成長が生んだ私の恋愛破綻 伊藤野枝

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今日は伊藤野枝の「成長が生んだ私の恋愛破綻」を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
 
 
作家と実体験と随筆、というこの3つの関係が、どうなっているのか知りたくなったので、今回は伊藤野枝の恋愛に関する随筆を読んでみました。ネットで調べてみると2003年ごろにも、伊藤野枝を偲ぶ会合が続けられていたらしく、家は絶えず、文芸も残って100年後に読まれるというのは、伊藤野枝にとって嬉しいことなんじゃなかろうかと思いました。伊藤野枝は、本文にこう書いています。
 
 
  私は自分の事を他人に話すのは止めにしようと思いました。私はここに私の過去の事を話そうとは思いません。相変わらず私は自分がこの上侮辱される事は辛抱が出来ないのですから。それで、ただ私が過去の破れた結婚生活から受けた教訓だけをお話ししようと考えています。
 
 
読者である自分としては、開放的に私生活や自分史を書いてもらえると、読んでいて興味深いんですけれども、でもどうも都合がわるいことが良くあるんだろうなと思います。「随筆」ってそもそもどこをどう書いているんだろう、というのが気になりました。伊藤野枝は破綻した恋愛について、自省しています。なんというか、関係者に配慮して、できるかぎり事実をあいまいに表現して、普遍的な問題を開示しようとしている、と思いました。本文こうです。
 
 
…………この破滅が何から来たかと考えるとき、私はいつも自分に感謝しています。それはただ、私自身の正しい成長の故だといえるからです。
 
 
伊藤野枝は、自分がまだ子どもだったから、無理な恋愛に突入してしまったんだと言っています。またこうも書いているんです。
 
 
  私の恋の火は燃えました。けれども自ら求めて得た火で燃えたのではありませんでした。それはただ行きあたりばったりに出会った火が燃えついたのです。
 
 
本文のここが、現代にもどんな時代にも通じる感覚なんじゃないかと思いました。 
 
 
  私はもしOの愛をすぐに受け入れるような事があれば、Tとの間にせっかく自然にはこびかけた相談がこんぐらがるばかりでなく、世間からはきっとOの愛を得たがためにTを捨てたといわれるだろう。という事が私にはたまらなくいやでした。が私のOに対する気持はかなり卒直なものでした。
 私は永い間Oに会いもせず何の返事もしないでいました。私の対世間的な見栄と、その見栄に打ち克とうとする他の卒直な気持との争いでありました。私はやはり自分のこれからの勉強や仕事のためには今は何にもかかわらないがいいのだと思いました。そして私はTとも別れOをも拒絶しようと決心しました。
 Oは私のこの心持をかく見破っていました。私は決心してOに拒絶しに行きました。が結果は反対でした。私はいっさいの話の混交も世間の批判もだまって受けようと決心しました。
 
 
さいご、女性と人権のところにまで話しが到達していて、力強い随筆でした。
 
 

 
 
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 幼かった頃の夢想のことを、ゲーテは「黄金の空想よ」と記します。ゲーテの詩には、神話的なものと理知的なものが混在していて、これが魅力のように思います。ゲーテはゲルマン神話と、とくにギリシャ神話の影響が色濃いようです。
 この詩集は生田春月が翻訳をした作品です。ゲーテは政治家としても活躍し、かのナポレオンからも尊敬されていた作家で、その言葉を詩で楽しめるというのは、なんだか嬉しいように思います。

  

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