こころ(3) 夏目漱石

FavoriteLoadingお気に入りに追加

今日は夏目漱石の「こころ」その3を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
 
 
全6回にわたって漱石の「こころ」を読んでいます。物語はいよいよ中間地点に到達するわけなんですが、ここで、父の病と、明治天皇の病がオーバーラップして描かれます。
 
 
青年の「私」にとって父は、避けがたい相手で、有無を言わさぬ存在であって、それと無関係に生きることはむつかしい。なので村人を集めて「私」の卒業祝いをやる、となると、そんな大仰な集会はしたくないと言いたくても、父に従うしかない。父、抜きに考えることがどうもむつかしい。
 
 
当時の明治天皇もどうもそういう大きな存在で、いやよりいっそうデカイ存在なわけで、wikipediaを読むと、なんだかすごい時代だと思いました。「明治天皇」とはいったいなにか、百科事典を読んでみると、その全体が詳細に記されていますので、漱石の「こころ」と同時に読むと、興味深かったです。
 
 
「こころ」では、この明治天皇が崩御したということで、父と子の祝いの席があっさり取り消しになる。これは1989年のころの天皇崩御もそうだったし、おそらく今後もそうなんだと思います。関係無いんですけど、1991年に漱石の「こころ」の出版がちょっとしたブームになったような気がするんですよ。このころに、集英社や和泉書院から「こころ」が発売されている。
 
 
ちょっとこの漱石が描いた時代をおさらいしてみると、1912年(明治45年)の7月30日に明治天皇が崩御している。その年の9月に乃木希典が殉死している。その2年後に、漱石は、崩御と病と老死と殉死と自尽についてこの小説「こころ」で描いている。
 
 
天皇と青年「私」と、いったいなんの関係があるのか、まったく無いのではないか、と思ったら、じつは卒業式に、陛下が来ていたという描写がさらっと記されているんですよ。これ、けっこう驚く描写だなと思いました。本文こうです。
 
 
  私はついこの間の卒業式に例年の通り大学へ行幸ぎょうこうになった陛下をおもい出したりした。
 
 
現代では、避難所をひとつひとつ訪れるのが憲法に記された「象徴」としての天皇の仕事として繰り返し新聞記事になっているなと、思いました。
 
 
主人公の「青年」は、東京の暮らしがなつかしく、友人や「先生」に、手紙を書き送るので、ありました。
 
 
現状、主要な登場人物がどういう状態か、判りやすい箇所があったので引用します。本文こうです。
 
 
「その先生は何をしているのかい」と父が聞いた。
「何にもしていないんです」と私が答えた。
 私はとくの昔から先生の何もしていないという事を父にも母にも告げたつもりでいた。そうして父はたしかにそれを記憶しているはずであった。
「何もしていないというのは、またどういう訳かね。お前がそれほど尊敬するくらいな人なら何かやっていそうなものだがね」
 
 
ここから先の、父と子の交流の描写が、とくに事件は起こらないんですけど、印象深いんです。ごく普通にある、ほとんど誰もが経験するはずの、田舎の悲劇というか……生老病死を描きだしています。漱石はそもそも、こういうのを中心的に書くために、大問題を比喩的に表現してみたのではあるまいかと思いました。
 
 

 
 
以下の「シンプル表示の縦書きテキスト」をご利用ください。(縦書きブラウザの使い方はこちら
https://akarinohon.com/migration/kokoro03.html
(約100頁 / ロード時間約30秒)
★シンプル表示の縦書きテキストはこちら
 
 
 
       横書きはこっち
 
 






明かりの本は新サイトに移行しました!

URLの登録変更をよろしくお願いいたします。



明かりの本 新サイトURL

https://akarinohon.com

(Windowsでも、なめらかな縦書き表示になるように改善しました!)

appleのmacやタブレットやスマートフォンなど、これまで縦書き表示がむずかしかった端末でも、ほぼ99%縦書き表示に対応し、よみやすいページ構成を実現しました。ぜひ新しいサイトで読書をお楽しみください。











 ここからは新サイトの「ゲーテ詩集」を紹介します。縦書き表示で読めますよ。
 幼かった頃の夢想のことを、ゲーテは「黄金の空想よ」と記します。ゲーテの詩には、神話的なものと理知的なものが混在していて、これが魅力のように思います。ゲーテはゲルマン神話と、とくにギリシャ神話の影響が色濃いようです。
 この詩集は生田春月が翻訳をした作品です。ゲーテは政治家としても活躍し、かのナポレオンからも尊敬されていた作家で、その言葉を詩で楽しめるというのは、なんだか嬉しいように思います。

  

縦書き文庫の装画
装画をクリックするか、ここから全文を読んでください。 (使い方はこちら) (無料オーディオブックの解説)
(総ページ数/約10頁 ロード時間/約10秒)
 
『ゲーテ詩集』全文を読むにはこちらをクリックしてください













top page ・本屋map ・図書館link ★おすすめ本 ★書籍&グッズ購入 





 


Similar Posts:

    None Found