ピエロ伝道者 坂口安吾

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今日は坂口安吾の「ピエロ伝道者」を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
 
 
坂口安吾がこう、語りかけるように、朗読するように随筆を書いているんですけど、はじめの一文はこういう本文です。
 
  
  空にある星を一つ欲しいと思ひませんか? 思はない? そんなら、君と話をしない。
 
 
この先の文章がすごいんです。なんというか、坂口安吾の重みのある声が聞こえてきそうな、勢いのある文体の随筆なんです。映像が見えてくるような作品もあれば、声が聞こえてきそうな作品もあって、坂口安吾はとにかく印象深いです。今回は、芸術に於ける、ナンセンスの表現の意味を問うています。中盤で、坂口安吾はこう記します。
 
 
  しかし君の心は言ひはしないか? 竹竿を振り廻しても所詮はとどかないのだから、だから僕は振り廻す愚をしないのだ、と。もしさうとすれば、それはあきらめてゐるだけの話だ。君は決して星が欲しくないわけではない。しかし僕は、さういふ反省を君に要求しやうと思はない。
 
  …………
  その人その人の容器にしたがつて、悲しさを歌ひ、苦しさを歌ひ、悦びを歌ひ、笑ひを歌ひ、無意味を歌ふ。それが一番芸術に必要なのだ。これ程素直な、これ程素朴な、これ程無邪気なものはない。この時芸術は最も高尚なものになる。素直さは奇術の反対である。そして、この素直さから、その人柄にしたがつて、涙の裏打をした笑ひがほとばしるなら、それはそれで一番正しい。
 
  日本のナンセンス文学は、涙を飛躍しなければならない。「莫迦々々しさ」を歌ひ初めてもいい時期だ。勇敢に屋根へ這ひ登れ! 竹竿を振り廻し給へ。観衆の涙に媚び給ふな。
 
 
すべからく「大人」にならうとする心を忘れ給へ、という文章のあとのオチのつけ方も、なんだか話しながらさってゆく男の姿を思いうかばせる、ずいぶん不思議な文章なんです。10ページほどの随筆です。
 
 

 
 
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 ここからは新サイトの「ゲーテ詩集」を紹介します。縦書き表示で読めますよ。
 幼かった頃の夢想のことを、ゲーテは「黄金の空想よ」と記します。ゲーテの詩には、神話的なものと理知的なものが混在していて、これが魅力のように思います。ゲーテはゲルマン神話と、とくにギリシャ神話の影響が色濃いようです。
 この詩集は生田春月が翻訳をした作品です。ゲーテは政治家としても活躍し、かのナポレオンからも尊敬されていた作家で、その言葉を詩で楽しめるというのは、なんだか嬉しいように思います。

  

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