰気な四壁の中で、子どもの無垢な声だけは明るく響きます。
 
 
あまりに簡素で厳しすぎる規則のため、ある公爵夫人などはこの修道院の寄宿舎に泊まる時に、梨を寝床の枕にそっと隠して、深夜にこれをそっと食べることが唯一の楽しみだったと書き記しています。牢獄か何かのように厳しいところがある修道院なのです。
 
 
この修道院には、奇妙な噂というのがあるのです。それは、アルベルティーヌ夫人についてなのですが、この人は世間ではもう死んでいるという扱いになっているそうなのです。そして、いつも一言も口をきかず歩くと言うよりも浮遊するように歩くので、「あの人は、もう死んでいるのかもしれませんわ」というちょっとした悪い噂を立てられたりするのであります。このアルベルティーヌ夫人の出生の秘密はだれも知ることのできない謎であったのです。修道女にとっては、男の牧師を見ることが禁じられているのですが(すごい規律ですね)、ある日沈黙を貫くアルベルティーヌ夫人はローアンという牧師を見て、思わずこう叫びます。「まあオーギュスト」たしかにローアンという牧師さんの呼び名はオーギュストだった。
 
 
このローアン牧師、なかなかの美男子で、そして良い声で話すのであります。10代の娘たちが恋の妄想をするのにうってつけの若者なのでありました。この修道院では、さまざまな人が訪れる。「百歳の女」という方も登場します。しかし時代の流れと共に、この修道院も衰退の日がやって来ます。老いも若きもこの修道院を飛び去っていった。1845年頃の出来事であります。どうもここらへんの修道院の描写は、完全なる実話のようであります。ユーゴーはこの修道院の盛衰を通して、こう記します。
 
 

     十九世紀において、宗教的観念は危機を閲している。人はある種のことを学んでいない。けれども、一を学ばずとも他を学びさえするならば、それも別にさしつかえない。ただ人の心のうちに空虚を在してはいけない。またある種の破壊がなされている。ただ、破壊の後に建設がきさえするならば
 
 
人々の状況を丁寧に描いていって、最後にこの意見。かっこいいなあと思います。
 
 


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 幼かった頃の夢想のことを、ゲーテは「黄金の空想よ」と記します。ゲーテの詩には、神話的なものと理知的なものが混在していて、これが魅力のように思います。ゲーテはゲルマン神話と、とくにギリシャ神話の影響が色濃いようです。
 この詩集は生田春月が翻訳をした作品です。ゲーテは政治家としても活躍し、かのナポレオンからも尊敬されていた作家で、その言葉を詩で楽しめるというのは、なんだか嬉しいように思います。

  
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