門(23) 夏目漱石

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今日は夏目漱石の『門』その23を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
 
 
22章の最終ページで、漱石は、天という言葉を用います。この漱石三部作の最後の小説では、森田草平からもらった「門」という簡素で謎めいた題名から刺激を受けたのか、この門をどう物語に入れ込むかに苦悶しているところで、一文字にこだわって、文体を作る、という漱石の筆致が鮮やかに映える物語が誕生したのではないかと思いました。
 
 
13章で鏡の中に登場した「影」という独特な言葉づかいや、16章で登場する「春」という文字の記述に特別な印象があったんですが、最後、漱石は三部作の仕上げとして、天、という言葉を慎重に配置しています。すこしおどけたような使い方の箇所もあるんですが、くわしくは本文を読んでみてください。
 
 
漱石の流麗で鮮やかな文章から、徐々に装飾を廃した静謐な文体に変化してゆくところで、一文字に深い印象を残すという、漱石の独自の文学性に到達したのかなと思いました。「門」を描き終えてから、則天去私、という思いが漱石の内部で生じはじめたのではないだろうかと空想しました。
 
 
物語は緩やかに、結ばれています。妻は苦が去っていってやっと春が来たと言うんですが、宗助は、じき冬が来ると考えます。やはり100年前は現代人よりももっと自然界と深い関わりがあったように思いました。じつにすがすがしい最終章です。
 
 
この小説をこれから、全文読んでみたいという方は、こちらのページをお気に入りに追加してみてください。あと、12章と17章だけを読んでみるのもオススメだと思います。
 
 
「三四郎」「それから」「門」と、漱石の三部作を読んできました。これ以降に書いた、漱石の後期・・三部作というのが有名で、またいつか読んでみたいと思います。あと道草や、虞美人草や、絶筆の明暗などもぜひ読みたいです。それと、次回から海外文学をこんな感じで読んでゆこうと思います。
 
 

 
 
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 幼かった頃の夢想のことを、ゲーテは「黄金の空想よ」と記します。ゲーテの詩には、神話的なものと理知的なものが混在していて、これが魅力のように思います。ゲーテはゲルマン神話と、とくにギリシャ神話の影響が色濃いようです。
 この詩集は生田春月が翻訳をした作品です。ゲーテは政治家としても活躍し、かのナポレオンからも尊敬されていた作家で、その言葉を詩で楽しめるというのは、なんだか嬉しいように思います。

  

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