門(10) 夏目漱石

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今日は夏目漱石の『門』その10を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
 
 
徐々に3人の暮らしが馴染んできて、会話も様々に展開される。歳の離れた弟、小六はほうぼうでぶらぶらしている。若いのに最近、外で酒を飲むというのを覚えたらしい。母代わりというわけでもない御米は、そういうのは辞めたほうが良いんではないかと思う。
 
 
あのー、文体がですね。すこぶる良いんですよ。なんと言ったら良いんでしょうか。小説の構造をまさに開発しているさなかの時代で、その初期ならではの美しさを見ているような感じなんだと思うんです。本文にこういう文章があります。
 
 
  そのうち年がだんだん片寄って、夜が世界の三分の二をりょうするように押しつまって来た。風が毎日吹いた。その音を聞いているだけでも生活ライフに陰気な響を与えた。小六はどうしても、六畳にこもって、一日を送るにえなかった。落ちついて考えれば考えるほど、頭がさむしくって、いたたまれなくなるばかりであった。
 
 
小六は、子なのか独立した大人なのか、なんだかよく判らない状態にあって、悶々としている。御米は小六をたいそう気遣っている。
 
 
小六というのが、現代的な悩みを抱えた若者で、この先どうなるのかどうにも判然としない。漱石はじっさいに当時の学生たちをずーっと見てきたわけですから、この描写がリアルなんです。俺は将来どういう仕事をするんだろうかと思ってた頃をやたらと思いだしました。世界の富の半分を牛耳る超大資本家や、人工知能というものに、仕事が奪われてゆく時代には、漱石の書く高等遊民の世界観がじつにピッタリと当て嵌まるように思いました。
 
 
だんだん小六や宗助のキャラが立ってきて、読むのが面白くなってきたところなんです。
 
 

 
 
こちらのリンクから全文読めます。(縦書きブラウザの使い方はこちら
http://akarinohon.com/center/mon10.html
(約30頁 / ロード時間約30秒)
iPadやノートPCなどに対応した、シンプル表示の縦書きテキスト版はこちら   (横書きはこちら)
 

 




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